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Wizard//Magica Infinity −1−

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「・・・はぁ~」
「どうしたの?ハルト。そんな大きなため息ついて」
今は学校の休み時間。ボロボロの机にうなだれる俺がいる。
せっかく今日は良い天気だというのに俺の心は曇天だった。
俺たちのリーダー、凛子ちゃんの突然の思いつきは今日始まったことではない。
自分が何か面白いことを思いついたと同時にすぐ勝負事へと転換させ俺たちは巻き込まれてしまう。
ちなみに今日の朝一発目の競争は見事に俺たち二人が最下位という結果となった。
もちろん、それだけで終わりなんて甘いことはない。
凛子ちゃんは必ず、最下位の人物に「罰ゲーム」を与えるのだ。

「コヨミは大丈夫なの?凛子ちゃんの罰ゲーム」
「うん、平気だよ」
「おいおい、随分たくましいな…。ちなみに前やったかくれんぼ、たしかコヨミが最初に見つかったよね?そのとき凛子ちゃんからどんな罰ゲームが与えられたの?」
「教頭先生がいつも頭に付けているカツラを皆の前で取った」
「ぶふっ!!本当にやったの!?」
「うん、そのあと沢山叱られたけど」

…と、一番後ろの窓際の席に座る俺とその隣の席に座るコヨミとこうして話すのが休み時間の恒例となっている。他の生徒は教室の一部分に集まりながら昨日のテレビ番組面白かったよね~とか特に変哲も無い会話をしていた。
この面影村には「学校」という施設は一つしかない。少子高齢化、さらに村の人口の低下が原因で数年前に小・中・高が組み合わさった一つの学校になってしまったのだ。
そのため、高校1年生である俺たちのクラスには自分達を入れて10人の生徒しかいない。
1つ下の中学3年生の瞬平はもちろん別の教室、さらに高校3年生である凛子ちゃんも別の教室だ。ちなみに高校2年生と3年生は1年生より人数が少ないため同じ教室だ。
しかも共学のため服装は自由なのだ。どこまで自由なのだか…。
ほとんどの生徒は私服を着て学校に登校する。俺は着慣れたシャツにカーゴパンツ、コヨミはもともとこの学校で定められていた制服を着て登校している。

「今日の授業あと何残ってたっけ?」
「古文と数学よ。それで今日の授業はおしまい」
「そっか…あともう一苦労だな」

−ねぇねぇコヨミちゃん!−

「…っ」
「ん?」

ふと、瞬平と同じ学年の女子だろうか。教室の入口からずかずかと入ってきて何の躊躇もなくコヨミに2人の女子が話しかけてきた。
−コヨミちゃん、学校終わったら遊ばない?−
−昨日お父さんがゲーム買ってきたんだ!もしよかったら私の家においでよ!−

「………。」
「お、おいコヨミ」

−ねぇコヨミちゃん!−

「………。」


−…行こ?−
−そうだね−

コヨミはまるで誰にも話しかけられていないかのように教科書とノートを広げ予習を始めた。そのそっけない態度をみた二人の女子は呆れたらしく、なにも言わずに教室から出ていってしまった。

俺は再びため息をして自分の席を立つ。
コヨミと目線が合うように机の前にしゃがみこんだ。

「おいコヨミ。少しは俺たち以外の友達も作らなくちゃ駄目だぞ?」
「ハルトには関係ない」
「関係ないって…はぁ」

俺の悩みの種は一つだけじゃない。コヨミは極度の人見知りで内気なのだ。
いくら成績が優秀で美貌が良くても彼女は他人と心を開こうとしないのだ。
素直に話しかけられるのは俺と瞬平と凛子ちゃんだけ。それと俺が世話になってもらっている輪島のおっちゃん。
もう少し色々な世界をコヨミに体験してほしいのが俺の願いだ。

「コヨミ、こうしていられるのも今のうちだけだぞ?これから大人になったらこの村を出て、他人と関わりながら仕事をしなきゃいけないんだ」
「ハルトはこの村を出て行くの?」
「まあ…今は何も考えてないけど。いずれ仕事を求めて外の世界に出ていくだろ?」
「そんなに外の世界に出たいの?」
「じゃないとやってけないでしょ」

この面影村は林に囲まれ人口が数百人しかいない非常に小さい村だ。コンビニなんてものは無く、小さな商店と役場の出張所があるだけ、そして見慣れた畑のみ。故に卒業した後の進路も限られている。この村で仕事を探そうとしてもたかが知れている。
本格的に職を探すにはこの村を出ていくしかないのだ。

「ハルトはさ」
「ん?」
「ハルトは、今という時間が変わっていくことに何の抵抗はないの?」
「それは…まぁ、いつまでも学生なんてやってられないでしょ」
「ハルトは考えたことはない?今という時間が永遠に続けばいいなってこと」
「う~ん…さあな~…って、おいコヨミ!うまいこと言って話をそらすなよ!」
「…ちっ…」
「今舌打ちした!?」

そんな時、授業が始まるチャイムがなり廊下から先生が歩いてくる音が聞こえてきた。
「ハルト、授業よ」
「あ~はいはい。わかりましたよっと」
俺はなかなか折れないコヨミに負け渋々自分の席へと座る。
そして面倒くさいが授業が始まり時間が流れていくのであった−−−。


作品名:Wizard//Magica Infinity −1− 作家名:a-o-w