こらぼでほすと ダンス6
以前に約束していたことを悟空は確認して手を振る。ニールの身体が落着いたら、寺でお好み焼きパーティーをやろうという予定だ。ここまで遠征できるほどに回復したので、大丈夫、と、悟空も許可した。
「フェルト、クルマまで送ってくれ。」
「うん。」
手を繋いで、「じゃあ、またな。」 と、カガリがフェルトと歩き出した。ただし、背後からニールを連れたキラがついてくる。
「もう、おまえらはいい。」
「ダメ。そのまま、次は飛行機まで、で、次に本島まで、さらに、私の仕事場まで、って、ずいずいフェルトを連れて行くつもりでしょ? カガリ。そんなの許さないからね。」
双子のキラには、カガリの行動が予想できている。ずるずると送れと言いつつ連れて行きたいらしい。とりあえず、クルマまでは許すつもりで、フェルトの奪還に出向いた。
「カガリ、今から仕事なんだから、ちゃんと頭を仕事モードに切り替えろ。」
「わかっているっっ。もうちょっとだけ、癒されたいだけだ。」
わーわーと騒いでいれば、クルマ留めまでは、すぐだ。クルマのドアを開けて、キサカは待っている。もう一度、ぎゅっとフェルトを抱き締めて、それから、そのまんま手を繋いで、クルマに乗り込もうとするので、もう一度、ニールの空手チョップがお見舞いされる。
「拉致したら、寺の出禁を申し渡すぞ。」
「ちぇっ、わたしのおかんは厳しいなあ。」
「だらだらしてないで、仕事しろ。時間過ぎてるんだぞ。遅刻したらスケジュールの相手に失礼だ。・・・気をつけてな。」
きっぱりとニールに叱られると、カガリもぶーと膨れつつ、クルマに乗り込む。でも、乗り込んだら、ものすごくいい笑顔で手を振っている。そんなふうに叱られるのが嬉しかったりする。
「助かるよ、ニールくん。」
キサカも笑いつつ、クルマの助手席に乗り込んだ。どうしても、ウヅミーズラブの人間は、カガリに甘いんで、こんなふうに叱る人間は少ないからだ。
クルマが別荘から走り出すのを見送ると、玄関へ引き返した。そこには、悟空とアスランが待っている。
「さあて、フェルト。漁業でもやろうか? 」
「できるの? キラ。」
「ウェットスーツを着れば、なんとか泳げるよ。また、貝でも採ろう。」
珊瑚の島で、ちょっと泳いだが、水温が低くて、長時間は泳げなかった。その問題点は、ウェットスーツで解決できる。せっかくだから、フェルトのお気に入りのシュノーケリングはさせてやるつもりだったのだ。
「ニールもやる? 」
「え? 漁業って泳ぐんだろ? 俺は無理。」
「ママは、船で監視して。僕らが潜って遊ぶから。・・・・悟空、漁業しよう。」
「おっしっっ、でかいのを捕まえるぜ。」
最初から、その予定で別荘のスタッフにもお願いしてある。今回は、フェルトが楽しめる浅い海域への案内を頼んでいる。夏にシュノーケリングやら漁業やらしたのが楽しかったから、みんなも、それは考えていた。ここにいないシンとレイは、そちらの準備をしている。二隻のクルーザーで出漁予定だ。
「午後まで、みんなで漁業して、それをバーベキューで食べて慰安旅行は終わりです、ママニール。」
「ああ、そうなんだ。」
「景色のいいところへ案内してもらいますから、ママニールも楽しんでください。」
全員で、クルーザーで出漁するので、潜らないのは船上で、のんびりしてもらう予定だ。もちろん、沙・猪家夫夫も坊主も参加だ。ま、お、そらく前回同様に全員が海に叩き落されることにはなるのだが。
作品名:こらぼでほすと ダンス6 作家名:篠義