機動戦士ガンダムRS 第27話 さだめの楔
アークエンジェルでは、夜通し修理作業が行われていた。
アークエンジェルのブリッジにレドニル・キサカ一佐がいた。
「目下の情勢の最大の不安材料は、パナマだ。
コロニー軍に大規模作戦有りという噂のおかげでハワイ基地の動きは、かなり慌ただしい」
キサカ一佐が今つかんである情報を教えた。
「どの程度まで分かっているのですか?」
バジルール中尉は、コロニー軍の作戦内容をできる限り知りたかった。
「さあな。
オーブも難しい立場にある。
情報は、欲しいが薮蛇はごめんでね。
だがアラスカに向かおうという君等には、かえって好都合だろう」
オーブは、中立国ゆえ情勢情報はほしいが深すぎる癒着は永久中立の志にそむくことになる。
相反する立場に現在のオーブは、ある。
「万一追撃があったとしても北回帰線を超えればすぐにアラスカの防空圏ですからね。
奴等もそこまでは、深追いしてこないでしょう」
ノイマン少尉は、アラスカが目の前のため逃げ切れると思っていた。
「ここまで追ってきた例の艦隊の動向は?」
ラミアス艦長がキサカ一佐にη艦隊の動向を質問した。
「一昨日からオーブ近海に艦影は、ない」
キサカ一佐は、η艦隊が見当たらないと答えた。
「引き揚げたと?」
ラミアス艦長にとって敵が見当たらないということは、撤退したことだと思った。
「また外交筋では、かなりのやり取りがあったようだからな。
そう思いたいところだが」
キサカ一佐は、ラミアス艦長の考えを肯定した。
「アスハ前代表は、当時この艦とモビルスーツのことはご存知なかったという噂は本当ですか?」
バジルール中尉がアークエンジェルとG兵器開発時のオーブ情勢を質問した。
「バジルール中尉」
ラミアス艦長は、バジルール中尉をとがめようとしたがキサカ一佐がとめた。
「確かに前代表の知らなかったことさ。
一部の閣僚が大西洋連邦の圧力に屈して独断で行ったことだ。
モルゲンレーテとの癒着も発覚した。
オーブの陣営を明らかにするべきと言う者達の言い分も分かるがそうして巻き込まれれば火の粉を被るのは、国民だ。
ヘリオポリスの様にな」
キサカ一佐の説明にバジルール中尉は、ヘリオポリスの惨状を思い出した。
「それだけは、したくないとウズミ様は無茶を承知で今も踏ん張っておられるのさ。
君等の目には、甘く見えるかもしれないがな」
何の疑いもなく国の命令で敵を討つ軍人には、ウズミ前代表の考えは甘いと思うとキサカ一佐は考えた。
「いえ」
ラミアス艦長にそんな考えは、なく中立を貫くという考えも尊重していた。
「修理の状況は?」
キサカ一佐がラミアス艦長にアークエンジェルの修理状況を質問した。
「明日中には、と連絡を受けております」
ラミアス艦長が予想終了日をいった。
「あと少しだな。
頑張れよ」
キサカ一佐がラミアス艦長を激励しブリッジを去った。
※
サオトメたち潜入部隊は、ドゴス・ギアに帰艦した。
そしてパイロットたちを作戦会議室に集めた。
「アーガマもどきは、オーブにいる。
間違いない。
出てくれば北上するはずだ。
ここで網を張る」
サオトメの言葉にパイロットたちから動揺が走った。
シーサー少尉が挙手した。
サオトメは、発言権をあげた。
「その確証は、ニュータイプ能力のみですか?」
シーサー少尉がサオトメに質問した。
「確かにそうだ。
だが俺のニュータイプ能力の的中率は、わかっているだろ?」
皆は、反論しなかった。
それが的中率の高さを物語っていた。
今度は、ジャック中尉が挙手した。
またサオトメは、発言権をあげた。
「少佐は、どれくらい待つつもりですか?」
ジャック中尉がサオトメに質問した。
「簡単に外部から見ただけだしオーブの修理技術もわからない。
おそらく2〜3日といったところだろう」
サオトメは、アーガマもどきが出てくる大まかな時間を推測した。
「ほかに質問がないなら解散」
サオトメは、パイロットたちを解散させた。
※
サオトメは、ブリッジに入ってブライアン艦長に敬礼した。
「ブライアン艦長、オーブ艦隊が臨時演習を行った際は第二戦闘配備を発令してください」
その言葉にブライアン艦長は、驚いた。
「どういうことだ?」
ブライアン艦長は、サオトメの意図がわからなかった。
「あれだけのクラスの軍艦を逃がすには、それ相応の擬装が必要です。
そういうときに臨時演習は、うってつけの口実です。
私でしたら護衛艦隊からジャミングを発信させ敵に正体をつかみさせにくくするのが得策です。
さらにオノゴロ島の周囲は、特有の朝靄がかかりやすい気候です。
レーダーと視界をつぶせば完全に自分の姿を隠すことができます」
