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ヘタレとムキムキ

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祖父に見送られ、いつもの旅行カバンを手に村を出発したイタリアは、友人・ドイツと待ち合わせている隣町へと向かった。

「ムキムッキームキムッキームキムキドイツは何処にいるー♪」
「妙な歌を大声で歌うな!!」
「わっ、ドイツそんなとこに居たのぉ?探しちゃったよー」
「探したのは俺の方だ!待ち合わせの場所に何故真っ直ぐ来ない!?1時間と48分の遅刻だぞ!!」
「ヴェー、だって可愛い子が居てさぁー町を案内してくれるって言うから……」
「お前は観光客か!?この町には毎週遊びに来ているだろう…!」
この青筋をビキビキと立てて怒鳴る友人は、ヘタレなイタリアとは対照的なムキムキ青年のドイツである。彼らは所謂、幼馴染という関係だ。
イタリアの祖父ローマとドイツの父ゲルマンも竹馬の友であり、その孫と子が知り合って仲良くなるのにそう時間はかからなかった。因みに、ゲルマンもまた非常に優秀な超能力者として世間に知られ、その能力故にローマ以上に神格化された偉人でもある。

一通りイタリアを説教し終えると、ドイツは溜息を吐いて時計を見た。
「…今、大学がテスト前で忙しいんだ。尊敬するお前の祖父にどうしても、と頼まれたから講義を抜け出して来たというのに……」
「ヴェー、ごめんねドイツ……俺、今度は時間守るから…!」
流石に反省したのか、イタリアはしょんぼりした表情でドイツに謝った。イタリアは、ドイツが大学で必死に医学を学ぶ理由を知っているからこそ、余計に悪いことをしてしまったと自省の念に駆られた。
ドイツには、尊敬する兄がいる。その兄もまた父譲りの優れた超能力を持ち、その力を生かして小さな村の開業医をしている。しかし、能力の制約によってどうしても無理しがちであり、今のままではとてもではないが身体が保ちそうにない。そのため、ドイツも医師免許を持ち医療に従事することで、兄の負担を少しでも軽くすることを目指しているのだ。
「…まあいい、とにかく今からでも返し刃の行方を追うぞ」
「うん」
止めていたバイクを取りに、ドイツは歩き出す。そのドイツのバイクに2人乗りする気満々のイタリアが、スケッチブックからスクーターを描いた紙を切り離し、丁寧に破いた。スクーターは一瞬にして光に包まれると、空気に溶けるようにして消え去る。
(流石にローマの孫なだけはあるな…能力は申し分ない。そう、能力だけは)
ドイツは心の中でこっそり感心すると、ローマが知る限りの情報を持たせたというイタリアに確認をした。
作品名:ヘタレとムキムキ 作家名:竹中和登