The world make kaput <2章>
エリス5
男が消えてから数秒。
始めから男など居なかったかのように静かな時が流れていた。
それでも、確かに男はいたはずなので、水面を覗き込むエリスとチャッキー。
すると、次第に男が吸い込まれた辺りに巨大な影が浮かぶ。
そしてそれが、飛び出て…いや、打ち上がった。
カジキマグロだ。
水面から空を目指す様にカジキマグロが現れた。
それはエリスの頭上よりも高く舞い上がる。
そしてさらに数秒後、カジキマグロを追うように人間が飛び出てきた。
さっきの男だ。
???
「魚風情がッ……この俺にッ…ナニヲシタァァァァァァァア!!!!!」
水中で何があったのだろうか、男は怒り狂っていた。
というよりどうやって飛び出たのだろうか。
そう思ったエリスは水面に目を向ける。
するとハリマグロが二匹浮かんできた。
エリス:
「… …。」
理解した。水中でハリマグロを踏み台にして飛び出したのだ。
エリスは再び男に目をやる。
男は先に飛び出たカジキマグロの尾を掴み、地面へと投げつけた。
???
「おらぁッ!!」
ぶんッ
ぐるぐると回転しながら地面に衝突するカジキマグロ。
ズガーン!!!
長く尖った鼻が地面に突き刺さる。
男が再び池に落ちるが、すぐさま這い出てきた。
そして突き刺ささったまま身動きのとれないカジキマグロを蹴りつける。
バキッドコッボコンッバキィッズゴン!!!
ロー、ミドル、ハイキックをランダムに入れ続け、次に回転を加えた後ろ回し蹴りを喰らわす。
ズギャッ
よほど威力があったのかさっきまで抜ける気配のなかった鼻先がすっぽ抜け、カジキマグロは壁際へと飛んでいく。
それを追いかけ足の甲で蹴飛ばす。
蹴飛ばされたカジキマグロは壁にぶつかると男に鼻先を向ける形で跳ね返ってきた。
???
「そらァ!」
寸前でそれを交わし腹下に潜り込み、アッパーで打ち上げる。
打ち上げたカジキマグロを追うべく、壁を蹴り三角翔びでカジキマグロよりさらに高く飛び、身体を縦に回転させ、渾身の踵落としをする。
メギャッ……ズゴォン!
恐ろしい勢いで落下したカジキマグロは鼻の根元まで地面に突き刺さった。
作品名:The world make kaput <2章> 作家名:ますたーど