二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Wizard//Magica Infinity −3−

INDEX|7ページ/7ページ|

前のページ
 


………

「はぁ、暇ね」
「そうですね~このベルトも遊びしつくしちゃいましたし…」
「それ、まだいじってたんだ」
「あっついなぁ~。あ、そうだ。アイスでも買いにいかない?」
「おぉ!いいですね!久しぶりに凛子さんからまともな意見がでましたね!」
「瞬平くん、それどういう意味?」
「あうぅ…すみません」

ということで、俺たちはアイスを買いに行くために外に出た。だが乗り気でない人物が約一名いる。それが…
「ほらコヨミ。行くぞ」
「やだ、行きたくない」
「なんで」
「行きたくないから」
「理由になってないよ」
そう…この困った少女、コヨミだ。普段なら別に問題ないのだがこの村の商店に行くことだけは絶対に嫌がるのだ。理由は一つ、この前コヨミを誘った中学生の女の子がいる店だからだ。

「別にあの子に会うわけでもないだろ、ちょっと寄ってアイス買うだけだろ?」
「それも嫌」
「あ~もう、ほら、行くぞ!」
「っ!ちょっと」
「駄目、少しは他人と交流を深めなきゃ」

俺は嫌がるコヨミの手を引き無理やり連れていく。
こうでもしないといつまでもコヨミは俺たち以外に心を開かないだろう。
少しは俺も鬼にならなければいけない。

なんとかコヨミの手を引いて商店に向かい歩いていく。だがその途中でもコヨミは渋々行きたくないと口に出すのだ。
「ハルトくん、女の子はデリケートなのよ?」
「それでも連れてくよ。コヨミはいくらなんでも人見知り過ぎだ。大丈夫、辛いのはほんの一瞬なだけであとはなるようになるよ」
「まるでハルト先輩ってお父さんみたいですね!」
「あぁ、様になってるだろ?」


「うぅ~…」
「大丈夫だ、コヨミ。俺が傍にいる」
「でも…」


「安心しろ、コヨミは俺が守る」


「…うん、ありがとう」

「ほら、いちゃいちゃしている間に、着いたよ」
「してないって!」

いつの間にか、この村優一の食料品を取り扱っている商店へと辿り着いた。店の奥から見知ったおせっかい焼きのおばさんが現れ俺たちは各々が食べたいアイスをショーケースから取り出し順番にお金を支払い始めた。

「いらっしゃいハルトくん!」
「こんにちは、おばさん。はい60円」
「まいどあり!あら、そっちの子…」
「そっか、コヨミはこの店にあまり来ないから、ほら、お金払わないと」
「うん…」

コヨミはそっぽを向きながらお金を乗せた手を差し出す。俺は若干ため息をするがそれでもここまで頑張ったコヨミを見て口を緩めてしまった。
「…はい」
「まいどあり!…あらっ…」
「………。」
「はて…あれ?」
おばさんが珍しそうにコヨミの顔を凝視する。それに耐え切れなくなったコヨミはお金だけ渡してそそこさと俺の背中に隠れてしまった。

「ハルト、帰りたい…」
「え、せっかくここにベンチあるんだしここで食べていかないか?ほらっあの子も顔出さないみたいだし、大丈夫だって」
「でも…」

そう言い聞かせて俺たちは店の前のベンチに座りアイスを食べ始めた。ここで食べればゴミも捨ててくれるし、当たりがでればもう一本食べられる。
その時、店のおばさんが俺たちのもとに寄り話しかけてきた。


「凛子ちゃん!また大きくなったんじゃない?」
「はい!育ち盛りなんで!」
「ふふっ!あともう少ししたらおばさん追い越されちゃうかもしれないわね?」
「………。」
「あら、たしか…えっと、コヨミちゃん!そうコヨミちゃんっていったわね!」
「…はい」
なんだろうか、おばさんは偉くコヨミに興味津々だ。まぁ同じ村に住んでいてこんなに顔を出さない子も居れば興味もわくだろう。


「あら~やっぱりそっくりさんねぇ!」
「…っ…」
「ん?誰にですか?芸能人?」
「違う違う!あのね、ハルトくん。おばさんがまだハルトくんぐらいの年の頃にね、コヨミちゃんみたいなそっくりな子がいたのよ!」
「っ!!」
「いや~でもその子、ある日突然転校しちゃってねぇ…名前なんて言ったかしら…」
「へぇ~そうなんですか。コヨミ…コヨミ?」



「……っ…」

珍しく、コヨミが動揺していた。
なんだ?

コヨミが動揺することなんて滅多にない。


「…ごめんなさい、先に変えるわ」
「おいコヨミ…なんだ?どうしたんだコヨミ!」

「コヨミちゃん?」
「え、なんですか?どうしたんですかっ!?」

コヨミはアイスを食べ残して走って帰っていってしまった。
なんだ…何が起きている。


俺は瞬平にアイスを持たせてその後を追った。
だが、いつの間にかコヨミの姿が消えていた。



「なんなんだよ、おいっ」



走っていると同時に、ふと頭の中にある事柄が過ぎった。
それは…あの予言日記の一文だ。


−無理やり外に連れてかれるのは嫌だな。今日は嫌な予感がする。−


たしか…あの日記の日付は…6月15日…今日だ。
まさか、あの日記の内容…

「はぁっはぁっ…当たって…る?」

そんな訳がない。




あれはコヨミが想像で書いた内容だ。



たまたまだ。
そんなこと絶対にありえない。





だが一つ。
確信を得た事がある。


コヨミは俺に何かを隠している。
それと、俺の周りには明らかに異変が起こっている。





一昨日の夜の出来事、そして昨日の夜の学校の出来事。





一体何が起きているんだ…。






「はぁっ……はぁっ……」


日が落ち始め面影村の山に太陽が隠れ始める。
辺り一面がオレンジ色に染まった。


俺は息を切らしながらその場に立ち止まり、自分の身の回りで起こった異変に疑問を持ちながらその夕日をずっと眺め続けていた−−−。





作品名:Wizard//Magica Infinity −3− 作家名:a-o-w