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ボーカロイドが会議中

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「ルカ姉さんのキャラ担当について、真面目に話し合おうと思うんだが」
 珍しく正座をしているカイトのその言葉に、居間でくつろいでいた全員の動きが止まった。
「……どういう意味で?」
 ルカが口を開いた。
「いや、俺とかメイコ姉さんとかはキャラ確定してるけどさ、ルカ姉って人によって違うイメージ持たれるじゃん? だから、今日はルカ姉さんの担当を決めてみようと思って。はいはい、皆集まってー」
「何か楽しそうだねー」
 寝っ転がりながら雑誌を読んでいたリンが、ソファに座った。レンはカイトの隣であぐらをかき、がくぽは居間の扉に寄り掛かったままだった。メイコは一度キッチンへ行って、冷蔵庫から缶ビールを取ってきた。ちなみにミクは、スーパーへおやつを求めて買い物中だ。
「ルカ? 座りな?」
 自分のキャラについて目の前で話されるのは少し恥ずかしい、とは思ったが、とりあえずリンの隣に座った。

「はい、で、まず各々が思うルカの担当を上げてみましょう」
 進行役はカイトのようだ。
「はいはーい! 私はお姉さんキャラだと思いまーす!」
 リンが手を挙げて元気に言った。
「うーん、やっぱそうだよねぇ。でもそれだとメイコ姉さんとキャラが被ってる気がしない?」
 メイコ「姉さん」とルカ「姉さん」。イメージとしてはやっぱりこの2人は大人だから、どうしても「お姉さんキャラ」にはなってしまう。
「以前から不思議だったんですが、何故カイト兄さんは私のこともメイコ姉さんのことも『姉さん』とつけて呼ぶのですか? 一応、一番年上ですよね」
「うーん、それはねぇ……」
 はっきりとした理由はない。今までそんなことは意識したことがなかったので、カイト自身分からなかった。
「いいのよルカちゃん。だって私、カイトに妹扱いされるのなんて嫌だもの」
 それが果たしてどんな意味を持っているのかはメイコしか知らない。が、カイトの予想では、きっとメイコはカイトの立場が自分より上なのが嫌なのだ。
「……はい、じゃあ次、メイコ姉さんが持つルカ姉のイメージは?」
 半ば泣きそうなカイト。
「そうねぇ……腹黒のサドってところかしら?」
 ルカが全力でメイコの方を向いた。何を言っているんだこの人は、と目で訴えていた。
「だってルカが女王様キャラの曲って、それなりにあるし?」
 否定はできない。
「でっ、ですがっ! それはマスターが歌わせただけであって、決して私の意思ではっ!」
 とりあえずルカは、腹黒サド担当だけは避けたいようだ。当たり前と言えば当たり前である。そんな肩書きは聞いただけで人が去っていってしまうだろう。
「ルカ姉っ! ルカ姉っ!」
 ルカの隣に座っていたリンが、ルカの服の端を摘まんで引っ張った。
「そんなこと言ったらカイト兄さんの方が酷いよ!」
 実は一番腹黒いのはリンかもしれない、とその場にいたレン以外の全員が思った。可愛い顔をしてさらりと酷いことを言うものだ。
「……」
 その中でも一番ダメージを受けたのは、もちろんカイトだった。
「たまにかっこいいけどー、大体はバカイト扱いされてるもんね!」
 俺、何かしたっけ、とカイトは今までの自分のリンに対する行動を思い出してみた。心当たりはない。
「……リン……」
 レンがぼそっと呟いた。独り言のようなものだったので、誰にも聞こえなかった。
 分かっていたのだ。レンには。
 リンが腹黒だとか策略家だとか、そんなものではなく、ただの天然だと。
