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機動戦士ガンダムRS 第27話 さだめの楔

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「不安なんですか?」
 アイリス曹長の問いにサオトメは、驚いた。
「大丈夫ですよ。
私は、どんなときでも隊長を信じます」
 アイリス曹長は、サオトメに強く言った。
サオトメは、そんなアイリス曹長を見て失笑した。
 2人は、しばらく話をした。
「アイリスは、どうして軍に志願したんだ?」
 サオトメは、不意にそんな質問をした。
アイリス曹長も一瞬その質問に驚いた。
「いや、すまない。
余計なことだった」
 サオトメは、せっかくの雰囲気を壊したんじゃないかと謝った。
「いえ。
私も戦わなければならないと思ったんです。
スウィート・ウォーターのニュースを見て」
 アイリス曹長は、自分が軍に志願した理由を語った。
「隊長は、どうして軍に志願したんですか?」
 今度は、アイリス曹長が質問した。
「これ以外に生きていく術を知らないからさ」
 サオトメは、悲しく答えた。

         ※

 オノゴロ島の秘密ドックでは、アークエンジェルの修理が完了し注水作業が行われていた。
 アークエンジェルのブリッジでは、カズイ二等兵が副操舵席を見てため息をついた。
サイ二等兵の表情も暗かった。

         ※

 注水作業が行われる前キラがアークエンジェルのモビルスーツデッキにきたときモビルスーツ用訓練機の前に人だかりができていた。
キラは、気になってそこにいった。
「何してるの?」
 キラは、近くにいたミリアリアに声をかけた。
「キラ、見てみて。
フレイったらすごいのよ」
 ミリアリアがフレイの名を言った。
よく見ると訓練をしているのは、フレイだった。
しかも技量は、かなりのものだ。
 訓練が終わりその結果は、目を見張るものだ。
「アルスター二等兵は、モビルスーツパイロットの補欠としよう」
 イザーク大尉が決定した。
「引き続き訓練を続けてくれ。
お前たちは、持ち場にもどれ」
 イザーク大尉が野次馬たちを解散させた。
しかしサイ二等兵の表情は、暗かった。

         ※

 フレイは、サイの心配をよそに訓練を続けていた。

         ※

 内閣府官邸では、カガリが武器を身に付けていた。
カガリは、アークエンジェルとともに行こうと考えていた。
カガリは、荷物をまとめていた。
「カガリ」
 カガリが振り返るとウズミが入ってきた。
「あの船と共に行くつもりか?」
 ウズミがカガリに質問した。
「はい」
 カガリは、素直に答えた。
「では、地球軍の兵としてコロニー軍と戦うのか?
お前は、それほどまでに戦いたいか?」
 ウズミがまたカガリに質問した。
「違います。
戦いたいわけでは、ない」
 カガリは、荷物をまとめていた手を止めウズミを見て強く答えた。
「では、なんだ?」
 ウズミがカガリに静かに質問した。
「彼らを助けたいのです。
そしてこんな戦争は、早く終わらせたい」
 カガリは、ウズミに戦う理由をはっきり言った。
「お前が戦えば終わるのか?」
 ウズミがカガリに強く質問した。
その質問にカガリは、答えられなかった。
「しかし」
 それでも何とかカガリは、抗おうとした。
「お前が誰かの夫を討てばその妻は、お前を恨むだろう。
お前が誰かの息子を討てばその母は、お前を憎むだろう。
そしてお前が誰かに討たれれば私は、そいつを憎むだろう。
こんな簡単な連鎖が何故解らない?」
「解っています。
しかしこの国で自分だけのうのうと生きているのに堪えられない」
 ウズミの質問にカガリは、即答し反論した。
「そんな安っぽい独り善がりな正義感で何が出来る」
 ウズミがカガリに強く言った。
その力強さにカガリは、何もいえなかった。
ウズミがカガリの肩に手を乗せた。
「銃を執るばかりが戦いでは、ない。
戦争の根を学べ、カガリ」
 ウズミは、カガリに説法した。
「お父様」
 カガリの中でこれまでの考えが少し変わった。
「討ち合っていては、何も終わらないし何も変わらない」
 カガリは、ウズミにそういわれベッドにおいた拳銃を見た。

         ※

 多数のイージス艦とクラオミカミ級がカモフラージュのため発進した。
「オーブ軍より通達。
周辺に艦影なし。
発進は、定刻通り」
 アークエンジェルのブリッジでロメロ軍曹が報告した。
「了解したと伝えて」
 ラミアス艦長が命令した。
「護衛艦が出てくれるんですか?」
 サイ二等兵は、驚きを隠せなかった。
「隠れ蓑になってくれるんだろ?
艦数が多い方が特定しにくいしデータなら後でいくらでも誤魔化しが効くからな」
 ジャッキー軍曹が教えてくれた。

          ※

 管制室にはウズミ前代表、シモンズ主任、ヤマト夫妻とキサカ一佐がいた。

          ※

「ドック内にアスハ前代表がお見えです。
ヤマト少尉を上部デッキへ出して欲しいと言われてますが」
 ロメロ軍曹の報告にラミアス艦長が驚いていた。

          ※

 キラは、上部デッキへ出てきた。
「キラ」
 そのとき桟橋を走ってこっちに来ているカガリを見つけた。
「カガリ、どうして?」
 キラは、どうしてカガリが桟橋を走ってこっちに来ているのかわからなかった。
「お前の御両親があそこにいる」
 カガリが指差した方向に両親がいるのをキラは、見つけた。
いつの間にか上部デッキにカガリが来ていた。
「どうして会ってあげないんだよ?」
 カガリは、息を切らしながらキラに質問した。
「今は、ごめんと伝えてくれる?」
 カガリがキラのそばに行くとキラは、両親に釘付けになっていた。
「いやだね」
 カガリは、めんどくさそうな顔をして答えた。
その答えにキラは、驚いた。
「私は、伝達人じゃないんだ。
伝えたいことがあるなら自分で伝えろ」
 カガリの言葉は、少なからずキラを傷つけた。
「それまでは、この国もお前の御両親も護ってやる。
それにまたオーブに入国することも許す。
だから戻って来い」
 カガリは、キラの肩に手を乗せてそういった。
「お前が何をしても御両親にとってお前は、世界でたった1人の息子だ。
あまり思いつめるな」
 先とは、打って変わってカガリの言葉はキラの心を軽くした。
2人は、握手を交わした。
「死ぬなよ」
 カガリがキラに忠告した。
「うん、わかった」
 2人は、約束も交わした。
 ドックのドアが開きアークエンジェルが発進した。
ウズミ前代表、シモンズ主任、ヤマト夫妻、キサカ一佐とカガリはアークエンジェルを見送った。
 アークエンジェルがオーブ艦隊と合流した。

          ※

 η艦隊では、第二戦闘配備が実施された。
サオトメは、ガンダムサイガーの通信を開いてブリッジとつないだ。
「とうとう出てきましたか?」
 サオトメは、うれしそうに答えた。
「スケジュールには、ないし北東へ向かっている」
 ブライアン艦長が臨時演習であり進んでいる方角を言った。
「おそらく本命が含まれているはずだ。
艦の特定を急がせてください」
 サオトメがブライアン艦長に命令した。

          ※

 アークエンジェルとオーブ艦隊は、領海線に近づいていた。
「周辺に敵影なし」