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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 8

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 巨大な蠍、キングスコーピオンであった。キングスコーピオンは怒ったように両方の鋏をシャリシャリと鳴らしている、とても不気味な音である。
 ガルシアが全員を見やると既に皆それぞれ武器を手にしている。ガルシアもシルバーブレードを抜いた。
「シン、俺も戦うぞ。もう俺はお前に守られるだけの存在じゃない」
 ガルシアはシンの隣に立った。するとシンは笑みを浮かべた。
「へ、そいつはありがたい。オレもこいつは剣一本じゃキツいと思ってた所だ」
 シンは左手に持った一本の短剣を魔物に向けた。
「ガルシア、二人で一気にかかってさっさと仕留めるぞ!」
「ああ!」
 シンとガルシアは一気に攻めかかった。二人の剣は魔物の固い殻に阻まれた。
 魔物は反撃に毒針のある尾を振り回してきた。ガルシア達は後ろに飛び退く。
「ち、タフな野郎だ…」
「どうするシン?」
 殻に阻まれて剣は魔物の体に届かない、とすればもう一つの攻撃手段である。
「兄さん、シン、どいて!」
 ジャスミンは後ろから杖の先にエナジーを貯めながら叫んだ。
 ガルシア達は後ろを見るとすぐに左右に離れた。杖の先の光球が輝きを増すとジャスミンはそれを魔物へ向けた。
『ビーム!』
 杖の先から一直線に光線が走った。狂うことなく魔物に当たった。
『プラズマ!』
 さらにシバが追い討ちをかけた。
 光線と落雷で魔物は跡形もなく消えていた。
「やったのか!?」
 魔物の姿は消えたが、気配はまだあった。エナジーの衝撃で砂煙が起こり、周りがよく見えないが確かな存在を感じた。
 シンは地面が盛り上がってるのが見えた。それは後方のジャスミン達の方へ延びている。すると殺気を感じた。
「まずい、伏せろジャスミン、シバ!」
 シンの叫びは一足遅かった。魔物が地面から勢い良く飛び出し、両方の鋏をクロスするようにしてジャスミン達の間をすれ違った。
「きゃあ!」
 二人の肩から血が舞った。
「ジャスミン、シバ!」
 ガルシアは駆け寄った。
「危ない、ガルシア!」
 魔物は砂の中から尾だけを出してガルシアに毒針を突き出した。
「うわ!?」
 ガルシアはとっさに飛び退いた。魔物の尾は砂の中へ潜っていった。
「大丈夫か、ガルシア」
「ああ、危なかったがな…」
 魔物は砂の中を動き回っている。
「卑怯な野郎だ。地に潜ってオレ達の攻撃をやり過ごして隙をついて襲うつもりらしいな…」
 その考えは正解だと言わんばかりに魔物は砂の中を動き回り続けている。砂の盛り上がりはあちこちに出来てしまい、どこから襲ってくるか全く分からなくなってしまった。地面の中にいても通用する攻撃でもあれば対応できるのだが。
――まてよ、あのエナジーならひょっとして――
 ガルシアは何か思いつき、シンを呼び寄せた。そして、考え付いた策をシンに耳打ちした。
「それで上手くいくのか?」
「奴は地面にいるのだ、きっと効くはずだ」
 魔物は今も砂の中を蠢いている。
「分かった、お前の言うとおりやってみよう!」
 シンは言うと壁際まで飛び退いた。一回転して着地すると壁にくっ付いた。
 魔物は気配を感じ取ったのか、尾を砂の上に出し、ガルシアの時同様シンに襲いかかった。
 その瞬間を見計らってガルシアはエナジーを発動した。
『アースクエイク!』
 ガルシアは地面を揺らした。突然の大地の震えに驚いたのか、魔物は動きを止めた。
「そこだな!?」
 シンは地面に手を突いた。
『竹槍の術!』
 シンのエナジーで発生した竹が地面から伸び上がり、砂の中の魔物を押し出した。
「今だ!」
 シンが叫ぶと、ガルシアは剣にエナジーを込めた。剣がそれに反応すると光を発し、ガルシアの頭上に巨大な剣状のエナジーが出現した。
『ラグナロック!』
 ガルシアは詠唱と同時に剣を振り下ろした。それに同期して巨大な剣も魔物目掛け飛び、差し貫いた。
 巨大な剣の引き起こす爆発の中で魔物は跡形もなく砕け散っていった。
 しばらくして砂煙も引いていく。
「やったぜガルシア!」
 シンは駆け寄ってきた。
「すごいぜ、よくあんな作戦を思い付いたな!」
「ただの偶然さ」
「いいや、そんなことない。短期間でこんな戦いができるようになったんだ、大したもんだよ」
 シンは突然真顔になり、真っ直ぐにガルシアを見つめた。
「強くなったな、ガルシア」
 密かに憧れていたシンから強くなった、などとストレートに言葉を受け、ガルシアは一瞬言葉に詰まってしまった。
「あ、いや、その…」
「な〜に照れてんだ、もっと喜べよ!」
 こいつぅ、とシンは強引にガルシアの肩を寄せ、頭をガシガシ擦った。
「いたたた!よせ、シン!ああそうだ、ジャスミン達の手当てをしないと…!」
 ガルシアはシンから解放されると、嬉しいやら恥ずかしいやらですっかり紅潮しきった顔を隠すようにそそくさとジャスミン達の元へ向かった。
 エナジーで手当てをするガルシアを見てシンは思う。
――本当に強くなったな、これからも頼りにしてるぜ、ガルシア!――
 それからシンは自分も手伝う、とガルシア達に駆け寄った。
「じゃあ包帯をくれるか?」
「おう、兄貴!」
「な、誰が兄貴だ、誰が!」
「ははは、じゃあ、兄さん」
 シンはジャスミンの真似をした。
「バカ!」
 穴の中ではシンの楽しげな笑い声が響くのだった。