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Wizard//Magica Wish −13−

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「っ!!?はぁっ…はぁっ…」

「くっ…もしかして、あなた…私の過去を見たのね?」


ウィザードは剣を下ろし、数歩分後ろへ引き下がった。
フェニックスは変身を解き、ミサの姿となった。


「お前…魔法少女だったのか?」

「えぇ…そのとおりよ。魔女王なんて真っ赤な嘘。私はインキュベーターと契約した魔法少女…全ては幻想よ」


一気に戦意が喪失した。
目の前に立っている彼女が自分の大切な存在を奪っていった憎むべき敵ということには変わりないのに、これ以上戦える気にはなれなかった。
ウィザードも変身を解き、ミサと対峙した。

「何故だ…何故そこまで絶望しといて魔女化しないっ!?」

「簡単よ…私は契約時に、自分の身体に絶望を受けいれた。おかげでソウルジェムの穢れは全くたまらない。ただ、ほぼ魔女に近い存在っていうのは本当よ」

「くっ…」

「あなたは絶望を希望に変える魔法使いと称したわね…なら私は逆。私は希望を絶望に変える魔法少女…いえ、魔女よ」




「っ!ほむらちゃん、あそこ!!」
「操真ハルト…それに、ミサ」


丁度、この戦いの場に まどか と ほむらが到着した。二人は全力疾走でハルトの後ろへと近づいた。

「っ!まどかちゃん、ほむらちゃん!なんでここに…」
「それはこちらのセリフよ。あなた、何故戦っていられるの!!?それにその左手に持っている指輪…まさか…」
「あぁ…杏子のだ」
「っ!!そ、そんな…杏子ちゃんが…」


「さぁ、お仲間が集まったところで、仕切り直しよ」


ミサはメデューサにもフェニックスにも変身せず、どこからともなく自分の身長以上の長さがある槍を取り出した。

「指輪の魔法使い、情けは無用よ…全力で来なさい」


「……あぁ。もちろんそのつもりだ」

「っ!待ちなさい、操真ハルト」

その時、ほむら がハルトの左手を掴み、変身を止めた。

「ほむらちゃん、止めないで」
「駄目よ。あなたが一番良く解っている筈よ…それ以上戦えば、間違いなくあなたは魔女化する。佐倉杏子のソウルジェムをウィザードリングに変えた時点で本来なら魔女化していてもおかしくはなかった。それだけでも奇跡なのよ?それなのにあなたはまだ戦おうとしているの!?あなたは、自分で奇跡を投げ出そうとするの!!?」
「…ちがう」
「何が違うと言うの!!?答えなさいっ操真ハルト!!」



「ついさっきまで忘れてたんだ…俺には、戦わなくちゃいけない理由があるから」


「なっ…」

ハルトは ほむらの手を優しくどかし、ベルトを再度出現させ、左手にフレイムウィザードリングに似たようなウィザードリングを装着した。
それは佐倉杏子のソウルジェムから作り出されたウィザードリングだった。


「ミサ…お前が今までの罪が許されることはない…俺がお前を倒さなくてはいけない。だがそれと同時に…俺はお前を救いださなくちゃいけない」

「ハルト…くん」

「まどかちゃん見てて…」

「え?」


その時、一瞬だけ ハルトは まどか に振り向き優しい笑顔を見せた。


「見てて…俺の最後の変身」

「ハル…ト…くん?」




ミサも槍を構え戦闘体勢に入った。

「私を救いだす?何を言っているの…指輪の魔法使い」


ハルトはウィザードライバーを起動させ、いつも聞く特徴敵な魔術詠唱をこの場に響きわたせる。それと同時に左手に装着された指輪のバイザーを下ろした。


「俺は、絶望を希望に変える魔法使い、ウィザード。仮面ライダーウィザードだ。ミサ…お前の絶望を、希望に変えてやる」

「…何?」


「シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!」
「変身!!……っ!!?」




−ついにその力を使ったな…もう後戻りはできないぞ…−


いいさ…彼女達の希望になる為だったら、どんな力でも使ってやる。


「っ!!!!」
「『フレイム』ドラゴン!!『ボォーボォー!ボォーボォーボォー!!』」


ハルトの体が燃え滾り、魔法陣が体を通過する。


「あの力…間違いない。佐倉杏子の物と…同じ…」

「いつものウィザードの姿とは違う…今までと何かが…何かが変わったような…」


まどかの目に映ったウィザードは今までの物とは少し違った。
特徴的な仮面のバイザーが鋭利になり、黒かったローブは真っ赤な物へと変わった。
何より特徴敵なのは胸にまるで龍の顔のようなものが浮き上がっていた。
そしてその後ろ姿は…佐倉杏子にそっくりだった。

「ハルトくん…」



「はぁっ…はぁっ……さぁ、ショータイムだ!!」


ウィザード・フレイムドラゴンは燃えたぎる大地をゆっくりと歩き、最後の戦いに挑もうとしていた…。



作品名:Wizard//Magica Wish −13− 作家名:a-o-w