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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 11

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「オレが水嫌いなの知ってるだろ!?」
「大丈夫だ、足だけ入れれば多分上まで運ばれるだろう」
 リョウカは宥めた。
「ま、オレは泳ぐけどな!」
 ジェラルドは既に濡れているので、水に浸かる事に抵抗はないようだった。
「仕方がないですよロビン、こっちの方が早く行けるんですから行きましょうよ」
 イワンも滝を登るというつもりらしかった。
 ロビンは情けない顔をしながらメアリィを見た。彼女は何も言わなかったが、目は全てを語っていた。
「そういうわけで多数決だ。早く来いよロビン」
 言うとリョウカは滝に足を入れた。水流の力によって彼女の体は上へと流されていく。
「イヤッホウ!」
 ジェラルドは頭から飛び込んだ。そしてまるで自分の力で滝を登っているかのように水を掻き、見事な泳ぎを見せた。
 イワンも後に続き、残るはロビンとメアリィのみとなった。
「行かないのですか?」
「…お先にどうぞ」
 では、とメアリィは滝に足を運んだ。他の者達のように、その体は滝の上へと流される。
「お〜いロビン!もたもたしてねえで早く来いよ!」
 数十メートル先の滝の上からジェラルドの叫び声が聞こえた。
「そんなこと言われても…」
 怖いものは怖い、どうしてもロビンは水に飛び込む勇気が出なかった。たとえ足だけ入れればいいものであっても、途中で転べば溺れるかもしれない、そんな恐れがあった。
「あ〜もう!」
 ジェラルドは痺れを切らし、崖を滑り降りてロビンの所へ戻ってきた。
「いいからさっさとしろよ!」
 ジェラルドはロビンの背中を押した。
「うわっわわわ!」
 ロビンはすんでのところで水を避けた。
「なななな、何するんだじじ、ジェラルド!?」
 ロビンはすっかり動転しきっていた。
「お前がおっせえから手伝いに来てやったんだろうが」
「お前、前にもそんな事してオレを溺れさせただろ!オレは忘れてないぞ!」
 それはもうだいぶ前の話である。最初の灯台、マーキュリー灯台の時、不思議な力によって発生した光のリングによって水の上を渡る事になった時のことだった。その時もロビンは水を恐れ、一歩踏み出せずにいた。そしてその時もまた痺れを切らしたジェラルドに押され、溺れかけたのだった。
「ああ?そんなもんとっくに忘れたよ。いいから早くしろよ!」
 ロビンはあれにより気まで失ったというのに、なんと元凶であったジェラルドは忘れたと言うのだ。ロビンは信じられず、絶句した。
「ほらほら!」
 ジェラルドは尚も押そうとしてきた。
「待て、止めろ!押すな!分かった、行くから押さないでくれ」
「じゃあ早くしろよ」
 ロビンは何とかジェラルドを制止し、彼に背を向け例の昇る滝を向いた。
 そっと足を水面へと伸ばした。しかし、少し足が水面に触れただけで全身に悪寒が走り、足を引っ込めてしまった。
 ロビンはジェラルドを見て言う。
「おいジェラルド、押すんじゃないぞ!」
「わーってるよ!」
 ジェラルドは焦れったそうに答えた。
 再びロビンは水面に足を伸ばすが、やはり恐怖心で引いてしまう。
「押すなよ!」
 ロビンはまた振り返った。
「うっせえな、さっさとしろ」
 意を決してロビンは滝と向き合う。そして足を伸ばし、つま先を水面につけるのに成功した。
 ロビンはその状態のまま顔だけをジェラルドに向ける。
「いいかジェラルド、絶対に押すなよ!?」
「ああもう、焦れったい!」
 ジェラルドは怒鳴ってロビンの背中を蹴りつけた。
「ぐぼ!」
 ロビンは前に倒れ込み、盛大な渋きを上げた。そして水の流れに乗り、上に上げられていく。
「ぎゃ〜、水だ〜、怖いよ〜!」
 昇る滝の中でロビンは手足をバタバタさせて大声を上げた。程なくして上まで運ばれ、ロビンは地面に打ち上げられた。
「大丈夫かロビン?」
 リョウカは訊ねた。ロビンは全身びしょ濡れになり、水を滴らせながらむせかえっていた。
「げほ…ごほ…、あぁ、死ぬかと思った…」
「よっと!」
 ジェラルドも後に続いて水から上がった。
「へへ、意外と楽勝だったろ?」
 こんなに恐ろしい目に合わせたというのにジェラルドはのうのうとしていた。抑えきれずロビンはジェラルドにつかみかかる。
「殺す気かこのドアホが!」
「まあまあ、ケンカは止めましょうよ」
 イワンはロビンを宥めた。
 ふとリョウカが何かに気が付き、メアリィを呼んだ。
「おい、メアリィ」
「何でしょうか?」
「あれ…」
 リョウカの指差す方向にあったのは例の岩である。ガラパス島にもあった水色でマーブリング模様のアクアストーンそのものであった。
 見たところアクアロックの頂上には何もない。アクアロックの内部に入ろうにも、その入り口らしきものは見当たらない。あるのは直径十五メートル程の泉とこのアクアストーンだけである。
「これにお前がエナジーを使えば何か起こるんじゃないのか?」
「ええ、多分そうだと思います…」
 メアリィはアクアストーンに歩み寄った。そして精神を集中させる。
『アクア』
 アクアストーンの上に小型の雨雲を作り出し、水を降らせる。エナジーを受けたアクアストーンは力を解放し、雨雲を増大させた。
 空一面を雨雲が覆い、頂上一体は雨になった。
 突然の雨にロビン達はいがみ合いを止めた。
「あれを見てください!」
 イワンは泉の中心を指差した。
「あれは!?」
 泉の中心に小さな渦が巻いていた。渦の周りは不思議な光がキラキラと瞬いていた。
「きっとあれがアクアロックの入り口…」
 メアリィは言った。
「行きましょう、あそこに飛び込めば中に入れるはず」
 泉の渦までは飛び石を使うことで近付く事ができるようだった。
「ちちちちょっと待ってくれよ!また水に入るのか!?」
 ロビンは慌てて言った。
「大丈夫です。多分溺れたりはしませんから」
 メアリィは笑顔で言った。
「おい、多分って何だよ多分って!?ちょっとは溺れる危険があるって事だろ!?」
「じゃあ絶対大丈夫です」
 メアリィは言い換えた。
「じゃあって何だよじゃあって!?」
「るっせえな、オレが支えといてやるよ!」
 いつまでも文句を言うロビンにうんざりしたようにジェラルドは言った。
「冗談じゃない!お前なんか信用できるか!」
 ロビンはジェラルドによって二度も溺れさせられている。水のあるところでは彼を信じる事などできるはずもなかった。
「なら私が支えてやってもいいぞ」
「リョウカが?」
「何だお前らやっぱそういう…」
 ジェラルドはかなり古い話を持ちだそうとした。
「…違う!」
 リョウカはピシャリと言い放った。
 一体何なのか不思議そうな様子でイワンが訊ねるとジェラルドは彼の耳元で囁き始めた。
「わあ〜!」
 リョウカは刀を抜きはなった。刃はジェラルドの髪の毛を数本持っていった。
「次はないぞ…」
 リョウカは顔を真っ赤にして言う。ジェラルドは震えながらただ頷くしかなかった。
「勘違いするなよロビン、別にそういう気持ちはないからな!」
 リョウカが何を慌てている分からなかったが、ロビンはやっと思い出した。
「あ、ああ、分かってるよ…」
 ロビンは複雑な気分で苦笑した。