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らんぶーたん
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小説インフィニットアンディスカバリー第二部

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 それに呼応するように、オルトロスと呼ばれた化け物が咆哮を上げる。すると、背に生えた五つの蛇が五方へとその頭を伸ばし、それぞれが紅蓮の火炎を吐き出した。五つの頭が振られるたびに火炎があたりを蹂躙し、生木をまるで枯れ木に火をつけるように次々と焼き払う。トウマの声で距離を取っていたので皆それをかわしていたが、火炎を吐き出し終えてなお、獲物と決めた意志をまき散らす六対の目が、こちらを捉えて放さない。
「こ、こんなの相手にしてたら、エドアルドが……」
「シグムント、ここは私とコマチに任せておけ。そなたはケルンテンへ急ぐといい。十分に足止めをしたら、我々も追いかける」
 トウマはカペルの返事を待たずに刀を抜き、オルトロスの間合いへと踏み込んでいく。カペルはアーヤと目配せし、一つ頷くと、構えていた剣を納めた。
「トウマさん、おねがいし……ヴィーカ!」
 オルトロスと戦うトウマに視線を遣った直後、カペルは敵の後ろから飛びかかろうとするヴィーカの姿を見た。ナイフ一本で飛び込むのは無茶すぎる。
 その無茶はオルトロスの尾で簡単に迎撃され、ヴィーカはカペルの方へと跳ね飛ばされた。カペルはそれを何とか受け止めたが、一緒になって尻餅をついてしまう。
「いてて……ヴィーカ、無茶だよ」
「つぅ……ごめん、兄貴」
「とにかく、ここはトウマさんたちに任せて、僕らはケルンテンに急ぐよ」
「お、おう」
 こけた拍子に落としてしまっては大変だからと、カペルはポケットにしまった試験薬の革袋を確かめた。ちゃんとそこにある。エドアルドを救う唯一の希望を確かめながら、アーヤに引き起こされたカペルは、再び、コバスナの森をケルンテンへと走り始めた。