4(ver.1.0).迎撃戦
賞賛したわけではなかったが、アヤは短くありがとう、と謝辞を述べた上で、あらためて我が輩に視線を合わせてきた。
「でも、思ったとおりだったわね」
「何の話です?」
「あら、気付いてなかった?あなたも、私の歌は聞いているのよ。けれど、何の反応も示していない」
当たり前だ。人間の歌声程度で揺れるような脳は持ち合わせていない。
「思ったとおりね。
あなたは、ひとりじゃ、ないんだわ」
「…………」
「まあ、それはともかく」
音もなく立ち上がると、再びヤコに視線を落とす。
「彼女が『ひとりきり』のままでは、また同じことを何度でも繰り返せるわ。今までの経験から言って、中毒のような状態に陥る可能性もあるわね」
「さあ、あなた、この事態をどうする?」
「ご心配には及びませんよ」
そうやすやすと、我が輩の支配から逃れられるものか。
逃れさせる、ものか。
我が輩は、片方の手でヤコの顎に手を伸ばすと、口を開けさせた。
もう片方の手に嵌めている手袋を
作品名:4(ver.1.0).迎撃戦 作家名:さふらん