こらぼでほすと ダンス5
刹那が、ダブルオーで宇宙空間に飛び出る。いろいろな刹那自身のデータを採取するために、実験を繰り返している。その周囲の警戒のため、ロックオンもケルビィムリペアで発進する。そのデータをフィードバックさせて保存するのが、ティエリアとアレルヤの仕事だ。これが終わらないと、刹那の新しい機体に反映できない。
刹那だって、ニールに逢いたくないわけではない。ただ、桜の花見は、そう慌てなくてもいいとは思っていた。刹那の戦わない未来は、ニールと共に在る。戦わない時間というのは、刹那にとって、ニールの側に居る時だからだ。ニールの細胞異常は治療が出来た。だから、焦る必要はなくなった。これからの未来の戦わない時間に、それをやればいい。今年でなくても、来年でも再来年でも、桜の時期に降りられる機会であればいいのだ。
・・・・ティエリアたちが、勧めてくれるなら、俺は、それでもいいんだが・・・・
ティエリアが気にしているのは、再々始動のことがあるからだろう。組織が再々始動するとなれば、まだ、地上においそれと降下できなくなる。桜の時期に、と、希望しても、ミッションが入れば、それも反故になる。再々始動の前に、ニールが望むことはやっておけ、と、ティエリアは言っているのだ。
・・・まあ、いいだろう。俺の誕生日だから、ニールの独占をさせてもらおう・・・・
刹那が、自分の誕生日に欲しいものは、そんなものだ。物質的なものなんて、どうでもいい。おかんと二人で、のんびりと花を眺めるぐらいでいいと思っている。『吉祥富貴』では、その二人っきりになるのが難しいから、誕生日のリクエストとして最大限にニールの独占をさせてもらおうと予定した。
まだ、体力的には怪しいらしいが、細胞異常は完治している。だから、今度からは、どこへでもニールを連れ出すことが出来る。さすがに、MSには載せられないだろうが、小型艇を借りれば、ニールに刹那が旅で見たものを見せてやることもできるのだ。
・・・・あの天空の湖がいい。きっと、ニールは喜ぶ。大きなクレーターも面白いものだったな。・・・いや、地上絵も興味深いか・・・・・
刹那が、過去に放浪した場所を思い出して、いろいろと考える。どこだろうと、自分のおかんは感動してくれそうだ。そんなことを考えながら、ダブルオーで宇宙空間を疾走していた。
作品名:こらぼでほすと ダンス5 作家名:篠義