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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 9

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「多分な、一応評判のいい占い師だ。きっと分かる…」
 占い師はまだ祈りを捧げている。因みに彼の前に置かれた剣はガルシアのシルバーブレードである。
 ガルシア達はピカードらしき人物がこの村に立ち寄らなかったか村人に訊いて回った。しかし、どうやらピカードはこの村には立ち寄ることなくキボンボへ向かったらしく、誰も彼らしき人物を知る者はいなかった。
 聞き込みをしているうちに感じのいい老人が村で評判のいい占い師を紹介してくれたのだった。
 その占い師は腕も確かであり、依頼者の持ち物からその者が探し求めるものを感じ取れるというのである。
 虱潰しにするよりはとガルシア達はその占い師の元へ行ってみた。行ってみると何とも呪術的な雰囲気の立ち込める、いかにもといった所だった。
 占いをしたいと言うと何か一つ持ち物をテーブルに置くように言われ、20コインを要求された。
 値段も非常に手頃であり、腕も確かに見えたのでガルシア達は信用した。コインを支払い、依頼を言おうとした瞬間占い師は何も言わずに祈り、踊り始めた。
 きっとこれで分かるのだろう、ガルシア達は思い、大人しく見ていることにした。
 しかし、占い師が妙な踊りを始めてから既に十分ほど経っている。さすがに不安になってきた。
「おい、まだ終わらないの…」
「かーー!!」
 シンが訊ねようとした瞬間、占い師は奇声を上げた。同時にシルバーブレードに手をかざすと小さな爆発が起きた。紫の煙が立ち、その色素が少し剣の柄に落ちた。
「お、俺の剣が…」
「分かったぞ…」
 占い師は静かに告げた。
「お、分かったのか?」
 シンは訊ねた。
「うむ、お主らの置いた剣から、ある男の姿が見える。名はピカード、そんな名だ…」
 当たっていた。占い師はさらに言う。
「かの者は今、ミング山脈を越え、キボンボへ向かっている。まもなく辿り着くことであろう」
 占い師は説明を終えた。ピカードに関する情報は完璧に得ることができた。これでピカードの後を追うことができる。
「ありがとう、占い師のオヤジ!よし、早く行こうぜガルシア!」
「あ、ああ、ちょっと待ってくれ…」
 ガルシアは占い師の起こした爆発によって柄についた色素を布で拭いて落としていた。
「それにしても、よくあそこまで正確に分かったわね。あなたも予測の力が使えるの?」
 シバは占い師に訊ねた。
「私にはそのような力はない。それにこのような事は本当は誰にでもできるのだ」
「誰にでも?」
「うむ、物にはその持ち主の思いが込められているものだ。それを感じ取ることができれば相手の求める答えをだすのは簡単な事だ」
 シバは説明を受け、言われていることは理解できたが、それがどういった類の力なのかまでは分からなかった。エナジーの一種なのか、はたまたこれも黒魔術の類なのか。
 ガルシアが柄の汚れを拭き取った後、一同はニリ村を後にして北のミング山脈へ向かった。
 ミング山脈、険しい山道である。道の険しさもさることながら暑さも尋常ではない。蒸し暑く、空気が非常に鬱陶しい。これは早く越えてしまいたかった。しかし、それを妨害するかのような事態が生じた。
 キボンボの戦士がミング山脈に集まっていた。彼らの話によると今宵黒魔術の儀式が行われるという。その邪魔が入らないようにキボンボ村へつながる唯一のこの道を見張っているのだという。儀式が終わるまで通行止めとガルシア達は追い返されてしまった。
「何よあいつら、頭来ちゃうわね!」
 ジャスミンは怒って言った。
「しかしどうするんじゃ、儀式が終わるまでなど待ってられんぞ」
 スクレータは言った。
「どうする、やっちゃう?」
 シバは戦う気であった。
「いや待て、手荒な真似をして応援を呼ばれたらまずい。余計に通れなくなる」
 ガルシアは止めた。
「ふふふ…」
 シンは不敵な笑い声を上げた。
「どうした、シン、何がおかしいんだ?」
 ガルシアは訊ねた。
「お前達何かを忘れちゃいないか?」
 シンは笑みを浮かべたまま訊ねた。
 ガルシア達は顔を合わせた。それぞれ知ってるか、いや知らないと目配せをした後疑問を込めた目でシンを見返した。
「おいおい、忘れちまったのかよ。オレは忍者だぜ?隠密行動は得意なんだ」
 そういえば、とガルシア達は思い出した。確かに、忍者というだけあって身のこなしは素晴らしいが、彼の性格からすると本当にこそこそするのが得意なのか疑問だった。
「おいおい、みんな疑ってるだろ?大丈夫だって、オレに任せときなって!」
 それからシンの作戦は始まった。
 まず、移動は爪先立ちで走るという者だった。これにより普通に歩くよりも大幅に足音を減らす事ができる。この走りで物陰に身を隠しつつ進んだ。
 近くににキボンボの戦士がいたが、全く気付かれることなく進めた。
「本当に気付かれないものだな…」
 ガルシアは小声で言った。
「みんな、なかなかやるな。忍者の才能があるんじゃねえか?」
 シンは小さく笑った。
「隠れん坊してるみたいで何だか面白いわね」
 シバは楽しんでいるようだった。
「いいぞシバ、お前一番忍者の才能があるぜ」
 誉められ、シバはえへへ、と笑った。
「次はどうする、シン?」
 そうだな、とシンは上を見上げた。前の方はキボンボの戦士がおり、行けそうにない。となれば上に登ってそこを進むしかない。幸い、上には進めそうな道があった。
「よし、この上に登るぞ」
 シンは手を伸ばし、岩壁の出っ張りを掴むとすっと上に登った。音もなく、無駄の無い動きである。
「さあ、お前達も来るんだ」
 よし、とガルシアが続いた。シンのやっていたようにスルッと上に登った。次にシバが行った。これまた身軽な動きでスムーズに登った。そしてジャスミンも続き、スクレータで手こずってしまった。
「ああもう、何やってんだよスクレータ。早くここに手を伸ばせ!」
「そんな事言っても年寄りにゃこんなの登れんわい…」
 スクレータが文句を言いながらも手を伸ばした途端、彼が足を掛ける出っ張りが崩れた。
「うお!?」
「誰だ、そこで何をしている!?」
 スクレータの声でキボンボの戦士に気付かれてしまった。キボンボの戦士はすぐさま声のした所に駆け寄ると、そこには誰一人もいなかった。
「おかしいな?確かに人の声がしたような気がしたのに」
 キボンボの戦士は元の持ち場に戻っていった。
 ガルシア達は岩壁の上で一瞬でスクレータを引き上げた後、ひたすら息を殺していた。本当に今ので見つかるかと思った。キボンボの戦士が戻っていったのを確認するとガルシア達は大きくため息をついた。
「もう駄目かと思ったぞ…」
 次に見つかるようなことがあれば今の見張りが更に厳しくなってしまうことだろう。そうなればあらゆる所に見張りがついてしまい、このミング山脈を越えることは不可能になってしまう。絶対に発見されてはならないのである。
「全く、気をつけてくれよスクレータ」
「…何でワシばっかり」
 スクレータは口を尖らせた。