二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと ダンス3

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

 両側に、ひとりずつが陣取り、その大きな扉を開く。中には、一部を除いた『吉祥富貴』のメンバーが待っていた。まず、カガリと悟空、そして、キラとラクス、最後に、寺夫夫にエスコートされたフェルトだ。周囲から拍手が響いているので、フェルトは、びっくりだが、両側からエスコートしてくれるおとんとおかんが一緒だから怖くはない。よく見たら、いつもの顔が並んでいるが、全員が正装している。
「本日は、お集まりいただきまして、ありがとうございます。フェルトの歓迎の晩餐会です。大いに盛り上がってください。」
 歌姫が、そう挨拶して、軽くお辞儀する。それに、倣うようにカガリと悟空、フェルトと寺夫夫もお辞儀する。パチパチと拍手が起こり、それが静まると、ハイネがフェルトの前にやってきた。こちらも、クリーム色の燕尾服で、フェルトと釣りあうような衣装だ。
「フェルト姫、ダンスの予約をお願いします。」
「え? 」
「ファーストダンスは、父上と決まっておりますので、二番手に立候補いたします。」
 すると、今度は、アスランも近寄ってきた。
「いえ、フェルト姫、私に二番手の栄誉を。」
 さらに、トダカもやってきた。
「フェルト姫、おじいさまと二番目のダンスを。」
 三人が手を差し出すのだが、どうしていいか、わからないので、ぎゅっとおとんとおかんの腕を掴む力が強くなった。
「フェルト姫、二番目に踊っていただくなら、おじいさまがいい。それからは、おまえが好きにしなさい。」
「まあ、二番はじじいだ。その次は、へたれがいいんじゃねぇーか? 桃色猫。」
「へたれ? 」
「アスランだ。」
「・・う、わかった。じゃあ、最初は三蔵さん? 二番目はトダカさん、三番目はアスラン、・・・ニールは? 」
「その後ぐらいに。」
「うん。・・・・お願いします。」
 フェルトが順番を決めると、こくんと頷いてお辞儀した。こういう演出もあったほうが楽しかろうと、先にスタッフで役割を決めていたらしい。ハイネが弾かれるのも演出の一つだ。
「では、ダンスのほうも決まりましたし、まずは食事をいたしましょう。そのまま、奥へ進んでください。」
 ぞろぞろと大広間を通り抜けると、大食堂だ。大きなテーブルが用意されていて、銀食器が並んでいる。レイとシンが、各人の場所に案内して席に着くと、別荘のスタッフが食前酒から運んで来た。
「これ、本当に、こんななの? ラクス。」
 対面に陣取っているラクスに、フェルトは尋ねる。こんな仰々しい食事なんて初めてのことだ。
「一応、儀式的なものは省いておりますが、欧州の社交界デビューのパーティというのは、こういうものなんです。・・・・でも、食事は楽しくが、うちのモットーですから、ここからは、いつも通りで。」
「そうしてくれ、俺、敬語とか舌噛むぞ、ラクス。」
「すいません、悟空。ちょっとセレブリティーな雰囲気をフェルトに楽しんでいただきたくて。」
「もう、いいだろ? ほら、乾杯するぞ、みんな。グラスを持て。」
 カガリが、そろそろセレブリティーな空気に飽きたのか、グラスを片手に立ち上がった。周囲も笑いながら、グラスを持ち上げる。それを確認して、カガリがグラスを高く掲げた。
「フェルト、おかえり。この休みも目一杯はっちゃけるぞっっ。かんぱーいっっ。」
 と、大声で叫んでグラスの液体を飲み干す。かなり、公式な雰囲気とは程遠いが、これぐらいにざっくばらんなほうが、『吉祥富貴』には相応しい。かんぱーい、と、全員で叫んで、みな、グラスを飲み干す。もちろん、ニールとフェルトのはノンアルコールのカクテルだ。
「悟空、お代わり自由だ。」
「あー、俺、腹五分目ぐらいにしとく。」
「そうだな。後で、夜食を食いながら対戦ゲームをしよう。」
「そうそう、ガッツリなの頼んでくれ。いっただきまーすっっ。」
「悟空、ナフキンをかけろ。汚すから。ほら、フェルトも。」
 運ばれて来た前菜に手を出そうとする悟空を制して、ニールが声をかける。がつがつ食われたら、せっかくの衣装が汚れるから、それを注意して、となりのフェルトにもナフキンを胸元から巻いてやる。それから、ナイフとフォークの順番を教えているのが、やはり、おかんだ。
「これ? 」
「そうそう、外側から使うんだ。・・・はい、三蔵さん。」
 で、さらに坊主にビールも注いでいる。寺の日常風景だから、誰も和むなあ、と、思うぐらいで済む。見た目にはモデルばりのイケメンなのが、本当に残念だ、と、歌姫様は苦笑していたりするけど。

 三蔵の席だけは、カトラリーが置かれていない。箸置きと箸が鎮座している。一応、同じように料理が運ばれてくるが、中身も、まったく違うものだ。和風か中華風のものを、と、ニールがリクエストしたので、それらが運ばれている。
「ニールの違うね? 」
 メインまでは、似たようなものだったが、魚、肉料理辺りになってくると、フェルトとは違うものが運ばれた。
「こってりしたのは食べにくいんで、変えてもらってるんだ。こっちも味見するか? フェルト。」
 フェルトの前には、フォアグラが載せられたフィレステーキだが、ニールの前にあるのは、野菜のほうがメインになっているような小さなフィレステーキで、ソースもドレッシングのような感じだ。こんがりと焼きあがっているかぼちゃとジャガイモのスマッシュと一緒に、フェルトの口に放り込んでくれた。
「こっちもおいし。」
「食べるんなら、皿を変えてやろう。」
「ううん、そこまではいらない。ニールも食べて? 」
「はいはい。」
「おい。肉。」
「ああ、食べますか? はい。」
 寺夫夫が桃色猫を挟むように座るのが正式だが、坊主の世話がやりにくいので、そこも変えてもらった。というわけで、ニールを真ん中に、桃色猫と坊主が両側に座っているから、どっちの相手もできる。自分の料理をフォークで、亭主の口に運んでいたりするし、桃色猫の口にも放り込んでいる状態だ。
「これなら食えるだろ? おら。」
「ああ、すいませんね。」
 で、亭主も女房が好きそうなものは箸で女房の口に運んでいるわけで、これで同居人とか言い張るのだがら、いろいろとツッコミどころは満載だ。どうも、この夫夫、ふたりだと、こんなことをしているらしいので、イチャコラだという認識はない。
「僕も、アスランとあーんはするけど、あそこまでイチャコラはしていないよ? 」
「どうも、ママは、あれがイチャコラだとは、ご存じないらしいですよ? キラ。あれは餌付けと言うそうです。」
「俺も食べさせてくれるぜ? ラクス。」
「そういや、私もやられるな。あれは、ニールにとっては、ただの餌付けなんだな。納得した。」
 対面の四人は、その様子を肴に食事を続けている。いちいち、ツッコミするのも面倒だからスルーの方向ではある。料理はフルコースなので、肉で、ほぼ終了だ。あとは、チーズと酒が運ばれて、最後にデザートになる。酒は、後のダンスのためにやめてデザートで早々に締め括る。
作品名:こらぼでほすと ダンス3 作家名:篠義