恋夢幻想1
止める間もなく体が動き、あやめの体を強く強く抱き締めた。息が止まるくらい強く。隊長としての任務も責任も、今は心にはなかった。ただ愛しさだけが胸に満ちていた。
「…大神君」
耳もとに響く微かな声。さらに強くあやめの体を引き寄せてその耳元にそっと囁く。
「あやめさん…自分は、いや俺は…」
震える声で紡がれた言葉。あやめは息を飲んで大神の何か決意を秘めたような顔を見た。真剣な瞳が真直ぐにあやめを見つめていた。
「俺は、あなたが好きです」
二人の眼差しがからみ合う。寄り添いあう影と影。
それは、ほんの束の間の蜜月の始まりだった。