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こらぼでほすと ダンス1

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 坊主のような旦那様がいいなあ、と、桃色子猫は言っていたので、ニールとしても、それはよいと思う。初めてのダンスなら、そういう相手のほうが楽しいだろう。
「俺が? ・・・・おまえ、もうちょっと、男の見分け方を教えておけ。」
「何言ってるんですか。あんたは、いい亭主ですよ。女房の俺が保証します。」
「まあ、ママニャンには、いい亭主だよ、ほんと。普通は女房が逃げると思うけどな。」
 ハイネが茶々を入れて笑う。確かに、噛み合っているのだ。暇にさせてはいけない女房と、傍若無人な鬼畜亭主だから、ここの夫夫は、ちゃんと折り合いがついていて仲睦まじく暮らしている。普通の女性なら、ちょっとついていけないだろうが、裏稼業をやっていた女房は、日々、マグナムで狙われても動じないし、罵詈雑言を吐かれても馬耳東風にスルーできるスキルがあるからだ。
「向うで俺の相手だけできるのか? 」
「ああ、なんとかなるでしょう。ラクスはキラが相手するだろうし、カガリもフェルトを構いたいだろうから、俺はあぶれるはずです。」
「トダカさんは? 」
「別に、三人でまったりしててもいいでしょ? どうせ、飲んだくれてるだけなんだし四日だけじゃないですか。それに延長になったら、あんた、一週間、一人ですよ? 」
 遠征は三泊四日だから、それほど長期間ではない。カガリとラクスの休みが、それだけしか調整できなかったし、そろそろアカデミーの準備もあるから、学生組の予定も考えて日程は組まれている。まあ、フェルトが、カガリの別荘が気に入ったのなら、もう少しラクスとカガリ以外は延長してもいいかな、ぐらいの温いスケジュールだ。延長すると、寺は一週間、坊主だけなんてことになる。
「四日で帰るぞ。」
「はいはい、じゃあ、こっちでフェルトと遊んでやってくださいね。そろそろ遊園地もいいだろうし。」
「ちっっ、しょうがねぇーな。たまには、桃色子猫の機嫌でもとってやるか。」
「ありがとうございます。フェルトも喜びます。」
 よくわからないが、女房がいないと不自由なのが面倒らしく、坊主が折れた。ついでに、特区の遊園地も出かけてくれるらしい。降下の予定は一ヶ月だから、適当に連れ出してやるつもりだったので、ニールとしても三蔵が参加してくれるのは助かる。一緒に行動してくれれば、世話も一緒に出来るから楽なのだ。

 「おい。」と、坊主が、それだけ言うと踵を返す。
 「はいはい。」と、女房のほうも立ち上がって回廊へ降りていく。

 とりあえず、出勤前の晩酌をさせろ、ということらしいのだが、あれだけで分かり合えるのは、もはや熟年夫婦のノリじゃないか、と、ハイネも苦笑しつつ後に続く。発熱といっても微熱程度だから、晩酌の準備くらいはてきるという坊主の判断なのだろう。それで疲れたら、大人しくこたつで転がっていてくれるだろうから、ハイネも注意はしない。



 おやつの時間より少し遅れて、アスランがキラとやってきた。ダンスについての報告だったが、「三蔵さんがエスコートしてくれることになった。」 と、ニールのほうから言われて驚いた。
「は? 三蔵さんが? 」
「そうそう、俺じゃなくて、三蔵さんがエスコートして最初は踊ってくれることになったんだ。」
 で、ハイネもニールの自主練について報告して、ダンスは無理だと言う。ある意味、ハイネも甘いのだが、まあ、それはアスランも同様だ。
「ママニール、自主練なんてしちゃダメですよ。」
「そうそう、運動できる体力なんて、ママにはないんだからね。・・・でも、そういうことなら、ママには最初、三蔵さんと両側からフェルトをエスコートするだけでいいね。」
 もちろん、キラもママに特訓なんてさせる気は、さらさらない。そこまでしてダウンされるほうが問題だからだ。
 そこへ、悟空が短期バイトから帰ってきた。相変わらず、悟空は休みになると体力勝負な短期バイトに精を出している。
「ただいまぁー、おお、キラ。」
「悟空、フェルトは三蔵さんが踊ってくれるって決まったよ。」
「あ、そうか。その手があったか。」
 年少組もおやつを食べつつ、うんうんと頷いている。参加しないんだろうと思っていたので、うっかり除外していたのだ。
「ほら、時間だから、口を動かせ。」
 本日は、あったかトン汁に、ちらし寿司が用意されていた。こっちに立ち寄れないシンたちの分も、きっちり作成はしてあるのが、さすがおかんだ。
「桶と鍋ごと運んでくれるか? アスラン。」
「お安い御用です、ママニール。ハイネ、残ってくれるか? 」
「おう、そのつもりだ。とりあえず、ナマケモノモードで転がしておく。」
 店も繁忙期ではないので、ハイネはニールの番をすることで話はついている。
作品名:こらぼでほすと ダンス1 作家名:篠義