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その手に触れる事も出来ないと、勝手に遠ざかっていた私。
「もう、2度と忘れさせません、坊ちゃん。」
ミッドナイトブルーの髪に口付ける。
主は、私の懐に潜り込もうとするかのように、私の肩に額を強く押し当てた。
私の美しい宝石は、その色を変えたわけではなかった。
見え方が変わっただけ。
赤い燐光は、この世界での見え方。
それだけの事だ。
あの日、二度と戻れない一歩を踏み出した私たち。
主と、私。
与えられた一歩には、大きな抵抗を感じる事を禁じ得なかったが、
今から始まる一歩は、二人で選び取った一歩。
迷わず、戸惑わず、決して引く事無く、ただ、二人して前に進んで行くだけ。
融けそうな程に寄り添って。
永遠と殆ど同義の、長い悪魔の生を。
私たちは、互いの伴侶として生きていくのだった。
End
注釈・・ファントムハイブ家に伝わるとされるブルーダイヤ、“ホープ・ダイヤモンド”は、
紫外線を当てると、1分以上も赤い燐光を放つのだそうです。この理由は、未だ
に解明されてはいないそうです。ちなみに、青い色をしているのは、ダイヤが結晶する地底深くでは、非常に稀なことながら、不純物としてホウ酸を含むからだと書いてありました。さすが、伝説になる宝石だけの事はありますね。謎が多い。