サオトメの言葉には、説得力があった。
「索敵、厳に。
オーブ艦隊が臨時演習を行った際は、教えろ。
第二戦闘配備を発令する」
ブライアン艦長は、部下に命令した。
「私は、失礼します」
サオトメは、ブライアン艦長に敬礼するとブリッジを後にした。
※
ドゴス・ギアでは、あまり不満はないが2日目になるとロンバルディアでは不満者が現れた。
「これでもうここに2日だ。
違ってたらアーガマもどきは、もう遙か彼方だぞ」
ロンバルディアのマン・マシーン第1中隊第2小隊の第2分隊の分隊長を務めるトーマス・サインツ准尉は、リクリエーションルームでロンバルディアのマン・マシーン第1中隊第1小隊の第2分隊の分隊長を務めるトクシマ・ハヤミ准尉に愚痴っていた。
「クーデターする気なら手を貸すよ?」
雑誌を見ていたトクシマ准尉が顔を上げとんでもないことをいった。
思いもしなかった言葉にトーマス准尉は、言葉を失った。
「どうする?」
トクシマ准尉にとっては、退屈しのぎのノリだった。
「残念ながらそれほど単純な頭でもないのでね」
トーマス准尉は、そんなトクシマ准尉の考えを見透かしてか冷静になった。
トーマス准尉は、備え付けのベッドに横になった。
その表情からは、やはり不満が消えていなかった。
※
η艦隊は、補給が完了した。
サオトメは、デッキで海を1人眺めながらオーブでのキラとのやり取りを思い出していた。
「だが俺たちの間には、フェンスがあった」
サオトメ自身気づかぬうちに1人そんなことをいっていた。
そして今までのキラとの戦闘を思い出していた。
「やつも時期に組織の歯車になるのかな」
サオトメは、うすうすキラが地球軍に志願したことに気づいていた。
そんなキラが戦いから心を失いただ歯車として戦いに身を投じていくことが戦友としてライバルとして悲しかった。
「隊長」
サオトメは、後ろから呼ばれたため振り返るとアイリス曹長が走ってきた。
「報告します。
補給作業が終わりました」
アイリス曹長が補給作業が終わったことを報告した。
「了解」
サオトメは、機械的に答えた。
「向こうのデッキから飛び魚の群れが見えます。
いらっしゃいませんか?」
アイリス曹長がサオトメを誘った。
「いや、結構だ」
サオトメは、アイリス曹長の誘いを断った。
アークエンジェルのブリッジにレドニル・キサカ一佐がいた。
「目下の情勢の最大の不安材料は、パナマだ。
コロニー軍に大規模作戦有りという噂のおかげでハワイ基地の動きは、かなり慌ただしい」
キサカ一佐が今つかんである情報を教えた。
「どの程度まで分かっているのですか?」
バジルール中尉は、コロニー軍の作戦内容をできる限り知りたかった。
「さあな。
オーブも難しい立場にある。
情報は、欲しいが薮蛇はごめんでね。
だがアラスカに向かおうという君等には、かえって好都合だろう」
オーブは、中立国ゆえ情勢情報はほしいが深すぎる癒着は永久中立の志にそむくことになる。
相反する立場に現在のオーブは、ある。
「万一追撃があったとしても北回帰線を超えればすぐにアラスカの防空圏ですからね。
奴等もそこまでは、深追いしてこないでしょう」
ノイマン少尉は、アラスカが目の前のため逃げ切れると思っていた。
「ここまで追ってきた例の艦隊の動向は?」
ラミアス艦長がキサカ一佐にη艦隊の動向を質問した。
「一昨日からオーブ近海に艦影は、ない」
キサカ一佐は、η艦隊が見当たらないと答えた。
「引き揚げたと?」
ラミアス艦長にとって敵が見当たらないということは、撤退したことだと思った。
「また外交筋では、かなりのやり取りがあったようだからな。
そう思いたいところだが」
キサカ一佐は、ラミアス艦長の考えを肯定した。
「アスハ前代表は、当時この艦とモビルスーツのことはご存知なかったという噂は本当ですか?」
バジルール中尉がアークエンジェルとG兵器開発時のオーブ情勢を質問した。
「バジルール中尉」
ラミアス艦長は、バジルール中尉をとがめようとしたがキサカ一佐がとめた。
「確かに前代表の知らなかったことさ。
一部の閣僚が大西洋連邦の圧力に屈して独断で行ったことだ。
モルゲンレーテとの癒着も発覚した。
オーブの陣営を明らかにするべきと言う者達の言い分も分かるがそうして巻き込まれれば火の粉を被るのは、国民だ。
ヘリオポリスの様にな」
キサカ一佐の説明にバジルール中尉は、ヘリオポリスの惨状を思い出した。
「それだけは、したくないとウズミ様は無茶を承知で今も踏ん張っておられるのさ。
君等の目には、甘く見えるかもしれないがな」
何の疑いもなく国の命令で敵を討つ軍人には、ウズミ前代表の考えは甘いと思うとキサカ一佐は考えた。
