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Wizard//Magica Wish −14− 最終回

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「『フレイム』ドラゴン!!『ボォーボォー!ボォーボォーボォー!!』」

「はぁ……はぁ……」


「操真ハルト。あなたは…」
「だ…駄目だよ…それ以上戦っちゃったら!!ハルトくんはっ!!」


「はぁ……はぁ……っ…」
苦しい…体が爆発しそうだ。
もし、少しでも気を緩めてしまえば俺が俺で無くなってしまう。

けど、体が苦しいと同時に、ものすごい魔力がみなぎる。しかも溢れそうになるぐらいに。
今の俺なら、間違いなくミサを倒せるだろう。
けど、俺はミサを倒すために戦うわけじゃない。

ミサの魔法少女としての因果を経つため、俺は戦うんだ。
絶望の淵から、彼女を救わなくてはいけない。

もちろん、彼女を許したわけじゃない。

ミサは、杏子ちゃんとゆまちゃん、無理やりファントムにされた人達。

その罪は、絶対に許されたものじゃない。


けど、そんな彼女でも、希望を得る資格はある。


俺が導くんだ。


俺が、ミサの希望を取り戻してみせるんだ。


「来なさい、指輪の魔法使い。最後の戦いよ」
「ミサ…」

ミサはメデューサにも、フェニックスにも変身せず、人間体の姿でウィザードとの最後の戦いに望むつもりだった。ミサの右手には普段メデューサの姿で使用している長い槍を持ち、それをウィザードに向けた。

「行くわよ、指輪の魔法使い!」

「っ!!」


その瞬間、剣と槍がぶつかり合い、多数の火花が散った。ぶつかりあった衝撃で燃えていた大地の豪炎が鎮火し、まどか と ほむら は吹き飛ばされそうになった。
「きゃっ!」
「っ!まどかっ」
「だ、だいじょうぶっ…」
二人は魔法少女に変身し、なんとか吹き飛ばされることだけは阻止した。

「っ…凄い力ね」
「ぐ…ミサ…」
「正直、今のあなたを倒せる力は持ち合わせていない。けど!」
「ぐあぁっ!」
「あなたの体が、その力についていけてない!」

ミサの回し蹴りがウィザードの脇腹に入り、地面を引っかきながら数メートル後ずさった。

「く、くそ…」

「あなたの体は既に限界を通り越している。ソウルジェムであるあなたはその人間という個体を保つことができなくなっているのよ」

「悪いな、そんなこと、とっくの昔に教えてもらったよ」


俺は、この力を完全に制御できていない。
正直、自分の中の因果と穢れを押さえ込むのが精一杯だ。
なんだろうか…この力は、今までのものとは何かが違う。

俺の中に、別の何かがこみ上げている。


「…っ!!」
「『ビッグ』プリーズ!」

「なにっ!?きゃぁぁっ」

ウィザードは咄嗟に部分倍加魔法を使用した。だがいつも使っている同じ指輪の魔法の筈なのに、その力はただでさえ大きい右手だが、それよりさらに2倍以上はある右手となり超巨大な張り手がミサを襲った。

「なあっ…嘘だろ?なんだこの力…」

俺は再び自分の今の姿を見る。
魔力は普段から使い慣れたフレイムスタイルと同じものだ。だが黒地だったローブは真っ赤な物、仮面の触覚のようなバイザーが鋭くなっている。どうやら、フレイムスタイルの強化形態と捉えても良いみたいだ。

「『コピー』プリーズ!」
「驚いている暇はないな…っ…どこへ行った?」

「上よ…はぁっ!!」
「ぐっ、うぅっ!!」

ふと、上空から猛スピードで突撃するミサを、ウィザードは複製したウィザーソードガン2本でそれを防いだ。

「まだっ!はぁぁっ!!」
「ふんっはっ!!」

両手の剣を華麗に動かしながらミサへと振り下ろす。地上に降りたミサも負けじとガードするが次第に目に見える傷が多くなっていった。

「うぐっ…」
「隙を見せたわね!!指輪の魔法使い!!」

身体の苦痛に耐え切れなくなったウィザードの一瞬の隙を付きミサは片手から魔力砲を放った!
「『ディフェンド』プリーズ!」
「ぐぅぅぅぅぅっ!!!!」

「本当に、あなたはしぶといわね。一体何度戦えばあなたは倒れるのかしらっ!!」
「目の前の少女達からっ!絶望を取り除くまでかなっ!!…あ、ぐあぁっ!!」

ウィザードがミサの力に耐え切れなくなり、魔力砲により吹き飛ばされ何度も地面へと叩きつけられてしまった。
ミサは後ろ飛びをして距離を保ち、再び槍を構えなおす。