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FATE×Dies Irae3話―1

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 二人の動向が、だ。
 生真面目だが融通の効かないセイバーと、見るからに悪ノリが過ぎる印象の司狼。
 そして昨日司狼が見せた意味深な笑みに、「妙案」の一言。
 不安ばかりが募る。
「ん? どうした衛宮? 朝からお疲れのようだが」
 声をかけてきたのは一成だ。傍らに佇み、訝しげな顔で士郎を見下ろす。
「ああ、まあちょっとな……」
 曖昧に言葉を濁す士郎。
「衛宮、また間桐と何かあったのか?」
「どうして分かったんだ?」
「どうしても何も、さっきから物凄い形相でお前を睨んでいるぞ、あやつ」
「うわっ……」
 言われて一成の視線をたどってみると、なるほど確かに不機嫌顔の慎二と目があった。
 忌々しげに顔を背ける慎二。
「あやつが衛宮を目の敵にしているのはいつものことだが、今日は輪をかけてひどいな。何があった?」
 促され、士郎は今朝の顛末――桜の朝練をめぐる、慎二との一悶着――を説明する。
「なるほど、要するに間桐は、衛宮に顔を潰されたことを逆恨みしているわけか」
「別に顔を潰してなんかいないさ。それに、あいつを言い負かしたのは俺じゃなくて遠坂だ」
 途端、苦虫を噛み潰したように顔をしかめる一成。
「遠坂だと? そうか……正直、間桐のことは虫が好かんが、あの女狐の餌食になったとあらば同情を禁じ得んな」
「前から気になっていたんだけど、一成、遠坂と何かあったのか?」
「ん……まあ、ちょっとな。それはそうと聞いたか衛宮? さっき職員室で小耳にはさんだのだが、今日このクラスに転入生が来るそうだ」
 あからさまに話を逸らす一成。
「へえ、珍しいな。小中学校ならともかく、高校で転入生なんて」
「それだけじゃないぞ。転入生は二人いるらしいんだが、どうも二人ともうちのクラスに来るらしい」
 同日に二人? それも同じクラスに? 妙な話だ。
 それになぜだろう。
 ふと、嫌な予感がした。
「おっと、予鈴か。ではな衛宮」
 席へと戻る一成。
 ほどなく朝のホームルームが始まり――はたして、士郎の予感は的中した。

 
「遊佐司狼だ」
「セイバーです」



 時期外れの転入生に湧き立つ教室の中、ただ一人士郎だけは、あんぐりと口を開け固まっていた。
作品名:FATE×Dies Irae3話―1 作家名:真砂