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こらぼでほすと ダンス3

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夕刻に、大きな居間で寛いでいたら、年少組が戻って来た。そろそろ衣装の準備があるらしい。
「シン、ちょっとおいで。」
 そこで、ニールがシンを捕まえて、部屋の隅に引っ張った。なんだ? と、思ったら、意外なことをニールは尋ねてきた。
「おまえ、この休みに墓参りは? 」
「え? 」
「俺は命日までは知らないけど、せっかく戻ってるんだからさ。行ける時は行っておけ。俺も一緒させて欲しいんだけど、いいか?」
「ちょ、ねーさん? うちの墓って、基本的に慰霊碑しかないぜ? なんで、ねーさんまでついてくんだよ。」
「折角だから、挨拶させてもらおうかなって思ったんだ。」
「はあ? 死んでるのに挨拶って。」
「縁あって、兄弟みたいに暮らしてますって報告させてもらうのは、おかしいか? 」
「おかしかないけど・・・そこまでしなくてもいいんじゃ。」
「うん、まあ、そうなんだけど。俺らも、かなりの犠牲者出してるしな。そういう意味では、慰霊させてもらいたいって感じ?」
 直接、組織はオーヴとの戦闘には関与していないが、まあ、いろいろとやらかしているので、慰霊碑に挨拶ぐらいはしておこうかな、と、ニールも考えていた。 ニール自身は、五年少し、墓参りしていないが、気になるものは気になる。ディランディーさんちは、そういうことに、きっちりしているので、実弟が、時間がある時には参ってくれている。シンも、気にはなっていたのだが、一人だけ勝手にするのも悪いか、と、今回は諦めていたのだ。
「なんで、気付くかなあーこのバカ姉は。」
「姉だからな。なんとなく、そうじゃないかと思ってた。」
 言い出しにくいことだから、シンは言えないだろうと、ニールも思っていた。墓参りに行くとなると、キラたちも行かないわけにはいかないからだ。なんせ、その被害を起こした当事者だ。そうなると、フェルトも連れて行くなんてことになって、大事になるし、あまり気分のいいものでもないから、慰安旅行としては相応しい場所とは言えない。
「そうなると父さんも行くと思うぜ? 」
「いいんじゃないか? 半日もあれば行けるんだろ? 」
「行けるけどさ・・・でも、フェルト、どうすんだよ? 」
「カガリとラクスに遊んでもらえば良いさ。あいつらは、今回、オールバカンスなんだろ? 」
「うん。」
「じゃあ、トダカさんに頼んで予定に入れてもらうからな。」
 話が纏まると、ニールはシンから離れて、トダカの許へ向かう。移動の手段をお願いするためだ。レイが近寄ってきて、「どうした? 」 と、尋ねてくれる。
「ねーさんが、うちの両親のとこへ挨拶したいんだってさ。」
 レイも、それを聞いて、はんなりと微笑んだ。そういうところに気が回る人だからだ。
「俺も行っていいか? シン。」
「いいけど、なんもないぜ? レイ。」
「だから、俺も、ご挨拶しておく。というか、ママの体調監視ということにしておいてくれ。」
 あんまり予定を詰め込むとダウンするので、その調整はレイがやるつもりだった。ハイネが実務面はフォローしてくれるだろうが、実際に側に居るのは、今回はレイの担当だ。
「まあ、いいけどさ。明日、朝のうちにテストだよな? 後は、最終日の朝だったな。」
「ああ、その予定になっている。帰り際か、明後日の朝ぐらいだろうな。」
「じゃあ、父さんに、それ言っておくか。」
 ニールがトダカと話しているので、そこへシンとレイも行く。こちらの予定も説明しておかないと、時間が決められないだろうからだ。



 夕刻に、内線で叩き起こされた沙・猪家夫夫は、わたわたと準備していた。バカンスの気楽さで、宿六が暴走したもんだから、女房のほうは付き合わされて、へとへとだ。だが、今夜は正式な晩餐会をやる予定だから出席しないわけにはいかない。それに、一人だけ不参加だと、翌日のスタッフの目が気になる。
「衣装、貰ってくる。・・・・ほんと、行くのか? もう寝ててもいいだろ? 」
「いつもならスルーもありですが、今回は無理ですよ、悟浄。フェルトちゃんの社交界デビューなパーティーなんだから。僕も、そういうのは経験がないから鑑賞させていただきたいですしね。」
 沙・猪家夫夫も、こういうセレブな催しなんてものは、初めてのことだ。どういうものなのか経験もしてみたいし、参加しないと、キラの天然電波攻撃を受けるのも確実だ。いや、すでに参加すれば、受けるのも確定なのだが、それでもドタキャンするよりは、幾分かマシなはずだ。
 宿六が衣装を手に戻って来て、かなり驚いた。燕尾服なのは予想の範囲内だったが、八戒のものは翡翠色、悟浄のものは、赤茶色だったからだ。借り物だと思っていたら、ちゃんと個人個人に合わせて作られていた。店の衣装も、基本的には各人に合わせてあるが、まさか、ここでも、だとは思っていなかった。
「店でも使うから、新調したんだとさ。おまえの、いい色だよな? 」
「あなたのも、すごいですね。こんな色の燕尾服があるんて。」
 本来、燕尾服は正装だから、黒か、まああっても白だ。こんな色のものは見た事がない。どうやら、オーナーは本気で晩餐会をやるつもりらしい。
「ある意味、芸能人だよな? 」
「はははは・・・まったくですね。まあ、店ではいいんじゃないですか? 他の方も、こういうものなんですか? 」
「全員がってわけじゃなかったぜ。腐れ坊主とママニャンは、黒だった。他のは見てない。」
「それは、フェルトちゃんの衣装に合わせているんでしょう。エスコート役ですから。」
「ちゅーことはだな。エスコートしないのは、カラフルになってるっとこか。」
「そうじゃないですか。とにかく、着替えましょう。」
 そろそろ集合時間だ。整髪料で髪を撫で上げて衣装をつければ、準備完了だ。シャツは白だが、棒タイも同色で纏められた衣装は、身体にもフィットしている。扉の前で、宿六は優雅に手を差し出す。ヒモやってホストもやってるので、この手のエスコートは、朝飯前だ。
「では、奥様、お手をどうぞ。」
「はいはい、ちゃきちゃきと案内してください。・・・・あー、食事入るかなあ。僕、胃も疲弊してるんですがね? 悟浄。」
「満腹するほど飲んだか? 俺の。まあ、あれ、たんぱく質だから、腹に溜まるっちゃー溜まるか。」
 その一言で、宿六は気功波で扉の外へ弾き飛ばされたのは、言うまでもない。




 女性陣の着替えが終わるのを、エスコート役は控え室で待っていた。全員が、一人を除いて黒の燕尾服だが、タイとデザインで微妙に形は変えている念の入り用だ。キラは、白の燕尾服に青のベスト、リボンタイも青で、可愛い感じに纏まっている。悟空は、黒の燕尾服だが、ベストは朱色、リボンタイも朱色だ。そして、寺の夫夫は、オーソドックスな黒の燕尾服で、どちらも白のベストと棒タイ。見た目には、全員がイケメンではあるので、とても美しかったりする。
「このまま、食事すんのか? キラ。」
「そうだよ。本当は、まずデビューのダンスとかお披露目とかやるらしいけど、そこは端折って、まず、ごはん。それから、食後の運動にダンス。」
「こんな堅苦しい格好で食事? 悟空、汚すなよ? ああ、ナフキンを胸にかけておけばいいか。」
作品名:こらぼでほすと ダンス3 作家名:篠義