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五穀米使用有機カレー 2

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 信号が青に変わる。アクセルを踏みながら、銀八はとぼけたようないつもの声で、こちらを見ずに言う。
 お前の作るもんはなんでも美味いから、びっくりする。
 景色が緩やかに流れて行く。もうこの辺りは桂の家の近所だ。すっかり暮れた夜の住宅街には、かわりばえしないコンクリート造りの団地が並ぶ。整然と並ぶ窓からはその向こうにあるそれぞれの人間の生活を思わせる明かりが洩れ出ている。
 その角を、右です。そう言おうとした前にウインカーが出された。その、ちかちかと点滅する光を見つめながら桂は言った。
「また、先生の食べたいもの、作ります」
「ん」
 銀八は素直に頷いた。あっけないほど。
「先生のことが、好きです」
 今度は、うまく言えた。銀八がこちらを見る。ちょうど、家の前だ。軽いブレーキ音を立てて車が止められる。
「…お前、ほんと物好き」
 情けない顔つきと、言葉とに、つい笑ってしまう。日頃あまりポーカーフェイスを崩さないと評判の、自分のそんな様子に銀八の目が丸くなった。やがて、笑って、
「まあ、俺もか」
 そう言いながら銀八は桂のこめかみの辺りを拳で小突いた。