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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 10

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「…人間じゃないわ」
 ロビンは言葉を失った。いきなり何を言い出すのかと思いきや、リョウカが人外のものだと言うのだ。そんなものがすぐに理解できるはずがなかった。
「突然何を…」
 ロビンが言いかけるとヒナは手のひらを空に向け、エナジーを出し始めた。
「ロビン、あなたはこの力を何て呼ぶ?」
 今度は迷うまでもない問いであった。
「エナジー、です…」
「そう、あなた達はそう呼んでいるわ。あたしもね…」
 何が言いたいのかさっぱり分からなかった。
「それとリョウカに、何の関係が…」
「あたし達イズモの民は古くからこの力を『呪術』って呼んでいたの。けど、あの子は最初からエナジーと呼んでいたのよ」
 リョウカが初めてエナジーを使ったのは彼女が物心付いたばかりの頃の事であった。
 その当時からヒナにも、シンにもエナジーは備わっていた。しかし、呼び方は前述の通りであった。
 ある日、リョウカはヒナに面白いものを見せると言ってきた。どんなものか訊ね、見せてもらうと、彼女は手を使うことなく側にあった壺を動かして見せた。
 最初、ヒナはリョウカも呪術を使える事に驚いた。しかし、驚くのはまだ早かった。彼女はその後こんな事を言った。
--すごいでしょ、あたしエナジーが使えるんだよ!
「もちろんそれだけじゃないわ」
 ヒナは続ける。
「髪の毛の色、あんな完璧に真っ赤なのは普通の人にはありえないわ」
 確かに真紅の髪を持つ者はそうは見ない。
「でも、それくらいは…」
「最後にもう一つ…」
 ヒナは言った。
「あの子のエナジーよ」
「エナジー?」
「そう、あの子なんのエナジーを使ってる?」
 思い返せば、リョウカは火のエナジーをよく使ってきた。しかし、その実風のエナジーも、水も、さらには地と全てのエナジーを使うことができた。
 これは普通の人間は愚か、エナジストでさえありえない事であった。いくらエナジストでも自分の属さないエレメンタルのエナジーを使うことはどうやっても不可能なのである。
「あたしはどうやら土の力を使うことができるみたいなんだけど、リョウカは何でも使えるでしょ?」
 揺るぎない事実だった。
「確かに、そうですが…」
 ロビンは前に、リョウカに彼女が何のエナジストなのか何気なく訊ねた事がある。その時彼女は顔に陰りを作り、自分は自分だとだけ言っていた。自分でも自らが何者であるのか分かってはいないようであった。
 考えてみれば、確かにあらゆるエナジーを使える時点でただのエナジストと済ます事はできない。もちろんただの人間でもない。
「じゃあ、リョウカは魔物か何かだと言うんですか!?」
 ロビンはつい大声になってしまった。はっとなって、すみません、と謝る。
「いえ、魔物にも、あらゆるエナジーを使える奴はそうはいないわ。それに、リョウカにはそういう魔物特有の悪い感じはしない…」
 人間でも、エナジストでも、魔物でもない。となると思い当たるのは一つ、あらゆる力を使いこなし、そして圧倒的力も持つもの、それは。
「あの子は…」
 ヒナは言い放った。
「神」
 ロビンは驚くしかなった。
「リョウカが…神?」
「断言はできないけどね…」
 しかし、あらゆるエナジーを使い、圧倒的な力を持ち、あらゆる技を自分のものとしてしまう能力を持っている以上、神に最も近いものであることは間違いなかった。
「そしてロビン、あなたにはそんな神をもしのぐほどの力がある」
 ロビンは胸に手を当てた。
「オレに…」
「あなたはまだその力を使いこなせるまで成長してはいない。だからあんなふうに抑えきれず暴走してしまうのよ」
 ヒナはロビンに宿るのは得体の知れない何かではなく、ロビン自身の力であると言うが、ロビンにはまだまだ実感に至ることはできなかった。
「いつかその力を使いこなせるようになった時、あなたは神を守る事になる…」
「え!?」
 ヒナは小さく笑った。
「ただの戯れ言よ」
 ヒナは夜空を見上げた。月はほぼ西へ傾いており、空が軽く白み始めていた。
「もうすぐ夜が明けるわね…。明日はオロチとの戦いよ、少しでも休んでおきなさい…」
 ヒナは家の中へ向かった。
「ロビン、自分の力に負けてはだめよ」
 ヒナは振り返り言うと家へと戻っていった。
 ロビンは白みゆく夜空を見上げ、何かを決意したような表情を浮かべ、一人立っているのだった。
 軒下でロビンとヒナの事を見ていた人物がいた。何の色も混じらない、真紅の髪の少女はとてつもない驚愕の表情を浮かべ、ただただ立ち尽くしていた。