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ラブ・ミー・テンダー 1

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(童話の筋書きをなぞるなら、《王子のキスで目を覚ます》ってのが、お約束の展開なんだが…。)

 何となく、綻びた口元が誘ってるように見受けられたので、ふと閃いた己の直感を信じて、眠れる愛し子の唇にそっと接吻を落としてみた。
 背後で、呆れと感嘆のどよめきが起こったが、無視して口付けに没頭する。
 祈りを込めて捧げたキスには、本当に特別な効力が宿るのか、愛の奇跡でめでたく《眠り姫》状態から脱した帝人は、程なくして伏せていた瞼を薄っすらと開けた。
「おはよう…つっても、もう夜だけどな」
 帝人が目を覚ましてくれた事に内心ほっとしつつ、労わるように優しく頬を撫でながら、「気分はどうだ」と具合を尋ねる。
「ん〜何か、ちょっと、夢心地でふわふわしてますけど…。でも、気分は悪くないですぅ」
 寝惚け眼(まなこ)をトロンとさせて、少し舌足らずな音色を紡ぐ。
 まだ覚めやらぬ浅い微睡みをたゆたっているのか、子猫を思わせるあどけない仕草で、人懐っこく静雄の手にすり寄って甘えてから、突然はたと我に返った様子でぱちりと瞬き、帝人は勢いよく寝台から跳ね起きた。
 室内をぐるりと眺め回して、枕元に詰め掛けていた仲間達の顔を一人ずつ確認し、再び視線を戻して当惑気味に静雄を仰ぐ。

 一難去って、また一難。

 まさか、この後、帝人の口から「ここは何処?貴方は誰?」な質問が飛び出す、寝耳に水のサプライズが用意されていようとは…すっかり終わった気でいただけに、夢にも思わなかった静雄だった。

   * * *
作品名:ラブ・ミー・テンダー 1 作家名:KON