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こらぼでほすと ダンス6

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次の日、トダカファミリーは、親衛隊と共に、朝から出かけた。かなり早い時間に出発したので、フェルトが目を覚ました時にはいなかった。とはいえ、寂しいことはない。同室のカガリやラクスが、それじゃあ、女子だけで楽しみましょう、と、スキンケアやらネイルケアやらをやりだした。
 キラたちも、その隙に地下のファクトリーで打ち合わせやら作業をしている。シンとレイが担当することになっていた試作機のテストは、ダコスタとハイネが代わったので、一日外出の予定になった。肉弾戦組は、別荘で、のんびりの予定だ。悟空は、海岸線を四輪バギーで暴走していたりするが、まあ、概ね、のんびりした感じで時間は過ぎた。

 

 夕刻より少し早い時間にに、トダカさんち御一行が戻った。墓参りして、オーヴ本島を観光に少し廻ったぐらいだが、さすがに、一日、稼動していると、ちょっと疲れるニールは、少し横になります、と、部屋に戻ってバタンキューだ。なぜなのか、ニールが滞在する部屋は、大きなキングサイズのベッドが、ふたつ設置されている。その片方に横になっていたのだが、目が覚めると身体が温かい。
 また、レイがいるのか、と、目を開けたら眼の前にはフェルトだ。いつ潜り込んだのか定かではないが、きっちりとニールは、フェルトを腕枕してやっている。え? と、腕を外して寝返りを打とうとしたら、フェルトの向こうから声がする。よく見たら、カガリがフェルトの後ろに転がっていた。
「目が覚めたのか? ママ。」
「・・・おま・・何やってんだよ・・・」
「ママとのスキンシップだ。喉は渇かないか? 」
 そう問われたら、確かに喉が渇いている。起き上がって、背後を確認したら、歌姫様がスヨスヨと眠っている。
「私たちが自主的にやったわけじゃないぞ? ・・・・ほら、水。」
「おう、ありがとさん。」
 二人を起こさないように、ゆっくりと窓際のソファへ移動して座り込んだところへ、カガリがミネラルウォーターを配達してくれた。
「自主的じゃなかったら、なんなんだ? 」
「トダカが、昼寝のお守りをしてくれないか? と、頼みに来たんだ。・・・・おまえのことだから、神経に触ってるだろ? 」
 カガリもニールが魘されるのは聞いたことがあるし、実際に見たこともある。あまり接触できない相手だが、歌姫の本宅で梅雨時分に顔を出したら、ものすごく唸っていた。ちょっと精神的に弱っているんだ、と、ドクターから説明も受けていたから、トダカの依頼に、ふたつ返事で応えたのだ。
「慰霊碑しかなかったぜ? 」
「でも、廃墟は、全部撤去したわけじゃなかったろ? 私も、あそこに行くと、ちょっと胸に重しが乗るからな。」
 元々は、研究施設とか実験場と、それに付随した工場のあった場所で、そこで働いている人間が大勢居たから、小さな街も存在していた。働いている人間の家族も、そこに暮らしていたからだ。その街ごと先の大戦の時に焼かれたので、誰も残っていないが、街の廃墟は、そのまま残っていた。シンが、あそこらへんに住んでたんだ、と、指差したところは、コンクリートの大きな塊が、ゴロゴロしているだけだった。ニールにも覚えがある景色だ。自分たちの組織も、こんな場所を、たくさん遺しているはずだ。そう思うと、かなり神経に堪えた。それを見透かされるようなヘマはしないが、トダカにはバレている。悪い夢を見ないように、桃色猫を送り込んでくれたらしい。
「・・・うん・・・まあな。」
「いつか、新しく造り直すつもりはしているんだが、私も忘れない。二度と、あんなことはあってはいけないことだ。私は、あの結果を受け止めて、後世に語り継ぐ。・・・・でも、胸には痛いんだ。」
 当事者だったカガリには、重い記憶だ。ウズミは、未来への扉を開かせるために、自らを犠牲にして逃がしてくれたのだ。その思惑さえ、その当時のカガリは考えていなかった。今ならわかる。自国を他国から守り戦わずに済む未来を模索していかなければならない。大国に力で押し負けない背景を確立し、世界に対してモノが言える力を、オーヴも蓄えなければならない。その未来を託してくれたウズミのためにも、オーヴの自国民のためにも、カガリは、それをやり遂げると決めた。泣いていては始まらない。先へ進めなければならない、と、その景色を見る度に思うのだ、と、ぽつりとニールに呟いた。
「・・・カガリ・・・・」
「もちろん、まだ、私は未熟で、キラたちの力を借りて、なんとかやってる状態だ。だが、いつか、一人でやってみせる。見ていてくれ、おかん。」
「はいはい、見ているさ。俺は、みんなの成長を見ているのが楽しいよ。」
 最初の頃からすれば、年少組も成人年齢に達して、大きく成長している。マイスターたちも、そうだ。悩んだり悔やんだりもしているが、それでも前を向いて足を進めている。それを近くで感じているニールは、人は変わってくのだ、と、実感もしている。ニール当人は、もう変わるつもりもないし、変われないので、その年少組の変わっていく様を見ているのは、未来が明るく感じられて好きだ。紛争根絶なんて大上段なものでなくていい。ただ、みんなが、こうやってバカ騒ぎして笑っていられる時間がある世界は好きだ。
「そりゃそうだろう。私たちは、発展途上なヤツばかりだからな。」
「そうだな。」
「私が、おまえの年齢になる頃には独り立ちするさ。」
「うん、まあ、無理しないでやればいい。」
「でも、たまに、みんなでバカ騒ぎして、こうやって過ごすのはやりたいと思ってる。おかんも参加しろよ? おまえがいないと楽しくないからな。」
「はははは・・・誘ってくれれば付き合うさ。俺は寺で、のんびりしているから。」
「そうだ。寺で三蔵の世話をしていてくれ。組織には・・・もう関わるな。」
「あー、まあ、できれば、そのうち手伝いたいとは思ってるんだが・・・・刹那が許可くれないかな。」
「くれんだろ。諦めろ。」
 身体のこともだが、精神的にも問題がある。そんな人間が宇宙で、以前のように働けるはずがない。それに、カガリもニールには、寺にいて欲しいと願っている。国家元首なんてものを意識せずに、付き合ってくれるニールは貴重だし、カガリの好みのものを作ってくれる。堅苦しくない食卓に、友人とつくのは、ストレス解消に有効だ。『吉祥富貴』の日常だけは、素のカガリで過ごせる。
「・・・・時間はかかるだろうさ。なんせ、一日、外出してるだけで疲れるんだからな。でも、まあ、俺が考えているってことだけは覚えておいてくれ。」
「諦めの悪いおかんだ。覚えておいてやる。そして、阻止する。全力で。」
「こらこら。」
 今の状態では、どうにもならないのは、ニールも承知している。体力を回復させて、以前に近い状態に戻るのは至難の業だ。右目の視力は戻ったが、完璧ではないから、マイスターには戻れない。でも、操舵なり砲撃なりエージェント活動だったり、何かしら手伝いたいとは思っている。
「それは無理というものです、ママ。私も全力で阻止します。」
 背中のほうからガバリと抱きつかれた。歌姫も起き出して笑っている。フェルトも、うーんと頭を振って、目をパチッと開けた。カガリの声で起きたらしい。
作品名:こらぼでほすと ダンス6 作家名:篠義