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こらぼでほすと ダンス2

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ほどなく、桃色子猫が降下してきた。予定を合わせたので、そのまま歌姫様のプライベートジェットに乗り換えて移動する。先に大型のジェットのほうで多数は移動しているので、こちらはハイネとレイが一緒している。五年ぶりにジェット機に搭乗するので、ニールの身体を心配してのことだ。一応、検査を受けた結果では、ほとんどの細胞異常は正常に戻っているとのことだが、一人にすると碌なことがない生き物なので、用心してアスランがつけたのだ。

 機内に落着いてから、フェルトが、今回の休暇は一ヶ月だが、特区の滞在は二週間なんだ、と、予定変更を言い出した。
「二週間後に、イアンが降りて来るの。それで、欧州のテーマパークへ一緒に遊びに行くことになったから。」
「おやっさんが? フェルトとテーマパーク? 」
「違うよーニール。イアンだけじゃなくて、ミレイナとリンダさんも一緒。家族旅行なの。」
 イアンは、組織に家族が集結している。で、全員がメカニックなので、なかなか休みが取れない。今は、新しいMSの開発で、てんやわんやしているのだが、さすがに休みもとらないのは、どーよ? と、スメラギが強制的にイアンファミリーに一ヶ月の降下を申し付けたらしい。ちょうど、フェルトが降下している時期だから、合流しようということになったそうだ。イアンとリンダ夫婦にとっては、フェルトも我が子みたいなものだし、アトラクションなんかは同世代で遊ぶほうが楽しいだろう、とのことだ。
「二週間後に、フェルトは欧州に移動ってことか? 」
「うん、あっちのホテルで合流する。・・・あたしもテーマパークは行きたくて・・・」
「それなら楽しんでおいで。うちは、男ばっかだからな。そういうのは、ミレイナと一緒の方が楽しいだろう。」
 一応、歌姫様とかカガリとかはいるのだが、どっちも有名人で、そういう場所で一般人に混じって遊ぶのは難しい。警備の問題があるから、貸切にしてもらわないと行けないので大事になる。特区の遊園地くらいなら大した規模ではないが、世界的に有名なテーマパークは、さすがに貸切にはできない。だから、そういう場所なら、イアンファミリーと一緒の方がいい。ニールも、それなら安心だから、納得した。
「でも、動物園は行きたいな、ニール。刹那とティエリアが楽しかったって言ってた。」
「お安い御用だ。気候もいいし、のんびり散策しよう。おまえさんなら、動物にも触れるだろう。刹那もティエリアも触れなくてさ。」
「そうなの? 刹那は虎に触ったって言ってたよ? 」
「虎は触れるんだけどさ。・・・・草食動物は刹那が怖いらしくて逃げるんだよ。」
 あれは、イノベーターだったからなんだな、と、ニールにも、ようやく合点がいった。あの当時は、はっきりしていなかったが、おそらく脳量子波でコンタクトが取れていたのだ。だから、肉食動物たちは刹那を同族として扱っていたらしい。
「そうなの? イノベーターって、そういうこともできるんだ。」
「みたいだな。虎にとっては、刹那は小虎みたいなもんだったんだって。だから、刹那が触っても怒らなかった。俺も刹那のおかんってことで触らせてもらったぞ。フェルトもやってみるか? 」
「・・・・うーん・・・・」
「無理にとは言わないよ。それなら、ヤギとか羊とかウサギなら、一般人でも触れる場所があるから、そこで和もうか? 」
「うん、そのほうがいい。・・・・ニール、大丈夫? 」
 ジェットは、すでに水平飛行に移っているが、ニールは平気な様子だ。あれから三ヶ月だから体調は落着いているだろうが、本当に大丈夫なんだろうか、と、フェルトは心配していた。
「この間の検査で、細胞異常は、ほぼ完治してるって言われた。もう、大丈夫だよ。」
「よかった。これで、どこにでも行けるね。」
「そうだな。次からは、特区に限定しなくても付き合えると思うから希望があったら、先に言ってくれ。」
「あたしは、ニールと、お寺でのんびりするのがいいな。」
 フェルトにしてみると、実家に帰っているようなものだから、どこよりも落着くし、のんびりした気分を味わえる。それに遊び相手もいるから、寺でゆっくりするほうがいい。
「それならそれでいいさ。ミレイナも連れて来れば、特区で買い物したり遊びに行くのも楽しいだろうな。」
「そうだね。次は、ミレイナも、こっちに誘ってみる。あたしも案内してあげられるところがあるもの。」
 寺の周辺なら、フェルトも慣れたものだ。それに、五年間、ちょこまかとニールたちと水族館やら遊園地やらは遊びに行っているから、そういう意味では特区にも詳しくなっている。ニールとしても、フェルトが世界を知ることは必要だと思っているし、そこから経験してフェルト自身も成長すればいい、と、考えている。




 小型ジェットはオーヴの国際空港を経由せずに、直接、別荘のある島の滑走路に下りた。大型のほうは、滑走路の長さが足りないから、一端、そちらを経由しているので到着するのは、大きな時間差はなかった。
 滑走路には、すでにカガリと歌姫が待っていた。ニールと手を繋いでやってきたフェルトにカガリが飛びつく。
「フェルト、久しぶりっっ。」
「カガリ、久しぶり。」
 そして、ニールのほうには歌姫様だ。
「お体の具合は、いかがですか? ママ。」
「すこぶるいいよ。気圧変化に関しては問題がないみたいだ。」
 それを聞いて、カガリと歌姫も、ほっと胸を撫で下ろす。一応、検査結果は聞いていたが、以前の状態を知っているから心配していた。
「それは、よろしゅうございました。さあ、今夜は忙しいのですよ? ママ。まずは、一休みしてくださいませ。」
「三蔵さんは? 」
「さっき、到着されてプールサイドで呑んだくれておられました。・・・お世話はお願いしますね? 」
「そっちは了解。レイ、ハイネ、行こうぜ。」
 キラたちは到着して、すぐに海へ遊びに行ったらしい。さあ、と、クルマに分乗して、全員が別荘に移動した。


 で、到着して一息入れたら、さくさくとフェルトは拉致されていった。お肌のお手入れとか衣装選びとか、いろいろと夕方までにやることが満載らしい。
「そりゃ、女性陣は大変だぞ? ママニャン。エステしたりヘアメイクしたり、たっぷり時間がかかるんだ。」
「そういうもんかね。うちの亭主、プールサイドだったな? レイ。案内してくれるか? 」
 ニールは、カガリの別荘は初めてだ。悟空やフェルトから話には聞いていたが、あまりの規模にびっくりした。島ひとつが個人所有だというのも、すごいが、秘密ファクトリーの所在地でもあるらしい。見た目には、大きな屋敷と、庭園、温室、テニスコート、室内外プールなんていうのが、眼下に広がっている。
「併設の場所なので近くです。でも、ママ、声だけかけたら昼寝してください。」
「それほど疲れてないけど。」
「それじゃあ、プールサイドでビールと洒落込もうぜ? レイ。俺らも慰安旅行なんだから、ちょっとは、それらしいこともしないとな。」
 取り成すように、ハイネが言って案内する。どうせ、ビールを飲んだら寝るはずだから、どこで昼寝になろうと昼寝には違いない。

作品名:こらぼでほすと ダンス2 作家名:篠義