二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 8

INDEX|1ページ/25ページ|

次のページ
 

第25章 新たな力


 意識が覚醒していく。ゆっくりと目を開くと、真っ青な空と輝く太陽が眩しかった。
 どうやらここは外らしい。では何故自分はこんな所で寝ていたのだろうか。
 辺りを見回すと、後ろには林が、目の前には海が広がっている。
 ガルシアは立ち上がった。同時に体に異常がないか調べた。手を振り、脚も両方振ってみた。どちらもしっかり動き、体も特に痛むところはなかった。
 気が付くとガルシアの側でシバ、ジャスミン、スクレータまでもが横たわっていた。
 ガルシアは思い出した。
 ガルシアは灯台から落下したシバを追って、自身も飛び降りた。本来ならばそれで二人とも死んでいるはずだった。しかし、奇跡的にも酷く荒れた海の荒波に流され、ガルシアとシバはジャスミン達のいる流れる出島の浜に打ち上げられた。
 ガルシアは一度は意識を取り戻した。その時、ジャスミン達が自分について何か言っているらしかった。あまり聞き取れなかったが、無茶なことをする、といった話をしているようだった。
 ガルシアは妙に情けない気分になった。このまましばらく寝た振りでもしていようと思っていたら、不意にくしゃみが出てしまい、ジャスミン達に気付かれてしまった。
 その後しばらくしてから今度は津波に襲われた。海を漂流する島の上に居ては津波をかわす術もなく、ガルシア達は津波に飲み込まれた。
 そしてしばらくしてからガルシアは再び目覚め、現在身に起きた出来事を思い出しているというわけである。
 ずっと漂流していた島は大陸に繋がっていた。幸いにも津波により島が押し流され、運良く大陸にぶつかる事ができたらしかった。
 ガルシアは島とぶつかった大陸、インドラ大陸を見渡した。なかなか自然豊かな大陸であった。海と山が共存する、アンガラやゴンドワナ大陸とはまた違った大陸である。
 遠くには村らしき集落が見えた。今後どうするか一先ずそこで考えようとガルシアは歩き出した。
「ま、待ってくれ?、ガルシア!」
 スクレータが駆けてきた。ガルシアは振り返った。
「全く、置いていくなんて酷いぞ…」
「すまない、まだ気を失っているようだったから」
「まあいいわい」
 スクレータは大陸を見渡した。当然村にも目が止まった。
「お主はあの村へ行こうとしとったんじゃな?」
「ああ、取りあえずここがどこなのか確かめようと思ってな」
「やはりそうじゃったか、では早く行こうぞ」
 今度はスクレータが先に行った。
「あ、ちょっと待て、やっぱりジャスミン達も…」
 ジャスミン達も起こしてから行こうとした矢先だった。
「ひっど?い!」
 意識を取り戻したらしく、ジャスミンとシバが駆けつけた。
「ひどいよ二人とも、私達を置いていくなんて!」
 スクレータは本当に忘れていたが、ガルシアは起こそうとしていたので弁解した。
「いや、違うんだ。俺は起こそうとしたんだが、スクレータが…」
「あ、ガルシア、ワシにだけ責任を押しつけるつもりじゃな?」
「そんなの信じられないわよ!」
 なかなか信用してもらえなかった。弁解を重ねる内にシバが蔑むような目をして言った。
「ガルシア、あなたあの時私を助けようとしてくれたってのに、あの気持ちは嘘だったのね」
 ガルシアは慌てて弁解する。
「違うんだ、本当に違うんだシバ!」
 シバはとどめの一言を告げた。
「言い訳なんかどうでもいいわ」
 ガルシアは酷く落ち込むようにうなだれた。ほぼ全ての元凶であるスクレータは他人事のようにガルシアの肩を叩いた。
 ガルシアは落ち込みの激しい顔でシバを見た。
「ふう、そんな顔されると私も弱いなあ…」
 シバは何か考える素振りを見せると、笑顔で言った。
「いいわ、今回だけは許してあげる。けど、次同じような事があったら、分かってるわね…?」
「あ、ああ、分かってる。気を付けるよ…」
 ガルシアは引きつった笑みで答えるのだった。
 それからガルシア達は歩きインドラ大陸を進んだ。目指すは小さな漁村、デリィである。
 行く道の途中でジャスミンがシバに彼女までが旅をする理由があるのか訊ねた。するとシバは歴とした理由があると答えた。
 シバの持つ風のエナジーはジュピター灯台を上るのに不可欠なものとなる。それは言うまでもない理由である。
 それだけか、更に訊かれるとシバは口を噤んだ。
 シバにはまた別の目的があった。シバ自身の出生についてである。
 シバは昔、赤子だった頃の自分がラリベロの空から降りてきたということは聞いている。それからはギョルギスに子として育てられてきた。
 では自分はどこで生まれ、どこからやって来たのか。風の力に縁の深いジュピター灯台に行けば何か分かるのでは、シバは思うのだった。
「今は話したくないんだな?」
 ガルシアは言った。
「ごめんなさい。でも必ず話すわ、ジュピター灯台に行けばそれがきっと分かる。その時にきっと…」
「それを知る勇気があるのかな?」
 スクレータは訊ねた。
「本当は怖い、だけど、いつまでも知らないままでいるのは嫌なの」
 スクレータは悟っているように深く頷いた。
「そうか、ならばワシは止めはせんよ。シバの思うようにすればええ」
 スクレータは振り返って歩き出した。
「さあ、村まで後少しじゃ。早く行こうぞ、ワシゃ腹減って死にそうじゃ」
 ガルシア達は村まで残り半分となった道を進んだ。
    ※※※
 インドラ大陸最北の漁村、デリィは大津波の影響をかなり受けていた。
 村中の至る所に海水による水たまりができ、畑の作物は滅茶苦茶に荒らされていた。
 井戸にまで海水が入り込み、水も満足に得られない状態である。そんな中で倒壊した家屋は一つとしてなかった。その理由は村から北にそびえる山々のお陰であった。山々が津波が直撃するのを防いだお陰でデリィ村は壊滅を免れた。
 山の山頂付近には塔が建てられている。海神と呼ばれるデリィの人々が崇める神を祭る『海神様の社』と呼ばれるものであった。
 人々は今回の事も海神様がお守りになってくださったと感謝を込めていた。
 ガルシア達は村に着いた後、食事を取った。津波の影響はここにも出ており、出された食事はとても質素なものだった。スクレータは腹に貯まらんなどと文句を言っていた。
 その後ガルシアは仲間達を宿に残し、一人で村を歩いて回っていた。被害が大きいとはいえ、店は何軒か営業していた。ガルシアは坊主頭の男の営む露店に立ち寄った。
「すまない、薬草を幾つか貰えるか?」
 ガルシアには治癒のエナジーがあるが、そういつまでも使えるわけではない、またこれから先は自らの手で魔物とも戦わなければならなく、薬草は持っておこうと思ったのだ。
「おう、まいど!」
 男は籠に入れられた沢山の薬草を二度鷲掴みにすると布袋に詰めた。
「そら、これで60コインでいいよ」
 あまりの安さにガルシアは驚いた。
「いいのか?」
「いいのいいの、この辺じゃ薬草は沢山採れるんだ。どうせこんなもん売ってたって儲かりゃしねえよ」
 趣味でやってるようなものだ、と男は笑った。
「すまない、ではありがたく頂こう」
 ガルシアはコインを支払った。
「所で、兄ちゃん旅の戦士かい?」
 男は訊ねた。
「ああ、ついさっきこの村に来たばかりだ」