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機動戦士ガンダムRS 第26話 キラ

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 キラは、正直に答えた。
「そうか。
それでもあの性格だ。
おそらく簡単に『悪かった』の一言で済ましたのだろう」
 アスハ前代表は、カガリのことを見通していた。
「あの僕は」
 キラは、「なんとも思ってません」と言いたかったがそれをアスハ前代表はさえぎった。
「前1国の代表として1人の父親として申し訳ない」
 アスハ前代表がキラに頭を下げた。
「父親の私が許す。
またあれが余計なことを言ったらはたいてもかまわない」
 キラは、どうしていいかわからずあたふたしていた
 キラ少尉は、アスハ前代表と分かれるとストライクガンダムに着いた。
「坊主、スラスターの推力を18%上げたんでモーメント制御のパラメーター見といてくれ」
 マードック曹長がストライクガンダムの調整を行ったことを伝えた。
「はい」
 キラは、ストライクガンダムのコックピットの中に入ると画面を起動させ調整に入った。
「アグニの遮蔽の方もEV質バレルの量子スパッタリング待ちで30分ってとこだ。
後でシェイクダウンするから用意しとけよ」
「はい」
 マードック曹長がコックピットを見下ろす形で追加調整を伝えられた。
「それにしてもだ、坊主」
 マードック曹長がニヤニヤしながら言った。
「な、何ですか?」
 キラは、いやな予感がした。
「先アスハ前代表に頭を下げさせたらしいな」
 マードック曹長がからかうようにいった。
キラの予感は、的中した。
「たいしたことないですよ。
ただ娘のカガリが僕を殴ろうとしたことについて親としてちゃんと謝りたかっただけですよ」
 キラがいきさつを説明した。
「何だ」
 マードック曹長は、つまらなそうに答えた。
キラは、ため息をつきながら作業を続けた。
そのとき突然トリィが飛んでいった。
「こら、トリィ。
トリィ」
 キラは、ストライクガンダムのコックピットから出るとトリィを追いかけた。

        ※

 サオトメたちは、あの後一応モルゲンレーテ社近くのがけに行ってみたが手がかりはつかめなかった。
その後モルゲンレーテ社の敷地外に来た。
モルゲンレーテ社自体もフェンスで囲まれていた。
「軍港より警戒が厳しいな。
チェックシステムの攪乱は、どうです?」
 ウォーレン中尉がサオトメに質問した。
「何重にもなっていてけっこう時間が掛かりそうだ。
通れる人間を捕まえた方が早いかも知れない」
 外部からでは、手がかりは得られないと感じモルゲンレーテ社の内部に侵入しようとしたが警戒システムは驚くほどに厳しくそう簡単にいきそうにいかなかった。
「まさに羊の皮を被った狼ですね」
 サウス中尉がぼやいた。
「狼ならまだましだ。
本音を言えば得体の知れない何かだ」
 サオトメは、サウス中尉のぼやきに答えた。
そのときサオトメは、鳥が1羽飛んでくるのを見つけた。
「隊長」
 サウス中尉が怪訝そうに言った。
サオトメが手を伸ばすと導かれるようにその鳥がサオトメの手に止まった。
よく見るとその鳥は、ロボット鳥だった。
そのロボット鳥が1声鳴いた。
3人が興味を持って近づいてきた。
「珍しい。
ロボット鳥だ」
 サオトメは、はじめてみるそのロボット鳥の精巧さに感銘を受けていた。
「トリィ」
 そのとき聞き覚えのある声が響いた。
顔を上げてみるとフェンスの奥にキラがいた。
サオトメは、知らず知らずにキラに近づいていた。
「あの人のかな?」
 サウス中尉もキラに気づいたが正体までは、気づかなかった。
サオトメがゆっくりフェンスに近づくとキラも気づいてこっちに来た。
サオトメは、普通の表情をしていたがキラは微妙な表情をしていた。
サオトメは、キラにロボット鳥を見せた。
「これは、君の?」
「うん、ありがとう」
 フェンスの隙間からトリィは、サオトメの手からキラの手に移った。
キラは、ロボット鳥を受け取るとそれを大切に胸に抱きしめた。
「シンジョウさん、いきますよ」
 ウォーレン中尉がコロニー軍のエースであるアツシ・サオトメだとばれないように偽名で呼んだ。
サオトメは、部下たちのところへ戻ろうとした。
「昔」
 そのときキラが話しかけてきたのでサオトメは、立ち止まり振り返った。
「昔大切なコーディネイターの友達にもらってナチュラルの恩人に再会できた僕の大切な宝物なんです」
 キラは、涙をこらえながらロボット鳥を自慢した。
「ならもう離すなよ」
 サオトメは、行き場のない思いと涙をぐっとこらえ一言そういった。

          ※

 キラは、トリィを追いかけて地上に出てきた。
「トリィ」
 あたりを見渡すがトリィは、どこにもいない。
「もうどこ行ちゃったんだろう」
 キラがフェンスの外に目をやるとこちらに近づくサオトメがいた。
キラは、目を疑った。
(サオトメ)
 キラは、思わずフェンスのほうに近づいた。
キラは、微妙な表情をしていたがサオトメは落ち着いていた。
サオトメは、キラにロボット鳥を見せた。
「これは、君の?」
「うん、ありがとう」
 フェンスの隙間からトリィは、サオトメの手からキラの手に移った。
キラは、ロボット鳥を受け取るとそれを大切に胸に抱きしめた。
「シンジョウさん、いきますよ」
 サオトメの部下がサオトメを偽名で呼んだ。
サオトメは、部下たちのところへ戻ろうとした。
キラは、とっさに何か伝えないといけないと感じた。
「昔」
 サオトメは、キラが話しかけてきたので立ち止まって振り返った。
「昔大切なコーディネイターの友達にもらってナチュラルの恩人に再会できた僕の大切な宝物なんです」
 キラは、涙をこらえながらトリィを自慢した。
「ならもう離すなよ」
 サオトメは、一言そういうと去った。
キラは、いつまでもその後姿を見ていた。
サオトメとキラを隔てているフェンスは、上部がねずみ返し構造でそこに何重にも電気が流れている有刺鉄線が巻かれている。
これは、モルゲンレーテ社が外部と内部の不法侵入を防ぐためのものである。
そのため通常兵器を使えば簡単に壊すことが可能である。
しかし今の2人には、ナチュラルとコーディネイターの世界を隔てる絶対に壊せない鉄壁の壁のように感じられた。