二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Wizard//Magica Infinity −2−

INDEX|5ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

………


「ハっルトせんぱ~い!部活ですよ~っ!!」
「うるさいうるさい、ちょっと黙れ」
「瞬平うるさい」

そしてあっというまに放課後。
ほとんどの授業を聞き流していたがいつの間にか最後の授業も終わっていたみたいだ。
隣で騒ぐ瞬平を黙らせ俺たち3人は音楽準備室へと向かった。
廊下を歩いていると聞き覚えのある虫の声が聞こえてきた。

「いや~暑いですね。まさに夏の始まりって感じですね、ハルト先輩!」
「あぁ、俺は暑いのは好きだけど、コヨミがなぁ…」
「暑い…帰りたい…」
「あ、もしかしてコヨミさん。暑いの苦手なんですか?」

コヨミは毎年、この時期になるとすこぶるテンションが落ちてしまう。というのもコヨミは夏という季節が昔から嫌いなのだ。というか暑いのが嫌なのだ。
なので、外気温が急上昇するこの時期のコヨミは常にこんな状態になってしまう。

「私帰りたい。家に帰って扇風機付けてあ~ってしたい」
「馬鹿、喉おかしくなるぞ」
「でも僕も正直暑いのとか苦手です。へへっ」
「へ?そうなの、意外だな瞬平」
「はい、ちょっと昔思い出すっていうか。まあそんなことより、もうつきますよ!」

あっという間に部室の前に到着した俺たち、瞬平は先陣を切っておもいきり部室のドアを開いた。
「凛子さ~んっ!連れてきましたよ~っ!!」
「上、気を付けてね」
「へ?っ!!?」
同時に凛子ちゃんが仕掛けたであろう水入りバケツがドアを開けた時の反動で勢い良く瞬平の頭に降り注がれた。

「…やっぱり」
「瞬平を先に行かせて正解ね」

「うぅ~…ハルト先輩、コヨミさぁ~ん…酷いですよ~…うぅっ…」

「さあ、そんなことで今日の部活動も始めるわよっ!」
「えっ僕はどうすれば!?」
「そのままでいれば良いじゃない、もしくは脱ぎなさい」
「あっそうですね!」
「ひっ、瞬平、本当に脱がないで!」

とりあえず、本当に服を脱ぎだした俊平を俺は静止させ、それを見て顔を引きつっていたコヨミをなだめてこの時ようやく部活動が始まったのだ。
全く、始めるまでになんでこんな疲れなきゃいけないのか…。

「で、今日は何をするの?凛子ちゃん」
「今日の活動内容はもう決まっているわ…というか、ハルトくんが言い出したことじゃない」
「え、俺なんか言ったっけ?」
「もう!自分から言っておいて忘れるなんて。想い出、作るんでしょ?」
「あっ、そうだった」

この前の探検部の部活動での出来事が鮮明に頭の中に蘇る。
あの時、俺はみんなで想い出を残すと断言したじゃないか。

「で、実際のところどんな感じで残すんですか?ハルト先輩!」
「えっ…えっと」
「まさか、何も考えてないの?」
「違うぞコヨミ。俺だってちゃんと考えて…」
いや、それは嘘だ。
特に考えは無い。ノープランだった。
実際、なんであの時自分があんな発言をしてしまったのか、身体が勝手に動いたというか、感情任せだったというか、特に理由はなかった。

「…凛子ちゃん」
「あぁ~はいはい、皆まで言わなくても、ハルトくんが考えていることなんてわかってるわ」
「ハルト…」
「悪かったコヨミ、だからそんなジト目で俺を見ないでくれ」

凛子ちゃんは腕を組みながら部室の周りをぐるぐると周り始める。
そして何かひらめいたのか人差指を天井に差し大きく俺たちに振り返った。

「タイムカプセル…なんてどう?」
「あ、それ良い!」
「流石ね、凛子」

「でもただのタイムカプセルじゃつまらないわ。そうね…」

すると凛子ちゃんはカバンから真新しいノートを取り出し、何かを書き始めた。

「予言日記!これを埋めましょう!!」

「「予言日記?」」
「え!?凛子さん予言ができるんですか!?」
「そんなわけないでしょ、馬鹿ね」
「ば、馬鹿って…」

「それより凛子ちゃん、予言日記って?」
「簡単よ!各自、これから起こるであろう出来事を日記に綴ってそれを埋めるのよ。どう?面白いと思わない?」
「別に普通に自分の宝物とかで良いんじゃ…」
「それじゃつまらないでしょ?やるんだったら徹底的にやらないと!」

始まった。凛子ちゃんの思いつきだ、こうなった以上は何を言っても無駄だ。とはいえ、これはこれで面白そうだ。確かに凛子ちゃんの言うとおり、掘り出した時のわくわくは相当なものだろう。

「ちなみに凛子さん、日記っていいますけど、どの期間の出来事を予測して書けばいいんですか?」
「それは各自に任せるわ。好きなようにしてちょうだい」
「はぁ…凛子、正直どうでも良いんでしょ?」
「まぁまぁコヨミちゃん。こういうのは結果じゃないの。やったという今のこの時間が大切なのよ。私達が存在した証を作りましょう!」

俺たちは学校の資材室から人数分のノートを貰い、早速各々が各教室に散らばって「予言日記」を書き始めた。俺は普段授業を受けている自分の教室の席に座り真っ白なノートを開いた。ちなみに他のクラスメイトは既に下校したみたいで教室内には俺一人しかいない。
さて、シャーペンを取り出し俺も早速書き始めた。

「………。」

必死に考える。

「…うっ…」

普段はそれほど使わない頭をフル回転させる。

「ぐぅっ……」

次第にシャーペンをノックする回数が増える。

「……っっっ!…」

そして、机にシャーペンを置いた。

「っあぁ!!…わっかんねぇ」


時計の針を見る。…既に30分進んでいた。
それなのに俺の日記は今だ真っ白、消しゴムで何かを消した跡すらない。驚くべき発想力の無さに自分に腹がたってしまった。そもそも俺は日記というものを書いたことすら無かった。

「参ったな、これじゃあいつまでたっても進まない…あ、そうだ」

こういう時にたよりになる人物が一名いるじゃないか。
普段はうるさい奴だがこういう事にはすぐに便乗する俊平なら既に数十ページは完成しているのではないか?
善は急げだ。
早速、俺は俊平が日記を書いている教室へと移動した。

・・・

「ぐぅ~すぅ~…」
「…マジかよ」

俊平は気持ちよさそうないびきをかいて幸せそうに机に横になって爆睡していた。そしてその手元にはわずか30分で一冊丸々書いた予言日記がある。
一体こいつの発想力はどれほどのものなのだろう。

「ぐぅ~…すこ~…むにゃむにゃ…ハルトせんぱ~い…」
「どんな夢を見ているんだ?まぁ良い。悪いな俊平…よっと…」

俊平を起こさないようにゆっくりと手元にある予言日記を取る。
そして胸の心拍数を上げながら表表紙を開けた−−−。


作品名:Wizard//Magica Infinity −2− 作家名:a-o-w