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こらぼでほすと 風邪1

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 リジェネの布団から毛布を引っぺがして、悟空が毛布を追加する。さらに、リジェネに入っているティエリアも、もうひとつの脇部屋から毛布を運んできて被せた。エアコンも最大限に効かせたが、それでも震えが止まらない。できることは、これぐらいだ。後は、アスランたちの到着を待つしかない。
「それ、便利だな? ティエリア。」
 本体が入れ替え可能なのは、とても便利だ。どちらも共用できるなら、別々の場所にいても、急行できる。
「緊急の場合ならな。俺には、あまり居心地はよくない。」
「ふーん。リジェネが連絡してきたのか? 」
「あいつ、いきなりヴェーダのフルドライヴをやらかそうとしていたから、こちらにも解ったんだ。それを阻止した。」
「フルドライヴ? えーっと、ママ、それやったら治るのか? 」
「治す方法を調べようとしたらしいんだ。」
「ドクターに連絡すりゃいいんじゃね? 」
「だから、それすらも思い浮かばないパニック状態になったんだと思う。」
「あーそうか。リジェネは、ママが本気で具合の悪いのは見たことなかったんだな。」
 悟空もティエリアも、ニールが本気でダウンするのは、何度か見ているし、それに対処もしているから慣れている。高熱となると、医療ポッドにでも叩き込んで解熱してもらうしかないから、まずドクターに連絡するのが普通だ。リジェネが看病していたのは、ほぼ、その医療ポッドから出されてからのことだから、始まりは知らなかった。
「前兆はなかったのか? 悟空。」
「うーん、ちょっと前から風邪気味だって言ってたけど、それが悪化したんだろうなあ。ドクターに連絡してなかったんだな。」
 悟空はドクターに連絡したものと思っていた。だから、常備薬で治しているんだろうと思っていたのだ。で、ふと、文机の上を見たら、市販薬の瓶がいくつか転がっていた。ついでに、ゴミ箱にも市販薬の空箱だ。
「あれ。」
 それをティエリアに教えると、大きく息を吐いて肩を落とした。どうやら、自分でなんとかしようと思ったらしい。
「あなたは、まだ完全じゃないと何度、言ったらわかるんだっっ。」
 と、ティエリアがリジェネの姿で怒鳴っても反応はない。時折、咳き込んでいるが、意識が朦朧としているらしく反応がないのだ。
「これも持っていこう。成分が合わなかったのかもしれない。」
「そうだな。」
 そこいらに散らばっているクスリ箱と空瓶を集めて袋に入れた。副作用が強いものがあったのかもしれない。
「悟空、すまなかった。寝てくれてもいい。」
「いや、戸締りしなきゃいけねぇーし、それにママを運ぶんなら、俺が運ぶさ。」
「騒がせて、すまなかった。」
「俺こそ気付かなくて、ごめん。」
 どっちもどっちだから、顔を見合わせて苦笑した。だいたい、ティエリアは遥々、こんなところまで遠征しているのだ。謝られるのもおかしい。本来なら、悟空が気付いて、先にドクターに連絡するのが筋だ。
「俺、風邪とかひかないから、そこいらが、よくわかんねぇーんだよ。」
「それは仕方がないだろう。リジェネが悪い。」
「まあ、そう言ってやるな。あいつ、あんま人間のこと、わかってねぇーんだろ? ハイネが居なかったのが悪い。」
 ハイネなら、すぐにニールの体調に気付いたはずだ。残念なことに、しばらくラボに泊まりこんでいて留守だった。そんな話をしていたら、障子が開いた。アスランか、と、思ったら坊主だった。
「死んだか? 」
「まだ、大丈夫だと思う。息はしてる。」
「連絡したのか? 」
「うん、ティエリアがドクターとアスランに連絡してくれた。すぐに来る。」
「ああ? それは、もどきのほうだろ? サル。」
「今、中身だけティエリアなんだ。」
 布団の横に座っているリジェネに、坊主が視線を向けたら、すまない、と、リジェネとは違う口調が聞こえている。
「入れ替われるのか? 紫猫。」
「緊急の場合だけだ。居心地はよくない。」
「・・・なるほど。だから、ドクターのとこへ行け、と、俺は言っただろうが、このバカ女房。」
 どすっと布団のカタマリに、坊主は蹴りを見舞うと出て行った。坊主だけは風邪をひいているのに気付いていたから、早くドクターのところへ行け、と、命じていたのだ。スルーしやがるから、明日の朝にでも本宅へ連行してもらうように連絡するつもりだった。まさか、そんなに悪化していたとは思わなかったのも、坊主も風邪をひかないからのことだ。


 ようやく、境内を走る音が聞こえた。キラとアスランが飛び込んでくる。遅れて、ドクターも現れた。簡単な診察をすると、クルマで運んでも問題はない、と、決めて悟空に運んでもらった。もちろん、リジェネに入っているティエリアも同行する。クルマ二台に分乗して、本宅へ運び込んで治療はしてもらった。


 リジェネがパニック状態から立ち直る頃には、事態は終わっていた。気付くと、自分の身体はティエリアが動かしている。
「インフルエンザだ。そりゃ、市販薬では治らないな。・・・・とりあえず、医療ポッドに入れて抗生物質をミスト噴射して体内に取り込ませよう。後は、内臓のほうの検査をして、治療は決める。」
「ティエリア、悟空、今夜は、このまま泊ろう。明日、朝から送る。それでいいか? 」
 ニールの治療が始まれば、これといってすることはない。とりあえず、丸一日は、このままだから、本宅へ泊まることをアスランが勧めた。
「それなら、俺は自分の身体に戻る。リジェネを戻すが、身体をどこかへ寝かせておいてくれるか? アスラン。」
「お安い御用だ。お疲れ様、ティエリア。」
「いや、夜分に騒がせて悪かった。キラと悟空も。」
「気にすんな、ティエリア。またな。」
「そうだよ。お疲れ様、ティエリア。後は、僕らで、なんとかするからね。刹那には、ちゃんと降りてもらってね。」
「今、ミッションに出向いているから、ギリギリになると思う。キラ、刹那はニールの独占を贈り物にして欲しいそうだ。」
「あははは・・・了解。そこは考えておくよ。ありがとう、ティエリア。」
 挨拶すると、ティエリアはリジェネの身体を手放して、ヴェーダに戻った。そこでは涙を流したままの相方が座り込んでいる。
「ただのインフルエンザだ。すぐに回復する。」
「・・うん・・・・」
「ニールの体調は、ちょっとしたことで崩れる。風邪だと言ったら、すぐにドクターに連絡すればいい。今度からはやれるか? リジェネ。」
「・・うん・・・ごめん。ママが死んじゃうって思ったら、怖くて・・・僕、ママが、あんなに苦しんでるの初めてで・・・」
「わかっている。誰だって最初は、そうだ。・・・・俺も最初は、同じだった。・・・だから、次からやればいい。できるか? 」
「・・・できる・・・」
 まあ、そうなのだ。ティエリアだって最初は、何をしていいのかもわからなかった。少しずつ、看病やら応急処置を経験したから慣れたのだから、リジェネも同じことだ。
「おまえの身体は本宅にある。明日一日、ニールは医療ポッドで治療される。それからの看病は頼んでいいか? 」
「・・うん・・・ごめん。」
作品名:こらぼでほすと 風邪1 作家名:篠義