「いえ」
ラミアス艦長にそんな考えは、なく中立を貫くという考えも尊重していた。
「修理の状況は?」
キサカ一佐がラミアス艦長にアークエンジェルの修理状況を質問した。
「明日中には、と連絡を受けております」
ラミアス艦長が予想終了日をいった。
「あと少しだな。
頑張れよ」
キサカ一佐がラミアス艦長を激励しブリッジを去った。
※
サオトメたち潜入部隊は、ドゴス・ギアに帰艦した。
そしてパイロットたちを作戦会議室に集めた。
「アーガマもどきは、オーブにいる。
間違いない。
出てくれば北上するはずだ。
ここで網を張る」
サオトメの言葉にパイロットたちから動揺が走った。
シーサー少尉が挙手した。
サオトメは、発言権をあげた。
「その確証は、ニュータイプ能力のみですか?」
シーサー少尉がサオトメに質問した。
「確かにそうだ。
だが俺のニュータイプ能力の的中率は、わかっているだろ?」
皆は、反論しなかった。
それが的中率の高さを物語っていた。
今度は、ジャック中尉が挙手した。
またサオトメは、発言権をあげた。
「少佐は、どれくらい待つつもりですか?」
ジャック中尉がサオトメに質問した。
「簡単に外部から見ただけだしオーブの修理技術もわからない。
おそらく2〜3日といったところだろう」
サオトメは、アーガマもどきが出てくる大まかな時間を推測した。
「ほかに質問がないなら解散」
サオトメは、パイロットたちを解散させた。
※
サオトメは、ブリッジに入ってブライアン艦長に敬礼した。
「ブライアン艦長、オーブ艦隊が臨時演習を行った際は第二戦闘配備を発令してください」
その言葉にブライアン艦長は、驚いた。
「どういうことだ?」
ブライアン艦長は、サオトメの意図がわからなかった。
「あれだけのクラスの軍艦を逃がすには、それ相応の擬装が必要です。
そういうときに臨時演習は、うってつけの口実です。
私でしたら護衛艦隊からジャミングを発信させ敵に正体をつかみさせにくくするのが得策です。
さらにオノゴロ島の周囲は、特有の朝靄がかかりやすい気候です。
レーダーと視界をつぶせば完全に自分の姿を隠すことができます」
サオトメの言葉には、説得力があった。
「索敵、厳に。
オーブ艦隊が臨時演習を行った際は、教えろ。
第二戦闘配備を発令する」
ブライアン艦長は、部下に命令した。
「私は、失礼します」
サオトメは、ブライアン艦長に敬礼するとブリッジを後にした。
※
ドゴス・ギアでは、あまり不満はないが2日目になるとロンバルディアでは不満者が現れた。
「これでもうここに2日だ。
違ってたらアーガマもどきは、もう遙か彼方だぞ」
ロンバルディアのマン・マシーン第1中隊第2小隊の第2分隊の分隊長を務めるトーマス・サインツ准尉は、リクリエーションルームでロンバルディアのマン・マシーン第1中隊第1小隊の第2分隊の分隊長を務めるトクシマ・ハヤミ准尉に愚痴っていた。
「クーデターする気なら手を貸すよ?」
雑誌を見ていたトクシマ准尉が顔を上げとんでもないことをいった。
思いもしなかった言葉にトーマス准尉は、言葉を失った。
「どうする?」
トクシマ准尉にとっては、退屈しのぎのノリだった。
「残念ながらそれほど単純な頭でもないのでね」
トーマス准尉は、そんなトクシマ准尉の考えを見透かしてか冷静になった。
トーマス准尉は、備え付けのベッドに横になった。
その表情からは、やはり不満が消えていなかった。
※
η艦隊は、補給が完了した。
サオトメは、デッキで海を1人眺めながらオーブでのキラとのやり取りを思い出していた。
「だが俺たちの間には、フェンスがあった」
サオトメ自身気づかぬうちに1人そんなことをいっていた。
そして今までのキラとの戦闘を思い出していた。
「やつも時期に組織の歯車になるのかな」
サオトメは、うすうすキラが地球軍に志願したことに気づいていた。
そんなキラが戦いから心を失いただ歯車として戦いに身を投じていくことが戦友としてライバルとして悲しかった。
「隊長」
サオトメは、後ろから呼ばれたため振り返るとアイリス曹長が走ってきた。
「報告します。
補給作業が終わりました」
アイリス曹長が補給作業が終わったことを報告した。
「了解」
サオトメは、機械的に答えた。
「向こうのデッキから飛び魚の群れが見えます。
いらっしゃいませんか?」
アイリス曹長がサオトメを誘った。
「いや、結構だ」
サオトメは、アイリス曹長の誘いを断った。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第27話 さだめの楔 作家名:久世秀一