祭らない
土方がすっかり腰がくだけたのをみとどけると、沖田はしあげに唇をなめあげた。青筋をたて抗議しようと口をひらく土方に、今度はふれるだけのキスで黙らせて、梯子もつかわずやぐらから飛び降りる。
その高さ数十メートル。
突如あらわれた一番隊隊長に平隊士たちがどよめく中、渦中の人物は鼻歌を歌いながら遠ざかる。
その手ににぎられ、指揮棒代わりになる白い布の正体に土方が気がつくのはそれから数分後。着衣が乱れ、スカーフでもなければ隠せない首の痣に、頭を抱えるのも然り。
後日真白かったはずの布は、沖田の返り血に染められ返品された。