ゲバルトプリキュア!
「いきなり闘えだなんて不条理という他ないよおぉっ!!でもキュアカオスとやらに変身した私は闘いたくてウッズウズしててああうあうあうあうぅぅぅっっっ!!!」
「おい敵がくるぞ集中しろ!!」
「ふえぇ?」
怪物、カレヒトは二人に迫っていた。
その体を構成していた漆黒の闇から、黒刀が生み出され。
振り下ろした刃から飛ぶ斬撃を放つ。
それを防ごうとした風蘭の右腕は
肘から切断された。
切断された腕が地面に落ちた瞬間、鮮血が噴き出る。
「ッッアァゥウ!!ウウゥアアアアアアアアァァァァァァッッッッッ!!!!!!腕がぁ!!私のおぉ!!腕っっがあぁぁ!!ないよおぉっ!!いっぱい血が出てるよ痛いよ死ぬよぉ!!!」
「痛みはない筈だ。それに腕ぐらいならすぐ治る」
「えぇっっ!?」
綺麗に切断された傷口。
そこから、腕が生えてきた。
グチャグチャと音をたてながら。
「超・速・再・生ィィイイィッッ!!?ウッソでしょおおぉっ!!こんなの完全に化物だよおぉ!!!」
「黙って闘え!!刻まれようが潰されようがある程度は再生出来るが、お前のイカレた脳みそだけはやられたらアウトだ!!」
「分かったよおぉぉ!!闘うから揶揄しないでよおぉぉ!!」
風蘭がカレヒトへと駆け込む。
再び斬撃が放たれたが、跳躍して躱した。
無防備になった敵へ、着地と同時に拳を叩き込む。
「セイィィッッ!!」
吹き飛んだ敵は、壁に激突し、黒い水溜まりのような姿になった。
だが、すぐに元の姿を形成してしまう。
「…一撃でぶっ飛ばすとはな。だが肉弾のみじゃ駄目だ。ボコって十分弱らせたら必殺技で浄化しろ!!」
「へええぇ、なんかポ○モン的システムだねぇぇ!?で、必殺技ってどうやるのおぉぉ?」
必殺技という単語に反応し、風蘭が目を輝かせる。
「知らねえよ!!適当にポーズとって叫んどきゃいいんだよ!!今迄の奴らもそうしてた!!」
「ものっっ凄く雑なシステムだよおぉぉ!?なんかガックシきちゃったああぁぁっっ!!」
「とにかくあいつが倒れてるうちに必殺技をぶっ放せ!!早くしねえと舌引っこ抜くぞ!!」
「うっっひいぃ!!え、えーとおおぉぉ…?」
風蘭は考えた。
必殺技とは。
最もカッコいい必殺技とは。
答えはすぐに決まった。
風蘭は額に二本の指を当て、そして人差指を突き出す。
「ま!魔貫光、殺砲ぉおぉ!!!?」
風蘭が叫んだ瞬間。
指先から極太の黒い光線が発射された。
「ぬ ぅ、あ あ あ あああああぁぁぁっっっ!!」
光線は一直線に突き抜け
怪物など初めから存在しなかったかのように
跡形もなく消し飛ばした。
「……っっ!!!!とてつもない破壊力のエネルギー波だよおぉぉっっ!!こんなの魔貫光殺砲っていうよりギャリック砲だよおぉぉっ!!そこらへんのヤ○チャとかクソソソなら塵も残さず軽く消し飛ばせるよおっっ!!」
「…そうだな。まあとにかく良くやった」
「…あっれれぇえぇ!?変身が、解けちゃったよおぉ?」
必殺技で敵を倒した直後、風蘭の意思もなく変身は解けてしまった。
「常にプリキ○ア状態では、日常生活を送るのに支障をきたすからな。色んな意味で」
「…私、色々と興味深いことがあるよおぉぉ?」
「だろうな。まあ、話はお前の家でしようぜ、宮篠風蘭」
「ええぇっ!何で私の名前知ってるのおぉぉ?」
彼女は、まだビリィに名を告げていない。
「プリキ○アになる素質のある人間を探す、装置があるんだ。それでお前を知った。素質があっても、丁度いい時期にならないと発見できないのが難点だな」
「ふーんうぅ?」
「説明する。今、お前に、世界に、何が起きてるかも」
作品名:ゲバルトプリキュア! 作家名:NOEL