「レンくんはー、どう思うのー?」
 リンがレンに話題を振る、
「あ、俺? ……そうだなぁ、クールとか。そこらへんだと思うよ」
 確かにクリプトンの公式紹介によると、ルカは「クールでちょっぴりミステリアス」らしい。この家でも、敬語で話すのはルカだけだから当たっているのかもしれない。
「まぁ、それが一番妥当ってところではあるわね」
 メイコが缶ビールの蓋を開けながら言った。昼間っから酒か、というツッコミはもうメイコには通用しないのだ。
「あ、がくぽはどう思うの?」
 目線だけがくぽに向けて、メイコが聞く。今の「あ」の部分に、ごめん忘れてたわオーラが含まれているのは誰も気にしない。
 待ってましたとばかりに、ふっ、と一度鼻で笑って続けた。この動作にメイコがいらついたのは言うまでもない。
「皆甘いな。クール? サド? そんなものじゃ言いきれないのさ、ルカのキャラは。容姿、性格、全てを含めて俺は言おう。ルカは―――」
「一遍死んでこい」
 ルカが机の上にあったリモコンをすかさず投げた。こんな時ばかりは敬語なんて使ってられない。と、言うか、元々ルカはがくぽに敬語は使わないのだ。
 リモコンの方を向きもせず軽々と手でキャッチをし
「ルカは、お色気担当だ!」
と正々堂々とがくぽは言いきった。
 戦闘不能のカイトと顔が真っ赤のルカを除いて、3人は呆れたように少し軽蔑を含んだ眼でがくぽを見た。
「あんたさぁ、恥ずかしいとかいう気持ちはないの?」
 メイコが缶ビールを置いて、腕組みをして聞いた。
「ない。全くない。恥ずかしがることは何もないぞ。愛情に恥ずべきことなどないのだ。つまり俺がルカに何を言おうと、全てに愛がこもっているのだから許される」
 要するに、がくぽはルカにゾッコンなわけだ。
「TPOを考えなさい、TPOを。ルカと2人きりの時になら何を言っても何をしてもいいけど、今は駄目よ」
「メイコ姉さん!?」
 レンが思わずツッコんだ。メイコさんだけは味方だと思っていたのに、と少し落胆したのはルカ。リンはというと、女の敵だわ、最低、などとぶつぶつ呟いていた。天然のくせに大人っぽいところはある。
「お色気担当には! サドも腹黒もクールも! ありとあらゆるキャラが詰まっている! つまり一番なんだ! 最高の肩書なんだ!」
 熱弁するがくぽ。こりゃもう止められないわ、と諦めるメイコ。こんな大人にだけはなりたくないと強く思うレン。最低最低と呟きまくっているリン。依然として戦闘不能のカイト。ここで殴ってもまたかわされるだけだ、と歯を食いしばっているルカ。
 ここでがくぽが、すぅ、と深呼吸して、声色を変えて言った。
「何より、見ろ。その溢れんばかりの胸を」
 全員の視線がルカのその一点に注がれる。ルカも思わず自分の胸を見降ろしてしまった。
「年上であるはずのメイコさんよりもでかいんだ。これがお色気以外の何になる」
 ぴくり、と反応する者が2人。
「……いい加減に……っ!」
 1人はルカ。
「……へぇ、そんな口を聞く立場だったのね、ア・ナ・タ……」
 もう1人はメイコ。
 
 ルカの拳ががくぽの右頬に、メイコの拳ががくぽの左頬にクリーンヒットするまで、あと5秒。



「ただいまー」
 がちゃがちゃと鍵を開けて、ミクが玄関の扉を開く。
「……」
 足元には頬笑みながら鼻血を流して倒れているがくぽ転がっていた。やだなー、こんな生き物地球にいたっけ、と冷静に結論づけて、靴を脱いだ。
 キッチンへ歩いて行くと、その隣の居間のドアが破壊されていた。
「……」
 この家は随分ツッコみどころ満載になったものだ、と軽くうなずいて、テーブルの上におやつ(もちろんネギ)を入れた。
作品名:ボーカロイドが会議中 作家名:悠木陽和