Hertbeat
セバスチャンのジャケットを固く握りしめる僕の手は、意志より先に動いたもの。
「坊ちゃん、お顔を上げて。」
甘い声に従い、セバスチャンの胸元から顔を上げる。
怖いくらいに整った顔に、甘い微笑みを湛えたセバスチャンが僕を見下ろし、
顔を近づけてきた。
僕はゆっくりと瞼を伏せながら、セバスチャンの唇に自分の唇を寄せた。
セバスチャンの唇が、口角を上げて喜んでいる。
座っている距離の遠さをもどかしく思ったのか、どちらからともなく近付き、
より深く唇を食んで、長いキスを愉しんだのだった。
END