ヘタレとムキムキ
「それで、大体の目星はついてるんだろうな?」
「爺ちゃんが言うには、今この町辺りに居る筈!!…だって。腰から長い刀を提げてて、黒髪黒目、身長は160センチ位で小柄」
「凡そ、そこらを流れる噂と同じ情報だな…」
脱力したドイツを横目で見て、イタリアは付け足した。
「あと、よく分かんないこと言ってた」
「よく分かんないこと?」
「俺1人で行った方が楽だったのに~って」
「……今からでも、お前1人で行った方が良いんじゃないか?」
「ヴェー!!意地悪言うのはやめてよドイツー!ドイツは爺ちゃんのこと信用しすぎだよー!!」
泣き喚くイタリアを宥めながら、取り敢えずドイツはイタリアの頭にヘルメットを被せてやった。
「居ないな…」
「居ないね…」
「そもそも、ローマ様からの情報が少なすぎる上にアバウトだったからな。見つからなくて当然かもしれん…」
「ヴェヴェ、諦めないでドイツー!」
数時間走り回って探したは良いが、返し刃らしき人間は全く見当たらない。ローマが入手した情報によれば、つい先日この近辺で目撃情報があったというのだが。
「しかしな、このままでは日が暮れてしまうぞ」
「うーん、じゃあ一旦俺の村に帰る?爺ちゃんは多分帰っちゃったと思うけど、美味しいパスタはご馳走出来るから!」
「………」
「美味しいご飯食べたら、また探そうって意欲湧くと思うんだー」
「……そうだな」
もう何かを諦めた様子でドイツが頷いた。イタリアを後ろに乗せると、ドイツはUターンしてイタリアの滞在する村へと向かった。