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ゆーとぴあ
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Sweet Devil

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付き合ってから半世紀の恋人がいる。名前はスペイン。普段はアントーニョと呼んでる。
この恋人、付き合う前はともかく付き合ってから一度も好きだと言ってくれたことがない。むしろ嫌いだとか、眉毛だとか言われて、目が合う度に睨まれているような気がするのは勘違いではないと思う。
何故、此奴は俺と付き合ってくれているのかたまに分からなくなる。

「おい、家に来てまで内職かよ…」
「お前よりも此方が優先や」

滅多に休みをもらえない俺が、上司に頼んで3日の連休を貰っても相変わらずこの調子だ。
甘える事もしない。俺に照れているところも見たことがない。そのくせに、俺以外の奴等にはへらへらでれでれで、嫌でも嫉妬してしまう。

「お前、何しに此処に来たんだよ」

隣に座ってそう話しかけてみたけど、返事は帰ってこない。邪魔をするなと言いたげに造花ばかり作っている。

「しかとする気か?」

───…やっぱり無視か……

何を話し掛けても此奴は無言を押しとうす気だ。
どうせ何時もこうなんだ、と、自分で自分を慰めたのは何度目だろう。いい加減に自分が可哀想になって来た。
何故俺のことを選んだのか。付き合っているのに甘えてくれないのか。本当に好きなのは誰なのか…。聞きたい事は山程あるというのに、その答えが怖くて何にも聞く事が出来ない。ただ、これだけは聞きたかった、

「お前、俺の事を好きだとか言ってくれないのか?」

どうせ何も返事は返って来ないと思って問い掛けた。

「…まあ、言わないんだろうな」

まるで自問自答をしているようだった。
いい加減、泣きたくなってくる。だからといって、すんなり涙が出てくるわけでもないが。

「何で俺達、付き合ってんだろうな」

わざと鼻で笑って言ってみた。
別に別れたい訳でもない。むしろ、俺と付き合ってくれている事実は何より嬉しい。ただ、俺のこの複雑な気持ちに気付いて欲しいだけだ。

「…言わへんよ、お前には」

不意に開かれた口から言葉が吐かれた。
その言葉は、自分で自問自答をするよりもはるかにきつかった。それでも、本当は知っている。

「お前を好きとか…悔し過ぎるやろ…」

此奴は、本当に俺を好きだってことを。

作品名:Sweet Devil 作家名:ゆーとぴあ