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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 9

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 それでもガルシアはページをめくり続けた。そうしている内に、一ページだけ、それもたった一行だけ文字が書き綴られていた。
――地獄の業火、『ブレイズ』?――
「どうしたガルシア、何か見つけたのか?」
「ああ、このページにたった一行だけ」
 ガルシアはシンにその部分を見せた。
「おいおい、冗談よせよ!何も書いてねえじゃねえか」
 シンはからかうような笑みを見せた。
 ガルシアは驚き、そのページをもう一度よく見た。やはりそこには『ブレイズ』と書かれている。
「みんな、ちょっとこのページを見てくれないか」
 ガルシアは仲間に本を見せた。しかし、皆一様に何も書いていないではないかという反応を示した。
――俺にしか読めないのか?――
「ガルシア、そんなに言うんだったらちょっとそれ読み上げて見ろよ」
 シンは言った。
「分かった」
 このままでは自分が嘘を言っているように思われるのではないかと思い、ガルシアは書いてある内容を読んだ。
「地獄の業火、『ブレイズ』!」
 読み上げた瞬間、本が一瞬輝いた。すると、ガルシアの上の方に魔法陣のようなものが現れ、そこから地獄の炎が降りかかった。
「危ない、みんなよけろ!」
 炎は地面に落ちると辺りに広がった。シン達は四方へ身を避けた。
 幸い、辺りは石であり、炎が燃え広がる事はなかった。
「みんな、大丈夫か!?」
 ガルシアは訊ねた。
「ああ、何とかな」
 シンが答えた。
「あぁ、びっくりした。ちょっとガルシア、気を付けてよね!」
「すまない…」
 ガルシアは再び本に目を移した。徐に、ページをパラパラとめくっていると最終ページに辿り着いた。
 そこにはページ全てを使って黒魔術の呪文が書かれていた。
 ガルシアは読み上げた。
『サモンデュ…』
 むぐっ、とガルシアはシンに口を塞がれた。
「馬鹿やろう!こっち向いて読むんじゃねえ!」
「むぐ、むぐぐ…」
 ガルシアはどうにかシンの手を払った。息さえもできなかった。
「何をする!」
「読むならあっち向いて読め!」
 仕方なくガルシアは従った。後ろを振り返って再び本に目をやるとよく見たらその呪文は途中で途切れていた。
「どうしたガルシア、読まねえのか?」
「いや、それが文字が途中で途切れているんだ」
「本当に?見せて兄さん、って、私には見えないんだった」
 本の文章は地獄の番人、死神を従える悪魔の化身、『サモンデュ………』と途切れている。一体なんと書かれているのか、気になったが途切れているのではどうしようもなかった。
 しかし、それにしてもガルシアはどうやらすごい物を貰ったらしかった。エナジーを魔法に換えるという力である。これは強力な武器になるだろう。
 その後、ガルシア達はガンボマとの約束を果たすべく、儀式の間を後にしたのだった。
    ※※※
 儀式が終わり、すっかり夜が明けた像の外に出ると、ガルシア達は真っ直ぐにアカフブの家へ向かった。
 事を伝えるとアカフブは怒っていた。それならば何故あの時止めてくれなかったのかと、逆恨みをしていた。ガンボマの言うとおりに競争というような事を言うと、案の定、アカフブは闘争心を見せた。今後はガンボマに認められるよう、修行し、そしてガルシアに勝つと戦意を露わにした。
 その後ガルシア達はキボンボを後にし、ミング山脈を進んだ。行きとは違い、見張りの目を気にせずに進むことができたおかげですんなりと越える事ができた。
 昼過ぎ頃にニリ村に立ち寄り、昨晩不眠であったため、ここで一日休み、次の日再びインドラ大陸へ戻ることにした。
 そして翌日、早朝から出発した。そうすれば夜にはマドラへ行くことができるだろうと思った。思惑通りにその日の晩にマドラへ辿り着いた。ピカードの意向により、旅立つ前に世話になったマドラの長老達に挨拶していく事にした。
 ピカードは黒水晶を取り戻すことができたのはガルシア達のおかげであると、その心の優しさを信じ、ガルシア達と共に旅するつもりであると長老達に伝えたのだった。
 翌朝、更に北を目指し、ついにピカードは自分の船に戻ることができたのだった。
「いやぁ、何だか懐かしいな!」
 シンは船を眺め言った。
「これはピカードの船じゃったのか」
 スクレータは言った。彼を含めガルシア達は前に一度この周辺を通りかかった時、この船を目にしている。
「さあ、乗って。僕の船は快適そのものさ!」
 ガルシア達は船に乗り込み、船室へと入り、奥の動力部まで進んだ。
 その動力室にある台座にピカードは黒水晶を置いた。その瞬間、船は動ける状態となった。
 再び甲板に戻り、ピカードは船を出航させた。
 海をしばらく進んだ後、ピカードは舵を手放し、ガルシアの方を向いた。
「舵は君が取れよ、ガルシア」
 ガルシアは驚いた。
「俺が、いいのか?」
 できるかどうか分からなかった。
「大丈夫、とっても簡単だからさ!」
 ガルシアはおずおずと舵を握った。
「よっ、船長さん!頼りにしてますぜ!」
 シンは茶化した。
「うるさい…!」
「ははは…、で、ガルシア、どこへ向かうんだい?」
 ピカードは訊ねた。もちろんガルシア達の向かう先は決まっている。
「目指すは、大ウェスト海、ジュピター灯台だ」
 ガルシアは宣言した。
「いよいよ三つ目の灯台じゃな」
「やっと始まったって感じね!」
「何だか今まで長かったな」
「ロビン達、やっぱり追いかけてくるのかな…」
 ガルシア達が実は生きているということをロビンが知れば、きっと追ってくることだろう。しかし、それ以前にカーストに見つかり、殺されている心配もあった。
 ピカードはロビンという聞き慣れない名に首を傾げていた。
「例えロビンがやって来たとしても、俺達は絶対に灯台を灯さなければならない。それだけは絶対だ」
 ガルシア達は決意した。
「行こう、ジュピター灯台へ!」
 果てしなく続く大海原をガルシア達は決意と共に西を目指して進むのだった。