二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

嘘つきの嘘の始まり

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

気づきなよ



シズちゃん





苦しい息の下で
言葉を繋ぐと




「けど最後の最後」

失敗しちゃったな

「シズちゃん」




ごめん





折原臨也は
それまで
平和島静雄に一度も見せた事の無い表情で

微笑んで





閉じられた瞳
スウと止まった呼吸
警告音のような音
何が何だか解らないままに
平和島静雄はベッドから引き離され

覚えているのは
臨也の名前を呼んで
暴れる自分
数人がかりで押さえ込まれた手足
きっと何かの鎮静剤を打たれたのだろう

後で新羅が言うには象並みの量が必要だったとかで
その影響か
丸1日ほども平和島静雄は眠っていたようで
気付いた時には枕元にセルティが居てくれて
静雄が覚醒するとすぐにPDFの画面を見せてくれた

『安心しろ。折原臨也は持ち直した。生きてる。』

本当か?本当なんだな?嘘じゃねぇよな?

何度も訊く静雄に
首の無いセルティは何度も頷くように

『本当だ。嘘では無い。』

PDFを掲げてくれる

そうか良かった

枕につっぷした静雄の金髪を
黒い霧のたゆたう手が遠慮がちに軽く撫で
その日のうちに
平和島静雄は退院
折原臨也は
それから2ヶ月間入院していた




そして今では

また

元通り





「いーざやぁあああ!!」
「あはは。見つかっちゃった。」
「待てぇえ!!こるァアアア!!!」





元通り




だが
平和島静雄は
今でも時々思い出す

あの時の
折原臨也の言ったこと
あの
見た事の無い表情を




あの処置室には大きな壁掛け時計があって
それはあの時の臨也の位置からもよく見えた
平和島静雄があの部屋に入ったのは
午前0時を迎える少し前
故に
折原臨也とのあのやりとりは
4月1日の日付が終わる寸前、という事で
あの会話は
エイプリルフールの範疇の中で交わされたもの
ということに
なるのだが





池袋の街で
出会って

瞳を見交わす一瞬に

ほんの少し




前とは違う空気が過ぎる




それはほんの些細な違いだけれど




いつか




「シズちゃんが気付くといいけど!」

今日も宿敵のもとから逃げ切った情報屋が
辿り着いた屋上で
強い風に服をはためかせながら笑う

「まぁでも・・・気付かないよね。シズちゃんは」

とことん

「馬鹿だしね。」
「誰がバカだってぇえ?!」
「えっ、シズちゃん?!」

やだなぁ
居るなら居るって言ってよ


逃げ出す情報屋の顔には
僅かな焦りと恥じらい

それを追う
喧嘩屋の顔には
僅かに満足そうな笑みが浮かんだけれど

お互いのそれは
一瞬でかき消えて





あとはまた
元通り





二人の
追いかけっこが




続くのみ























































作品名:嘘つきの嘘の始まり 作家名:cotton