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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 8

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 ガルシア達は側の岩に身を潜めた。そして岩から顔を半分出し、覗き見た。
 影は次第にその姿を現した。ガルシア達は全員驚いた。
 それは人らしき姿をしていた。しかし、顔は全て体毛に覆われ、鼻と口は犬のように突き出ている。口元から覗く犬歯は鋭く獣のそれであり、服の袖から出た手の爪は鋭く伸びていた。
「まさか、あれがヴァンパイアか?」
 ガルシアは小声で言った。
「間違いねえ、あの姿、完全にそうだ。噂通りだ」
「でも意外と小さいわね」
 ジャスミンの言うとおり背丈はジャスミンの半分もないように見える。
「いや、油断するな。小さいといってもヴァンパイアだ。しばらく様子を見よう」
「あ!」
 パキッとシバは地面に落ちた木の枝を踏んでしまった。その瞬間ヴァンパイアははっとなり、こちらに目を向けた。
 ガルシア達はヴァンパイアと目が合うと、武器に手を伸ばし、いつ襲いかかられても平気なように身構えた。逆に隙あらばこちらからも攻めかかろうと窺っていた。
 来るか、と思っていた所でヴァンパイアは背を向け一目散に逃げていった。
「追うぞ!」
 ガルシア達は後を追った。この先には村がある、ヴァンパイアが村人に危害を加える前になんとしても追いついて倒さなければならない。
 村に入ると夜だというのにフードを深々と被る村人が歩いていた。
「なあ、あんた。さっきここをヴァンパイアが通り過ぎて行かなかったか?」
 シンは訊ねた。
「ああ、ヴァンパイアじゃと?お前さん何を言っとるんじゃ」
 フードを被る村人は老人だった。老人の顔はフードで口元しか見えなかった。
「確かにここを通り過ぎたはずなんだ。爺さん本当に知らないのか?」
「知らんもんは知らん!大体ヴァンパイアなんぞいるわけがなかろう。お前さん方旅の者じゃろ?もう夜も更けた、早く宿に行って眠ることじゃな」
 それだけ言ってフードの老人は去っていった。
「ったく、どこに行きやがったんだ…」
 シンは辺りを見回した。
「ねえ、シン」
「何だジャスミン」
「私見たのよ、さっきのお爺さんの爪、鋭く尖ってた」
 外套から僅かに覗く手が見えていた。それは獣のごとくあらゆる物を引き裂けるほど鋭く伸びていた。
「何!?じゃあさっきの爺さんも…」
「いたわ、あそこよ!」
 シバは指差した。ここより少し離れた高台にヴァンパイアは慌てた様子で登っていた。
「待ちやがれ!」
 シンを先頭にガルシア達は駆けた。高台には大きな岩があるだけでこれ以上逃げられるような所はなかった。追い詰めたと思い、ガルシア達は剣を抜いてヴァンパイアに攻め寄ったその瞬間、周囲が虹色の不思議な空間に包まれた。エナジーの光である。
「これは、『イマジン』か!?」
 ガルシアは言った。すると真実を現した岩に穴が空いており、そこからもう一体のヴァンパイアが現れた。真っ白な髪で長い眉をしている。
 小さなヴァンパイアを抱えると二体のヴァンパイアは岩の中へと入っていき、同時に『イマジン』も解け辺りは元の風景に戻った。
「シバ、頼む」
「任せてガルシア!」
 シバは目を閉じ念じた。
『イマジン』
 辺りは虹色に包まれ、あらゆるものが真実の姿を露わにした。先ほどの岩も例外ではない、その中心に先ほど同様穴が空いていた。ガルシア達はその中へ駆け込んだ。
 岩の穴は地下へと通じており、意外と広い空間となっていた。
「よし、ここは二手に別れよう。オレとガルシアは右の方へ行く、ジャスミン達は真っ直ぐ行ってくれ」
 シンの指示通りに一同はヴァンパイア達を探した。地下の洞窟は広いが大して入り組んではおらず、迷うようなことはなかった。それ故に隠れることのできそうな所も限られており、すぐに見つけられそうだった。しかし、見つからなかった。どこを探しても気配すら感じない。
 ガルシアとシンはちょっとした広間にさしかかった。
「くそ、奴ら一体どこに…」
「兄さん、シン!」
 ジャスミン達もやって来た。
「ジャスミン、そっちはどうだ?」
「どこにもおらんわい」
 スクレータが答えた。
「ちきしょう、ならもう一度手分けして…」
「それには及ばぬよ」
 どこからともなく声がした。
「誰だ、どこにいる?」
 ガルシアが訊ねると辺りが再び虹色に包まれた。すると前方の壁に穴が空いているのが見えた。
 二体のヴァンパイアはゆっくりとその姿を現した。