自作小説キャラが戦闘中〜その壱〜
(ノエル:これで川の水でも汲もうかしらね。気が進まないけど。)
【エリア:スタート地点付近(広場奧)】
(月華:意外と細道がいっぱいあるんだなぁここ。迷路みたい。)
ひえったと共にスタート地点からあまり動かない月華。
しかしボールは欲しいようで、近距離にボールが無いかは見ているようだ。
キョロキョロと見回していると、細道の行き止まりに赤い何かが見えた。
月華「あれって………!」
アタリだ。
《月華、ボール獲得。残るバトルボールは五つ。》
月華「ひえった、ボール見つけたよっ」
ひえった「ひ……」
月華「あ、いけないいけない。ついつい大きな声出しちゃった。」
?「いけませんね。月華さんがボールを手に入れたようです……」
?「えっ、ホントぉ!?じゃあ気をつけないと。」
この舞台に似合わぬ服を着る二人が月華の声を確認。
ボールを持ったことに気付いたようだ。
一人は璢娘。白い建物に囲まれ目立つピンクのロリィタ。今日はフリルとリボンが増量だ。走るたびにふわふわとフリルが舞う。頭にはカチューシャを付けているが、わりかし今日は落ち着いている。
璢娘「こんなゲームをやるって最初から知ってれば、専用のコスを作ったのになぁ。戦闘中だっけ?江戸が舞台だから、浴衣とか?うーん、でもそれじゃ動きにくいしなぁー。あ、裾を短くすればいいんだ!」
もう一人はアンティーク系の洋服を身に纏うカインだ。
首には懐中時計をぶら下げている。
カイン「もう既に10分が経過しています。制限時間がないというのも困りものですね。玉も見つかりませんし……。」
璢娘「しかも近くにはボールを持った月華ちゃんがいるんでしょ?私達早速ピンチじゃなぁい?」
カイン「取り敢えずこの場所を離れましょう。警戒を怠らないようにして進めば、もし月華さんの近くに行ってしまっても二人のうちどちらかが気付きます」
璢娘「そうねぇー。じゃあお互い背中を預けましょうか。私はカインの後ろを見てるわ」
約束を交わし、お互いが背中を守り合う。
その近くに細道を引き返して来た月華が接近。
(月華:あれ?カインさんと璢娘さんだ……。)
建物の死角を利用して、壁から顔だけを覗かせ様子を伺う。
二人はまだ気づいていないようだ。
(月華:あ、でも璢娘さんがこっちの方角を見てる……。)
ボールを当てるのを保留するようだ。そのまま建物の影に身を隠す。
(月華:このゲームを終わらせるためにはこのボールを当てなきゃいけない。
ひえったもいるし、ボールを持ってない今がチャンスなんだもんね。……よし、このゲームに慣れるためにも、ここはやっぱ戦う……!)
建物の影から飛び出し、璢娘とカインを追う月華。
二人も月華に気付き逃げ出す。
打ち取る側と逃げる側の真剣勝負だ。
璢娘「うわぁぁああん月華ちゃんが怖いよー!」
カイン「ここで二人討ち取られるのはごめんです!私は長屋の方角にいきます!璢娘さんは逆方向に!!」
二人で逃げる方向を変え、撹乱する作戦だ。
璢娘もその案に乗り、商店街側に逃げる。
月華はそれを知り一瞬どちらを追うか迷ったようだが、迷ってる時間が勿体無いと判断。直様カインの向かった道を選択。
璢娘「助かったぁ……!カインちゃん頑張れー」
カインを犠牲にし助かった璢娘は月華の背中を見て安堵の息を漏らす。
一方カインの方はというと月華に追われている最中だ。
カイン「ちょっ……お待ちなさい!まだ始まったばかりで」
月華「ひえった!退路を塞いでっ!」
ひえった「ひー!」
ひえったが月華の指示通りカインの前に回り込む。
(カイン:まずいです!このままではボールがひえったに渡った瞬間正面衝突してしまいます……!)
カイン絶体絶命!
挟み撃ちの状態から無事抜け出せるのか!?
作品名:自作小説キャラが戦闘中〜その壱〜 作家名:璢夷