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ゲバルトプリキュア!

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「ごめんなさいいぃぃ!!」


風蘭は、床に倒れた彼女に拳を振り下ろし続けた。

「えい!!えいぃ!!えいぃぃ!!」


何度も、何度も。


「えい!!!えいぃ!!!えいぃぃ!!!」


それはまさしく




「えいいぃぃぃィィイイアアアァァ!!!」


暴力に他ならない。


その餌食となった少女の身体は。



消えた。


消滅してしまった。


「う、うううぅぅ…」


我にかえった風蘭は目から大粒の
涙をボロボロとこぼす。


「…また、殺っちゃった、よおぉぉ」


そう。また、である。

これが初めてではない。


「…っっこんなの、外道という他ないよおぉっ!!」


彼女は、分かっている。

悪いことをしていると。

だが、まるで操られているかのように。






無慈悲かつ圧倒的な暴力を振るってしまうのだ。




全ての始まりは、小学校を卒業した風蘭が中学校に入学した頃。



破壊衝動に駆られた彼女は、入学してから一ヶ月で、三人の人間を消した。

そう、消した。
彼女に襲われた者は体が消滅するのみならず、人々の記憶からも完全に消える。


だから、彼女が国家権力のお世話になることはなく。
すぐに転校することを望んだ。


この中学校に入学してからおかしくなったのだから、転校したらきっと正常になる。
そう考えた。




だがその淡い期待も裏切られてしまう。


新たな学校。
彼女はそこで五十八人の人間を消した。


「……あううぅぅ……」


そして。


紆余曲折を経て。


一縷の望みを抱き。


今日この学校にやってきた。




しかし。


またしても。


殺ってしまった。


「……もう、ダメだよぉ…」


風蘭はフラつきながら、屋上へと向かった。

屋上。
落下防止用フェンスをよじ登り、乗り越える。


「…もはや自ら命を絶つより他に、道は残されてはいないよぉ……」


はるか下の、地面を見つめる。



屋上は四階だ。
死ぬには十分な高度。












一歩。



踏み出し。




転落した。







「……ぁ、あっっっれれえぇぇぇ!!?」




風蘭は、確かに落ちた。
しかし生きている。




彼女は落下しながら一回転し姿勢を整え、華麗に着地した。









「……っっこんなのってないよおおぉぉぉぉ!!」



彼女だって、決して死にたいわけではなった。

本当は、心の底から、生きたいと思っていた。







死ぬのは誰だって怖い。
気の小さい彼女ならなおのこと。





それでも、一生分の勇気を振り絞ったのだ。





世のため、人のためと思って。



それなのに。










「っっなんっで死なないのおおぉぉぉぉ!!おかしいよおおぉぉ!!何で平然と立っていられるのおおぉぉ!!どうしてなのおぉっっ!!っっこんなの完全に人外のみが為せる奇跡の技だよおぉ!!」




しっかりと着地しても、普通は死ぬ。
ましてや、怪我一つないことなどあり得ない。


常識的に考えて、彼女は間違いなく、異常である。


「……!!!!!!」


頭を両手で掻き毟りながら天を仰いだとき、風蘭は気づいた。


彼女はあろうことか、教室がある面から飛び降りてしまったのである。


しかも大声で騒いでしまった。
教室の窓際に、たくさんの人間が集まっている。




一体何事か、と。



「…もうぅ、生きてけないよおお
ぉぉ…!!」


さっきまでの彼女は、今もそうだが、紛れもなく異常者である。


世間は往々にして、自分達と違う者に厳しい。
魔女狩りしかり、人種差別しかり。


「…だからといって自殺も困難を極めそうだよおぉぉ…!!」


さっきしくじったばかりだ。


「……酷いよぉ…」


一躍晒し者となった風蘭はそう呟くと、とぼとぼ歩きだした。



学校の中には、戻らない。
家に帰るつもりなのだ。


「……酷過ぎるよおおぉぉ……!!」



家にずっと引き込もっていれば、辛い目に遭わないで済むから。

作品名:ゲバルトプリキュア! 作家名:NOEL