こらぼでほすと ダンス5
シンのほうも暢気に、それを待ち構えて、さらにボコボコにしているし、レイも加勢に泳いで駆けつけている。さらに、悟空が近付くと、サメは方向転換して逃げた。海の生き物にも大地の神様の威力は効果があるらしい。
結局、その島で遊んで戻ってきたのは、夕刻だ。全員が、ずぶ濡れだったが、移動の時間で多少、乾いている。無事だったのは、ニールとトダカと、その親衛隊だけだ。他は落とされたり、自分で飛び込んだりしたので、濡れネズミ状態になっている。
「とりあえず、風呂だな。」
「そうですね。・・・うわっ、冷たっっ。」
トダカと打ち合わせてしていたら、背後からずぶ濡れ亭主に抱きつかれ、ニールも濡れた。ついでに、歌姫やフェルトにも前から抱きつかれたので、さらに濡れる。
「ちょっ、冷たいってっっ。」
「温まればいいだろ。どうせ、風呂入るんだからさ。」
追い討ちとばかりに、ハイネにも抱きつかれて、ニールも諦めた。さすがに、トダカには誰も抱きつかないと思っていたら、アイシャが攻撃した。
「アイシャさん? 」
「ヒトリダケは、よくナイでしょ? トダカさん。」
「そうだそうだ。トダカさんも濡れてくれ。」
さらに虎にも抱きつかれ、トダカも濡れた。遊ぶ時は全力でバカ騒ぎが基本だから、こんなことになる。
「とりあえず、風呂だ。そのあと、メシ食って花火をやろう。」
「「「「おー。」」」」
カガリの号令で、場は散らばる。温泉ではないが、かなり大きな風呂があるので、全員が飛び込んでも問題はない。フェルトはアイシャが、いそいそと連れて行った。男女別の風呂だから、いかなニールといえど、そこまでは連れて行けない。
「俺、服だけだから部屋でシャワー浴びる。」
ニールは、服が濡れているだけだから、温まる必要はない。というか、ちょっと陽射しに当たりすぎて疲れたから、横になるつもりだ。一人だけ、部屋に戻ろうとしたら、レイがついてきた。
「レイ、おまえは風呂で温まれ。」
「ええ、各部屋にも風呂があるので、俺も温まります。・・・とりあえず、水分補給して横になってください。」
「横になってるだけだから、一人でいいよ。」
「今回は、俺がママの管理しているので。」
そう言われると、断れないから、はいはい、と、一緒に部屋に戻る。予想通り、ニールの部屋にはレイが居座っている。フェルトも一緒に寝る、と、言ったのだが、カガリが、「たまには、わたしにも、おまえを堪能させてくれ。」 と、とんでもない台詞で拉致したので、今のところ、レイが独占しているのだ。
一方、組織のほうでは、マイスターズが、せっせと働いていた。バスティーファミリーがリフレッシュ休暇に降りるので、その引継ぎ中だ。ついでに、ヴェーダのリジェネも、こき使われているので降下できていない。wティエリアが、組織の仕事に集中しているので、ヴェーダの管理をさせられている。
次に、刹那が四月の頭に降りる。フェルトと刹那の間を埋めさせるつもりなので、それまで、ティエリアも手伝ってもらうつもりだ。
「別に、今年でなくてもいいんだが。」
刹那は降下の予定を、それほど重要視していない。いつか、寺の桜をおかんと拝もうというぐらいの温い予定なので、今年でなくてもいいと言う。だが、ティエリアは、降下させたい。それは、刹那が、というより、ニールが、ずっと望んでいることだからだ。
「おまえではない。ニールが待っているからだ。もう一ヶ月を切っている。ノルマだけは達成しろ。」
「だが、俺が降りたら、作業の効率は格段に下がるぞ? 」
「でも、ニールは、ずっと刹那と花見がしたいって待ってるんだろ? それは、やってあげるべきじゃない? 刹那。」
本来なら、絶賛世界放浪旅の真っ最中のアレルヤも、そう言って働いている。刹那の穴を埋めるために、アレルヤも降下せずに手伝っているのだ。
「おまえ、親孝行しとけ。あの人、そういうことは絶対に忘れないからさ。」
ロックオンも、刹那の降下については肯定的だ。実兄が、ずっとやりたがっていることは聞いていたからだ。時期が合わなかったり、アクシデントで降りていても、そこにいなかったりで、まだ刹那と花見ができていないんだ、と、実兄は零していたから、それぐらいは叶えてやりたい。ロックオンにしたら、実兄の望みは些細なことだが、それで満足するならさせてやりたいとも思う。我がままというには、本当にちっぽけな望みだが、五年しても叶えられていないというなら、それぐらいは、どうにかしてやりたいし、今は、それをやれるだけの力がロックオンにもある。
「これから、何度も桜は咲くんだぞ? ロックオン。」
「あのな、刹那。そうじゃなくて、兄さん、5年も待ってるんだろ?そろそろ叶えてやれよ。たぶん、作業効率は問題ないはずだ。おまえと入れ替わりに、イアンたちとフェルトは戻って来る。おまえがやっておかないと、できないことだけクリアーしておいてくれれば、時間はある。」
刹那の新型MSに必要な刹那自身のデータは、刹那にしか用意できない。それだけやってくれれば、イアンたちが戻っても、作業は停滞しない。イアンのほうも、それは考えていたから、必要な刹那のデータをリストアップして渡してくれた。
「ちゃんと予定通りに作業をクリアーしてくれれば、こちらのほうも問題はない。俺の計画を頓挫させるな。」
ティエリアは、刹那を予定通りに降下させるために、きちんと予定を組んだ。多少、オーバーワークになっているところもあるが、降下してから身体は休められるから、容赦なく刹那を働かせるつもりだ。
実際問題として、刹那のイノベーターの力に頼りすぎている部分がある。一人しか存在しないイノベーターだから、どうしてもしょうがない部分はあるが、なるべく負担は軽減できるようにしたいし、刹那自身もリフレッシュさせてやるには、ニールのところへ寄越すのが一番でもあるのだ。
「そういえば、連邦にイノベーターが存在するという噂があったが、どうなった? ティエリア。」
「まだ、未確定だ。連邦も、イノベーターそのものを、はっきり把握していないから、まず、そこから研究しているからだろう。ヴェーダにあるイノベーターのデータは、ブラックボックスの中だから取り出しはできないからな。」
ここ最近、連邦にイノベーターが出現した、という噂が、電脳空間に流れている。その噂については、調査はしているのだが、はっきりとしたことがわからない。なんせ、イノベーターとは、なんぞや? あたりから、調査しているから、その現れたイノベーターが、イノベイドなのか、他の特殊能力を持った、ただのナチュラルな人間なのか、その判別もできていないからだ。刹那のデータは、ヴェーダにも蓄積されているが、その情報は、最深層に保管している。連邦には渡さなかった部分だから、連邦は、まずイノベーターそのものの情報を調査して確定させていっている最中だ。
「確定したら、教えてくれ。」
「わかっている。それは、まだ先だ。まず、おまえはダブルオーでデータを取れ。」
「了解した。ロックオン、付き合え。」
「あいよ、ダーリン。」
作品名:こらぼでほすと ダンス5 作家名:篠義