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反転しない真実

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 こっそり女性の耳元でそう言って、僕は急いで師匠を追いかけた。追いつくと、師匠は次の街に行くと言う。それはまるで死刑宣告のように僕の頭をぶつ。せっかく落ち着けるのだから、もっとゆっくりしていきましょうよと言うと、師匠は呆れた目で僕を見た。
「お前、あんな目にあってまだここにいたいのかよ。鈍いっつーか図太いっつーか、」
「褒めてませんよね、それ」
「当たり前だ。それより酒と煙草買ってこい」
「ええー!!!」
 うるせェと師匠は耳を塞ぐ。横暴だ!あんまりだ!しかも列車が来る前に買ってこいよ、だなんて!!きゃんきゃん喚くと、もう一度支障はうるせェと言って駅に向かって歩いていく。ぽつんと取り残された僕は仕方なく店のほうへ向かう。けれどだんだんとその歩みは速くなっていく。
 僕らは女主人が思っているような関係でもないし、そんな感情も持ち合わせていない。けれど、今師匠の隣にいるのはぴちぴちのギャルでも妖艶なマダムでもなく、僕なのだ。それだけは地球がひっくり返るようなことになっても変わらない。そう思うと、動悸が速くなって自然と速足になる。
 ああ、なんだか気分がいいからいつもより高い酒と煙草を買っていこうかな。そう思って、財布を開けてみたが――そこには厳しい現実が待っていた。まあ、所詮こんなものだ。
作品名:反転しない真実 作家名:kuk