シッポの行方
「いつも、ありがとな」
私にはこれが精一杯だった。笑いたきゃ笑ってもいいぞ。
さて、それに対する椛の反応はというと。
「……りょ、料理が冷めちゃいますから、早く来てくださいね」
と、そっぽを向いたまま言い残していっただけだった。
やれやれ、やっぱりこんなんじゃ先には進めないか。あれほど頑張ろうって思ってたはずのに、いざとなるとうまくいかないもんだな。
でもまあ、今はこれでいいや。焦ったって仕方ない。ゆっくりとやっていこう。
まずは寝間着を着替えて、いつもの私に戻ろう。そして、ほうれん草嫌いでも食べられる料理がどんなものか確認しよう。そうすればその先にはきっと幸せが待っている。間違いなくね。
え? どうしてそんなことわかるかって?
それはね――そっぽ向いてた椛のシッポがパタパタと揺れていたからだよ。