猛獣の飼い方
どんな姿だって臨也は臨也だ。
人の感情を逆撫でるのが異様に巧くて、油断するとどこまでも掻き乱して去っていく。
一緒に居るとろくな事にならない事を分かっていたハズなのに、なんでコイツと一緒にいるのか。
猫だからか?
――違う、猫なんて何処にでもいる。
わけのわからない境遇に陥ったコイツへの同情?
――大嫌いなコイツに、どうして同情しなくちゃならない。
答えは簡単。
いまさっきの言葉を、喜ぶ自分に聞いてみればいい。
「―――俺も、テメェの事が好きだ」
たぶん、これが、色々な事への答えなんだ。
一生面倒見るとか、口走っちまった俺の答え。
「…そっか」
ふにゃり、と臨也が笑う。
今のコイツは猫なのに、確かに記憶のままの臨也が、記憶にない笑い方をするのがダブって見える。
あの変わらない「笑顔」とは全く違うその顔は、俺の心拍数を怖いくらい跳ね上げた。
めぐり巡って、僕を知る
(ずっと前から、気付かないでいた。気付けないで、いた)