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たままはなま
たままはなま
novelistID. 47362
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不機嫌なシンデレラ(駒鳥 別バージョン)

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主は、身喰いせずにいられないような思いを一人で抱え込んでしまう。
私は、ただ執事として傍にあるわけではないと自負しているが、
依存することを嫌う主は、あくまで一人で立とうとするのだ。
支えようとする私の手を振り払う主を、恨めしく、哀しく思う。
けれど、そんな主の姿勢を、好ましく思うのも確かだった。

体が冷えれば、身の内まで冷え切る。
鋭い目の主もいいが、蕩けた目の主は格別だ。
まずは、熱いお湯で体を温めて、極度の緊張状態を解いていかなくては。
「さあ、お湯が冷めないうちに、お体を清めて差し上げましょう。」
主に手を差し伸べて、身を起させる。
そのまま抱え、胸に抱き上げる。
私の頸に、当然のように腕を回し、くたりと体を預けてくる主。
主の、その行動が、主と私の距離。
ゆるく口角が上がる。
ミッドナイトブルーの、艶やかで柔らかな髪に、そっとキスを落とす。
「さあ、参りましょう。」
返事をしない主を、荒れた部屋から連れ出して、バスルームへ向かった。

悪魔の私が、人間に限りなく執着する。
魅了され、この身を滅ぼしても護ると誓う。
いつの間に契約を超えていったのかは、自分でも分からないのだけれど、
この主だけは、誰にも譲らないのだ。
髪の一筋でさえも、他人に渡すのは許せない。
この独占欲に抗うのは、多分、もう無理だろう。
彼は、私のもの。
私だけの主。

さあ、私だけの為に、啼いて。



End