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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺はアムロ・レイ。ミステリーハンターと称するものを生業としている。
とはいっても、所謂「何でも屋」の域を抜けていないが…。

そもそもは親父がやっていた家業(って言っていいのか?)を継いだ形でやっている。
宝探しから失せ物探し、怪奇現象の調査や政府機関からの依頼もこなす、本当に「何でも屋」だ。
時にはやばい組織とのバトルになることだってあるから、それなりに身体は鍛えている。童顔ゆえに軽く見られがちだが、反面それを利用して画策する事だってある。正直言えば、腹が立つけどさ。

俺を手伝ってくれるのは、親父からこの生業を継ぐ少し前に出会った霊能力者のララァ(どちらかと言うと俺の生活管理がメインになっている)と、情報を集めて知らせてくれる高校時代の先輩カイさん。彼はフリージャーナリストをやっているから、王室関係から居酒屋、果ては賭場まで、あらゆる方面に詳しい。
で、一時期世間を騒がせた戦国武将の隠し財産だとか、沈没船のお宝だとかを資料を集めて探し出すんだけど、噂ほどの物はあまり見つからない。だから、行方不明になったペットの捜索や転居予定の物件調査(変な噂が無いか、建築的に問題が潜んでないか)、非合法組織の闇金の元になる物の横取り(警察からの依頼だったりする)なんかをやって食いつないでいるって処が正直な現状だ。

そんな俺の所に、高校時代の先輩にあたるブライトさんから、思いがけない依頼が来た。

「そもそもは俺が政府関係者から受けた事柄なんだがな。内容的にお前さんに任せた方が無難なんじゃないか?って思ってな。こうして依頼に来たってわけなんだ」

ブライトさんは防衛省の事務次官をやっている。なんでも、大将を目指していたお兄さんの遺志を継いだそうなんだけど、性格的に似合わないって言うか、無理が大きい気がするんだけど・・・。

「で?この屋敷が何だって言うんです? 築年数はかなりな物件ですよ?」
俺は目の前に並べられた写真と間取りなどの書類を見ながら質問した。すると、ブライトさんは細い目を更に細くして、表情を強張らせた。
「その・・・だな。・・・・・この物件は元々外交官だった奴が造ったんだが、20年位前から常識では理解できない出来事が起こるとかで、使用者が居付かないんだ」
「なら、壊して立て直せば良いんじゃないですか?」
「それが・・・そうも行かなくてな」
「何でです? 不良物件ならさっさと壊しちゃえばいいでしょ?」
「権利者が自国民ならそうするさ。この屋敷の権利者は外国人なんだ。というか、この屋敷のそもそもの使用用途は、外交官の滞在中の自宅なんだよ。歴史に裏打ちされた豪華さが売り・・・らしい」
「だから勝手に取り壊しを進めるわけにはいかないって?」
「そうなんだ。だが、内装を時代に合わせてリフォームし、使いやすさは抜群な筈なのに、入居して一ヶ月しないうちにどこかのアパートでも良い、移り住みたいと言い出すことが続いている」
「で、それが心霊現象的なものかもしれない・・・ってわけなんですね」
「最初は鼻で笑っていたさ。なれない他国の生活に、軽いノイローゼに陥ったんじゃないか、てな。ところが・・・」
「入る人入る人が、同じ事を言い出した」
「そうなんだ! こうなってくると外務省としても見ない振りも出来ない、というわけだ」
「で? 外務省関連の事象を、何故、防衛省のブライトさんが俺の所に持ち込んでくるんです?」
「やっ・・・・・・それは・・・だな・・・。その・・・・・・」
「また、面倒事を押し付けられましたね?」
「・・・・・・・・・・・」

そう。ブライトさんは性格的に損をしている。と俺は思っている。
そもそも事務次官をしているのだから、防衛省から出る必要も無いと思うのだけれど、現場からの情報に対して、いちいち出向いて問題を正確に把握しようとする。そんな奇特な高級役職を現場や外部の人間が放っておくわけが無い。
当然の流れとして、ブライトさんの所には色々な問題が持ち込まれる事になるのだ。

防衛関係の事ならそれでも納得できる。
だが、今回の事は・・・
「いつもの流れ・・・と見ても、何だかおかしいですねぇ、ブライトさん。今回の件。頼んできた人との間に、何かしらの関わりがあります?」
「あら、アムロったら。そんな事、訊ねるものじゃなくってよ。・・・はい。新しいお茶ですわ。最初に入れたものは、すっかり冷めてしまいましたもの」
問い詰めかけた俺を抑えたのはララァだった。
「ララァ。君は解ったのかい?」
「当然よ。最初に資料を受け取ったのは私ですからね。
そこにある残留思念を読み取れば、おのずと・・・ね?」
「へぇ〜。で? 理由って、何?」
「アムロ!!・・・ララァさんも! やめ・・・」
「優しそうな女性じゃないですか。憎からず思ってらっしゃるんでしょ? その方の事」
「ふぅ〜〜ん」
「ララァ〜〜!!」

頭から湯気を上げそうなほどに顔を赤くしたブライトさんに、俺達は笑みを消せなかった。
2011/05/23
作品名:A I 作家名:まお