スターサインプリキュア☆
「だから…私はみのりにずっとついていくばっかりで…自分の夢に着実に進んでいくみのりの後を追えば、私も何か本当の夢とか見つかるんじゃないかって…。」
「…。」
「春菜、ここは頼むわ。」
「え?うん。」
星羅は校庭をポツリと歩くみのりの姿を目にして春菜にそっと声をかけて出て行き、駆け足でみのりの元へ向かう。
「みのり。」
「…星羅さん…。」
2人は中庭のベンチへ行った。
「結姫に…ひどいこと言っちゃった…。」
「そうね。」
「…結姫は小さい頃からずっと私と一緒だったんです。私はいつも自分の事ばっかりで結姫を振り回して…プリキュアだってホントはやりたくなかったかもしれないし、この高校だって私が行くから心配でついてきてくれただけかもしれない…私が…もしかしたら結姫の夢を奪っちゃったのかもしれない…私が…」
「結姫は私から見てもしっかりしてる子よ。確かにプリキュアも高校受験もあなたがいたから選んだことかもしれない。でもだからってあなたが彼女の夢を奪ってるだのそんなバカな事はないわ。」
「でも…」
「さっきあんなこと言ったのは…あなたは彼女の事を本当によく知ってるから。
あの子があなたと同じ夢じゃなくて別の何かでもっと輝ける事を知ってるから。そうでしょ?」
「…え、私どっかで言いましたっけ…。」
みのりは驚いた顔で言う。
「言わなくても分かるわ。顔に書いてある。結姫はもっと別の事を、好きな事をすればいいんだ、私はそれを全力で応援したいからって。」
星羅は自分と春菜の関係を重ねていた。
星羅自身もこれまで春菜を散々辛い目に遭わせてしまった事を後悔していたし、みのりと同じく春菜から色んなものを奪ってしまったのではないかと思っていた。
でも最近春菜と再度向き合えたことでそうではなかったと分かったのだった。
確かにたくさん迷惑はかけたかもしれないし、星研の事では辛い目に遭わせてしまったかもしれない。
でもそれでも星羅に寄り添ってくれたのは本当に星羅の事を心配に思ってくれているから。
そんなしっかりとした春菜を見て自分が春菜から色んなものを奪ったわけでもダメにした訳でもない。
自分がちゃんと向き合えるその日まで春菜は待ってくれていただけなんだと星羅はそう思う事にした。
だからこれからは少しずつでも笑顔で元気に頑張っていく事が星羅を支えてくれた母にとっても春菜にとっても恩返しになっていくだろうという事を星羅なりに考えていた。
「おかしいな…毎朝顔洗ってるのに…。」
みのりは星羅の言う事も聞かず、中庭にある池の水面に顔を映す。
「あなたね…。」
「ほら、書いてないじゃないですか!もしかして星羅さんって超能力者!?」
その顔を見るとどうも本気で言っているようだ。
みのりには遠回しな表現は通じにくい…いや、通じないのだという事を星羅は悟った。
「…初めて見るパターンだわ。」
「…?」
「とりあえず、あなたの本当の気持ちをちゃんと伝えるの。分かった?」
「はい…!」
「行くわよ。」
星羅はみのりの手を引く。その時だった。
「ほんっと仲良しねーあんた達。」
「…!?」
頭上から声がして見上げるとそこにはメシエがいた。
「出来損ない。甘く見て悪かったわね。」
「私の事かしら?それはどうも。」
「でも、あんた達も今日でお・し・ま・い♪」
ゴォォォォ…急に暗雲が立ち込め辺りが異空間に変わる。
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