The world make kaput <1章>
天然娘
エリスの家まで来たラウルは一応声をかけてから開けようと、扉の前に立ち呼ぼうとした時だった。
ラウル:
「おーいエリ…」
エリス:
「…っしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
中からエリスの叫び声が聞こえてきた。あまりの大声に、近くを通っていた数人の村人がこちらを向いた。
まるでラウルがエリスになにかをしたのかのような視線が痛い…
ラウル:
「……おいっエリス!早く出て来い!勘違いされるから!!っていうかされてるから!」
ラウルは必死だった。
と次の瞬間、勢いよく扉が開かれた。
エリス:
「見て、ラウルさん。ランポスフェイク自分で作っちゃった♪」
そう言って適当に剥ぎ取られ、血抜きもまともにされてないであろうドスランポスの頭部を被ったまま小躍りをするエリス。
しかしラウルは手作りランポスフェイクなんかどうでもよかった。それよりも首から下に釘付けになっていた…
ラウル:
「エリス…お前…」
エリス:
「えへへ~、可愛いっしょ?」
ラウル:
「その服……」
ついにラウルは膝から崩れ、うなだれてしまった。
エリス:
「…服?」
ランポスフェイクの下、つまりエリスが着ているモノ…赤一色に染められた、元プライベートシリーズ…
「あ~コレですかぁ?所々血が付いちゃったんでぇ思い切ってドスランポスの血に染めてみましたぁ♪」
謝る気ゼロのエリスはそこ行く村人全員に見せびらかしに行ってしまった…
エリス:
「ねーねー!見て見てー!」
村人:
「やあ、エリスちゃ…ヒィッ!?」
ラウル:
「そっか…そういう奴なんだな…」
ラウルはそう思う事にした…そう思う事でしか自分が救われないからだ…
作品名:The world make kaput <1章> 作家名:ますたーど