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こらぼでほすと 風邪1

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フェルトを欧州に送り出して、すぐにリジェネが降りて来た。オーヴ遠征のことは、ヴェーダから眺めていたので、リジェネは残念がっていた。みんなで出かけたのが、とても羨ましかったからだ。
「ゴールデンウィークくらいにトダカさんにオーヴを案内してもらえるから、その時に珊瑚礁は見ような? 」
 という、ママの言葉で、ぱぁーっと顔が明るくなる。ちゃんとママは、リジェネが希望していたことも覚えてくれていたからだ。


 リジェネを送り出したティエリアのほうは、アレルヤたちと共に組織に残っている。多少、不穏な動きが判明した地域があって、そこを重点的に調べている。
「これは現状を確認するほうが早いんじゃないか? ティエリア。」
「データは取り終わったのか? 刹那。」
「全部、終わった。これなら、俺とロックオンで潜入して調査してくれば判明するだろう。」
 刹那の新しい機体のために必要なデータは取り終えた。新機体へのリクエストも、きちんと文章にしてある。これで、刹那のほうのノルマはクリアーしたので降下させたいところだが、ティエリアとしても、少し調べたいところだ。場所がプラント近くの資源衛星辺りなので、電脳空間だけで把握できることは少ない。現地で情報収集するのが必要なのだが、エージェントとの導線が、今のところ断ち切られている。
「スメラギにデータを解析してもらうつもりだ。それで必要なら、俺が出張ればいい。おまえは降下の準備をしろ。」
「おまえが? それは無謀というものだ。それに、解析させるにしたって、データが揃っていないだろう? 」
 ティエリアは何年経っても見た目には十代後半だ。資源衛星で働くには年齢的に問題があるし人目を惹くので、潜入には向かない。刹那のほうは順調に年齢通りに年を取っているから、見た目には、ちゃんとした青年だ。今後は、ティエリアたちと同様になるが、それにしたって働くに相応しい体型にはなっている。
「とりあえず、見学っていうかさ、短期バイトみたいなことで潜入して情報収集して、そのまんまプラントからダーリンは地上に降下させるっちゅーのは、どうだ? ティエリア。データは俺が持ち帰ってくるからさ。今すぐ、どうってことじゃないんだろ? 」
 ロックオンも調査には肯定的だ。企業体絡みとなると、組織が、どうこうする話にはなりづらい。ただ、これが火種になる可能性があるから調査しておきたいのは、ロックオンも同意見だ。
「だが、もう三週間もないんだぞ? 」
「調査に一週間。移動と準備に一週間。十分に間に合う計算だ。・・・調査のほうは、本気で潜入でもいいだろう。それなら時間短縮も可能だしな。」
 資源衛星に表から侵入しないなら、時間短縮も可能になる。データを抜き取ったり、現地で不明な部分を調査するぐらいなら一週間もあれば十分だ。
「ティエリア、おまえは司令塔として、ここで差配しろ。俺が実働のほうはやる。・・・・別に、その日でなくてもいいんだ。要は桜を見られれば問題はない。」
 ティエリアが予定を気にしているのは、刹那の誕生日当日に、ニールのところへ降下させたいという目的があるからだが、刹那のほうは、それほど日付に拘りはない。とりあえず、寺の桜を一緒に眺めたいだけだから、一日二日遅くても、自分のおかんは文句は言わない。
「ティエリア、ひとつだけリクエスト。俺と刹那、夫夫でプラントに入れるような偽造IDカードを用意してくれよ。・・・・ぐふふふふ・・・新婚さんでホテル一泊とかやってみてぇー。」
「そんなことがしたいのか? ロックオン。」
「そりゃもう。でさ、スイートに一泊だけ? ね、ダーリン。いいだろ? 俺にもご褒美。」
 くふーん、と、刹那の女房は期待した眼差しで見ている。そんなことで、こんなに喜ぶ姿は、とても可愛いと刹那も思う。それに、どうせプラントに入ることにはなるので、別に余計な手間がかかるわけでもない。
「いいだろう。一泊だけだが。」
「くふふふ・・・一泊で十分だ。・・・ということで、ティエリア、一泊できる余裕も付け加えて、ルートの選定よろしく。」
「おまえ、本当にニールと同い年なのか? ロックオン。」
「双子で同い年でなかったら、おかしいだろ? 」
 ねーダーリンと、刹那の腕に懐いている、見た目にはニールと瓜二つのロックオンに、ティエリアは胡乱な目を向ける。どうしても、同じ年齢とは思えない。
「ティエリア、ロックオンは精神年齢がニールより若いんだよ、たぶん。」
「そうだろうな。俺は、ニールが、こんな風にするのは見たことがない。」
「ニールは大人だからね。僕らに見えないところでやってるんじゃないかな。」
「おまえら、ものすごい失礼だぞ。」
「ご無礼。つい、本音が出ちゃった。」
「おまえがバカなのは基本スペックだ。事実しか話していない。」
 現ロックオンはバカを通り越してアホ、という認識なので、アレルヤとティエリアには、それほど酷いことを言っている自覚はない。刹那、みんなが苛めるぅーとか言いつつ、刹那の腕にぐりぐりと頭をこすり付けている態度が、すでにアホに該当している。
「おまえは、それでいい。可愛いからな。」
「ダーリンが、そう言うなら。」
「刹那、あまり甘やかすと増長するぞ。しつけは、きっちりしておけ。」
「大丈夫だ、ティエリア。ミッションの時は、きちんと仕事はこなしている。オフはアホになるだけだ。」
 ざっくりと刹那は、自分の女房を斬りつけているのだが、当人には自覚はない。本当に可愛いから、別にいい、と、思っているらしい。




 三月も終わりに近付いた頃、ニールは、ちょっと風邪をひいた。とはいっても大したことはないので、常備薬を飲むぐらいで対処した。ドクターが処方してくれている常備薬は、簡単な発熱や風邪ぐらいなら、これで対処できるという代物なので、ニールも適当に使っている。クスリを飲めば、咳も鼻水も止まるから、そのうち落ち着くだろうと考えていた。たまには、百貨店でスィーツを買いたい、と、リジェネがリクエストしたので、二人で百貨店まで遠征した。
 その夜から、さらに風邪の症状が悪化した。悪寒がするから熱が出たらしい。それも、常備薬の解熱剤で下げた。風邪くらいなら、わざわざドクターに診察してもらうこともないだろうと考えていたからだ。それなのに、常備薬を使い切っても治らない。体力的に落ちているからな、と、ドラッグストアで、風邪薬を買ってきて適当に服用して凌いでいたのが悪かった。市販薬も使い切ってしまって、熱が上がってしまったからだ。明日にでも、クスリだけ届けてもらえばいいか、と、気楽に考えて寝床に入ったところから、ニールの意識は中断した。
 
作品名:こらぼでほすと 風邪1 作家名:篠義